« 第588回「まわれ!ミラーボール」 | TOP | 第590回「集まれ!褒め上手!!」 »
2014年12月29日
第589回「深夜3時に会いましょう」
ということではじまりました、「LIFE IS MUSIC」。初回は、「風とマシュマロの国」から「northern lights」を、第二回は、「さよなら親切の国〜step into the sunshine」をお送りしました。アイスランドとポルトガルの旅行記。実は、これをやろうと思ったのは、ブースにはいった瞬間でした。初回なので、リスナーからのお便りがない状況。 なにをするか固まっていなかったのですが、もしかしたら引用したくなるかもと思って一応持参していた「風とマシュマロの国」を開いた瞬間、2時間のイメージが広がり、「今日はこれでいこう!」となったのです。
5回分の旅行記があるなかで悩まず「northern lights」を選んだのは、やはりオーロラのシーンが印象に残っていたから。ラジオでオーロラを伝えたい。深夜のベッドの上に、オーロラを出現させたい。アイスランドの空気を感じてもらうタイミングとして、深夜3時は理想的な時間帯ではないでしょうか。それも2時間たっぷりなんて、ある意味贅沢なこと。長時間の朗読は、自分の文章とはいえ決して容易なものではないですが、きらクラや、リーディングの舞台を経験していたことが少なからず、僕の背中を押してくれました。
アイスランドにしてもポルトガルにしても、いざ朗読してみないとどれくらいの時間がかかるかわからないので、録るだけとって、あとは引き算。本で読む場合はあっていい箇所も、朗読ではカットしたほうがいい場合があり、それは何度も聞いたうえで、スリムにしていく作業の積み重ね。それらを音楽でつないでいく。それが時間経過であれ、感情を増幅させるものであれ、文章の終わりに音が流れてくる瞬間の心地よさといったら。ほとんど苦痛の作業ですが、この快感のためにやっているのはやはり、DJ体質なのでしょうか。
そういえば、かつて自分たちでお笑いライブをやる際に、コントとコントの間に流れる音楽も、自分で決めていました。コントのオチのあとどんな音が流れるのか。それが、ロケットマンのそもそものきっかけでもあったのですが。だから、朗読に音楽をからめながら進む時間は僕にとってまさしく極上の2時間。非常に申し訳ないのですが、もはや、自分のためにやっていました。苦痛こそ伴うけれど、こんなに楽しい作業はない。それに、もう一度、旅をした気分にもなれます。 物語のための音楽のようで、音楽のための物語のようで、それらはお互いに引き立てあっているのですが、気持ち的には、曲のための朗読でした。極端にいえば、旅行記というスタイルをとった曲紹介。同じ曲にしても、「それでは次はこちらの曲です」と言ってから流れてくる音と、朗読の世界のなかで無造作に流れてきた音では、まったく印象は異なるもの。頭のなかでの膨らみ方。広がりかた。これが違うからこそ、僕は、この世界にいるのです。
事前に旅行記を読んでいた人、初の旅行記が今回だった人。いずれにしても、僕は、ラジオを、そしてリスナーの感性を信じていました。信じていないと、あんなことはできませんだから、だから、またいつかやりたい、というか、間違いなくやるでしょう。おそらく、あの国を旅するのではないかと思います。 内容的に、何年も続ける番組ではないかもしれません。そもそも長く続けようと思っていません。だからこそ、いままでやったことのない時間を、空間を、創造したいと思っています。「LIFE IS MUSIC」みんなが、穏やかな気持ちで、朝を迎えられるように。
2014年12月29日 18:33