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2011年01月23日

第434回「シリーズ人生に必要な力その47決断力」

 かつて、「NOと言えない日本人」という言葉がこの島を呑みこんだ時期がありました。書籍のタイトルだったその言葉にさえも「NO」と言えなかったことはまさにそのことを体現していたといえるでしょう。「NO」と言えない、それは思いやりや謙虚さの表れ、昨今の曖昧表現にもつながる日本人特有の風潮。それこそ刀を脇に携えるものの、実際に使用する侍はわずかだったそうで、否定であろうと肯定であろうと、ズバッと言い放つことを日本人は避けてきたのです。そういう意味で僕たちは、決断することがあまり得意ではないのかもしれません。
 決断を邪魔するもの、そのひとつは思考です。思慮深い人ほど多くの選択肢が浮上し、結果優柔不断に陥ってしまう。だからといっていつまでたっても決断できないままでは周囲を困らせてしまう場合もあります。みんながあなたの注文をずっと待っている、あなたのデザートを待っている。待たせた挙句周囲と同じものを頼んでしまう。周囲にあわせるという傾向は、この国で多発する流行を見ていればわかります。
 とはいえ、常に周囲がいるとは限りません。合わせようにも周囲がいない場合、殊に、社会的立場が上昇すればするほどその頻度や影響力は拡大し、その決断が多くの人の人生をも左右することもあります。社運をかけた企業の一大プロジェクト、そんなときに周囲の顔色を窺ってばかりいたら、あなたを信頼する部下がいなくなるのも時間の問題。模範解答はありません、あなたが人生で培ってきた嗅覚や直感で判断しなくてはならないのです。このように、数百円のデザートから人生を左右するビッグプロジェクトまで、サイズにこそ違いはあれど、人生には自分の判断で決めなくてはならない決断のときがあるのです。ではどうやってこの決断力を身に付けることができるのでしょう。
 昔から、決断力を養うにはホルモンがいい、といわれています。この場合のホルモンとはホルモンバランスなどのそれではなく内臓のホルモン、ホルモン焼きのそれを指します。というのも、ホルモン焼きは決断を迫られる機会が多く、食べるだけで自ずと決断力が身につくと、決断力を高める修行として多くの僧侶たちに食されてきたからです。一説によれば、「ホルモン」の語源はチベット語で「決断」という意味の「ホーモ」。ホルモンを自分で食べられるようになったら大人になった証とされていたそうです。
 ホルモン(焼き)でもっとも決断を迫られるポイントはやはり飲み込むタイミング。いくら噛んでも噛み切れない、内臓だけに容易に噛み砕くことができません。なかでもミノの手ごわさは永遠すら感じさせます。どの段階で飲み込むべきか、もちろんマニュアルはありません。すべてはあなたの決断次第なのです。次の決断ポイントは、口に持っていくタイミングです。網の上で焼かれたホルモンをどの段階で大丈夫とみなすか。カルビやロースのようにわかりやすく変色するわけではないし、「内臓はよく焼いたほうがいい」という四方からの噂が網からの旅立ちの時期を遅らせがちです。結果、小さなカチカチのホルモンを口に入れることになる。決断力のなさがうまみを損ねてしまうのです。 
 もっといえば、どのタイミングでホルモンを網に載せるかというのも決断ポイントに値します。まさか最初じゃないだろうし、最後の締めでもない。だからといっていつまでも網に載せないでいると、「ホルモン余っちゃったね」と注文したことを後悔するようになります。そうならないためにも決断しなくてはなりません。一般的には、「みんなライスいる?」とライスの有無を問われて誰もが網から目を離しているときにすかさず投入するのがと良いとされていますが、あくまであなたの決断次第。余らせることだけは避けたいものです。だから、ホルモンを注文するかどうかも決断ポイントになります。毎回なんとなく頼んでいたけどこれって本当に必要なのか、惰性で注文していないかと疑問を投げかけ、今回注文するべきかどうかをあなたが決断するべきでしょう。
このように、ホルモンはいろんなタイミングであなたに決断を求めてきます。どの段階で焼いていいのか、どの段階で口にいれていいのか、そしてどの段階で飲み込んでいいのか。幾度にも渡って迫ってきます。これらを繰り返しているうちにあなたにも、立派な決断力が身についていることでしょう。
 相変わらず耳にする「できちゃった婚」。これもある意味、その欠如からなるものかもしれません。決断することができない。愛し合っていても、結婚まで踏み込むことができない。もちろん、判断を天に委ねるのも悪くないかもしれません。考えに考え抜いた答えが正解とは限らないし、結婚は理屈でするものでもありません。ただ、それがあたりまえになるのは問題です。決断力のある人ばかりになっても大変ですが、全員が優柔不断では社会が前に進んでいきません。優柔不断の人がいれば、決断力のある人もいる。両者が半々くらいがちょうどいいのでしょう。券売機の前であなたが何ラーメンを注文するのか後ろで待っている人がいます。早く決めなくちゃと思えば思うほど判断が鈍ってしまう。もう何年も着ていない洋服も捨てるに捨てられず、部屋がなかなか片付かない。すべては決断力の欠如からなるものです。もしあなたが本気で決断力をつけたいのであれば、さっそくホルモンからはじめてみるのはいかがでしょうか。

PS:鵜呑みにしないでくださいね、念のため。

2011年01月23日 00:39

コメント

僕は子供達がカルビをガンガン焼くすみっこにてホルモンやミノを焼きビールを楽しみながら、頂いております。年齢的にも肉を腹に詰め込むパワーはなくなってきており、ゆっくり焼く肉にサラダ類を入れるというのが自分のペースになっていますね!ロケ兄は若いですね、ライスまでしっかりさすがです。

投稿者: 下町の根強いふかわファン | 2011年01月23日 07:24

ロケ兄は自身で、「NO」と言えない日本人だとお思いでしょうか?

日本人の事を外国の人は「はっきりしない」とか「自己主張がない」と言いますが、私は「謙虚さ」において言えばそれは日本人特有の美学でもあり、また良い特徴でもあると思うのです。

しかし「謙虚さ・奥ゆかしさ」と「優柔不断」は別物だと思うのです。謙虚というのは自分の中で決定事項があるのに主張しない事で、優柔不断は本当に物事を決められない事だと思うのです。

自分はどうなのか…と考えてみましたが、ある程度謙虚さは持ち合わせている方だと思います。そして、優柔不断かどうかについては…う〜ん、よくわかりません。今まであまり人の運命を左右するような決定を迫られた事がないので、迷う事はなかった気がします。飲食店で何を頼もうか迷う事はしょっちゅうですが…。

若い時は失敗を恐れません。社会的地位もないので、あまり相手に迷惑がかかる事もありません。しかし、年齢を重ねると、積んできた経験などから、あらゆる可能性を考えるあまり、思慮深くなったり、慎重になったりします。決定力がある人は単純に何も考えず気分で決める人と、色々と考えた結果、瞬時に決定ができる人と2パターンに分かれるんだと思います。(結果はさておき)

確かに、優柔不断の集団では何も前進しないので良くないです。一人だけ決定出来る人がいればいいと思いましたが、その人がもし偏った考え方だったり誤った知識だたら進んでいく方向も誤った方向へ行ってしまいます。なので、リーダーシップがある数人の決断者がいる集団がいいのかなぁと。しかしその数人でどの道を進むかを自己主張し、喧嘩になってしまっても困るので、決断力があるものの、柔軟性も持つ人が集団のトップとなるべきです。それと優柔不断の人たちの意見も取り入れる許容力もないといけないのかなぁと。民主主義ですからね〜。

ホルモンが苦手な私は何を食べて決断力を養えばいいのでしょうか?ホルモンに代わる食べ物は何だろう…。

投稿者: ラブ伊豆オール | 2011年01月23日 11:32

僧侶がホルモンをそんなふうに食していたとは、知りませんでした。 確かに食べるタイミングは難しい・・・。ホルモンを哲学している文章、大好きです。ホルモンを題材に熱いメッセージ、ありがとうございました。 さっそくホルモンと向き合ってみますね。


「出る杭は打たれる」という風潮がありますね。以前に、なぜ「NO」と言えないのか、葛藤したことがありました。分かったのは、人生は一度きり。楽しむためには、自分らしく振る舞うことが大切! 自分軸を持つこと。 依存したり群がったりしないこと。心の声を聞くこと。そして、ふかわさんの言葉「自分に嘘はつくなよ〜。」を思いだすこと。 私という小宇宙では、これで充分、これが精一杯。というのが学習した結論です。

「ロケショー」の中、「努力している自分を見ているのは自分!!」という「フーチェの言葉」に、今朝、号泣してしまいました。 心に響く、言葉のシャワーにいつも助けられています〜!

投稿者: アトリエのピンクッション | 2011年01月23日 15:44

決断力!!!重要ですよね☆

私は、決断力がある方ではないので、

特に彼氏には、
決断力と提案力がある人じゃなきゃ♪
と思います。

私も、ホルモンから、
決断力を磨きますか!!!(笑)

投稿者: わくわくが重要 | 2011年01月23日 23:57

ちょうど決断を迫られている時でした。
優柔不断な性格で、特にレストランでメニューを決める時、旅行先を決める時は優柔不断力を発揮してしまいます。
 今回、決断を迫られていたのは、旅行先です。まとまった休みがすぐ先に決まったので、旅にでなければなりません。急なので勿論行先未定でした。いつもはもっと悩む時間があるのでじっくり考えますが、今回は時間がありません。ホルモンで修業している時間も残念ながらありません。
 こんなときに、ネットで調べてみようなら大変なことになります。更に候補地が増え、おまけにこの国のこんなとこがいい、悪いなどの膨大な情報を得てしまいます。決断への道は情報の洪水によって流されてしまいます。
 なので、今回のふかわさんの「あなたが人生で培ってきた嗅覚や直感で判断しなくてはならないのです。」という言葉は決断への道を進む私の背中を押してくれました。
 直感で決めることにしました。

…ニューヨーク。

決定です。

「冬のニューヨークは凄く寒いらしいよ」という周りの声にも動じません。

ちゃんと今日、旅行会社で航空券を押さえて来ました。

…後はホテルとプランとNYで聴くためにiPodに入れる曲を考えるだけです…

追伸:先日初めてロケデラに遊びに行きました。好きな音楽を浴びることができて、とても気持ちよかったです。またお邪魔させてください。

投稿者: lady beetle | 2011年01月24日 00:41

はじめまして♪
最後の1行を読むまで
完全に鵜呑みにしちゃってました!(>_<)

それから、今頃なのですが...
ふかわさんのDVD「アーガイルの憂鬱」を
購入しました。
真夜中に観てクスクス笑っちゃいました。
大好きです☆彡

投稿者: roh | 2011年01月24日 03:28

迷う、そのものに楽しみを見出すこともありますね。その時のしあわせ感てなんなんでしょう。

決断力・・・そちらに決めた自分を信じる力、ともとれる。

日々揺らぎそうになることもありますが、ここにある名言を振り返りつつ、頑張れます。

投稿者: ひょう | 2011年01月29日 23:16

決断力、ファミレスにおいての決断力はなかなかです。その他についての決断力はまったくダメダメです。

投稿者: haruka | 2011年02月16日 00:16

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