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2010年08月01日
第414回「thank you for the music!」
僕がそれに出会ったのはいつのことでしょう。ビートルズのCDを買ったとき、ピアノを習いはじめたとき、兄のレコードをあさっていたとき、もしかしたらもっと昔、それこそ母親のお腹の中にいたときかもしれません。多感な青春時代、はじめて人を好きになったとき、不安定な気持ちはあっという間に音楽に包囲されました。それからというもの、音楽はいつも僕のそばにいて、気がつけば川の流れのように、僕の人生に寄り添って流れています。でもそれは映画のBGMのようにではなく、言葉だけでは埋まらない心の隙間を埋めるように体内を流れ、いつしか僕にとってなくてはならない存在。それくらい音楽を必要とすることはもはや僕に限ったことではないでしょう。
この世に音楽が生まれてから今日まで、そのカタチや聴かれ方こそ変わったものの、ずっと人々に愛されてきたことに変わりありません。いつだって世界のどこかで誰かが歌を歌い、地球上でそれは、鳴り止むことはないのです。音楽によって、人々は喜び、どんな悲しみも乗り越えてきました。もしもこの世から音楽がなくなったら、それは食料が尽きてしまうよりも人々をおかしくさせてしまうかもしれません。音楽を聴かないという人もたまにいますが、嫌いだという人には出会ったことはありません。たとえ積極的に聴かないとしても、日常生活の中で音楽から切り離されることは困難でしょう。どの時代も音楽は人々の心を潤し、世界をやさしく包んできたのです。でも、僕にとって音楽は、もうひとつ役割がありました。
「曲をつくりたい」
それは意図したものではなく、いてもたってもいられなくなって、まるで爆発するようにはじまりました。自己表現としての音楽。もちろん最初はそんな言葉さえ浮かばないままただがむしゃらに鍵盤を叩いていました。楽譜を演奏するのではなく、自ら音楽を創る。僕にとってそれは言葉を発する以上に自分の中にあるものをぶちまけるようなもの。言葉のように簡単に飾ることも嘘をつくこともできず、自分の中にある言葉にならない部分がどんどん音になってあふれてしまう。そして音楽が、聴くものだけでなく、言葉では足りない部分、自分を素直に表現するものとしてとても大事な存在になりました。
心を潤してくれる音楽、自分を表現する音楽。どうしてそんなに自分を表現したいのでしょう。きっとそれは世界があるから。生物が環境に合わせて姿かたちを変えるように、僕はこの環境に育って、このような人間になりました。この世界だからこそ思うこと、この世界だから感じること。音楽は、言葉と同じように僕の内側にあるものを外側に届けてくれるもの。人の内面は、世界との相関関係にあるから、僕の内面は外側の世界によるもので、内面でできたものを外側の世界に発散する。そしてゆっくりと世界は動いていく。つまり音楽は、僕と世界との折り合いをつける場所なのです。
音楽とお笑いとどちらが重要ですか、という質問をこれまで何度と浴びせられるたびに僕は返答に困りながらもなにかうまいことを言おうとして太字になるようなことを言おうとするのだけどちょうどいいものが見つからないままどっちが大事とかそんなこと考える必要もないしこれって右手と左手どっちが大切ですかっていう質問と同じだからもちろん利き腕はあるけれどどっちも失いたくないというか手だけじゃなく足だってお尻だって肩だって膝だってどれも失いたくないから自分を表現するのに必要なものはぜんぶ重要とか答えたりするのだけど本音を言えば質問されたからそう答えただけの話で、実はそんなこと一度も考えたことはないし考えたくもないのです。
ただ、いま思うのは、お笑い芸人だからこそ、別の場所があったからこそ、純粋に表現できたんじゃないかなということ。良くも悪くも売れることが一番大切なことではなく、自分のなかにあるものを伝えたいということが一番大切なものさしだったから。テレビの仕事はどうしても嘘がつきもの。嘘をつけばつくほど、本当の自分を表現したくなる。歪められた自分を矯正しようとする力がはたらく。伝えたい自分の真実、それが僕にとって音楽だったのかもしれません。いまは音楽もお笑いも、どちらも自分を表現する大切な場所。やがてはどちらの場所でも自分の真実を表現できるようにならなくてはと思います。そして60歳になっても、両方を楽しんでいるおじいちゃんでありたいと願うのです。
自分を表現する音楽、自分の心を包んでくれる音楽。両者はつながっていて、心の隙間からはいってきた音楽が自己表現の音の材料になる。その音楽がやがて世界に飛び出して、誰かの心を包んでいたらとても素敵なことでしょう。言葉も音楽も愛を運ぶもの。きっと世界は愛にあふれているのです。それでは8月22日、リキッドルームでお会いしましょう。
PS:8月1日19時より銀座アップルストアにてトークイベント。3日12時より渋谷HMVにて一日店内DJ&21時半よりアルバムリリース記念サイン会。4日20時より下北沢ヴィレッジヴァンガードにてトークイベント。8日13時より新宿タワーレコードにてアルバムリリース記念サイン会を行います。是非会いに来て下さい。
2010年08月01日 10:46
コメント
私にとっての音楽とは「水」だと思っています。あって当然なもの、無くては生きる事ができない必需品。私たち日本人は水が無い状況など到底あり得ません。水が無くなったら…なんて考えた事はなです。考えようとしても無いなんて事絶対あり得ない…と思ってしまうからです。
常に前から思っていたのですが、最初に「音楽」を作った人は誰だろう…って。いくつもの音符を羅列した譜面を楽器や声などで発するという画期的な手法。今でもベートーベンやモーツァルトの音楽が演じられているように、世紀を超えて愛される音楽は色褪せること無くこれからも続いて行くんだなぁと。
しかし、それらの音楽には「歌詞」がありません。ちょっと前まで私は音楽には歌詞なんて必要ないのではないかと思っていました。洋楽だって、日本人の皆が皆、英語の歌詞の意味を理解して聴いてはいないと思うのです。リズムだったり、音源や楽曲そのものを好んで聴いているだけだと思うのです。私も洋楽が好きです。でも殆どと言っていいほど歌詞の内容はわかりません。
しかし、日本の曲には当然「歌詞」がある。ヒーリングミュージックとかダンスミュージックとかは別ですけれど。私が凄いなぁと思うのは、基本、楽曲を好んで聴いているはずなのに、自然と耳に歌詞が入ってくる。それは、歌い手さんの表現力だったり、曲と歌詞がマッチングしているからなんだと思うのです。ソウルフルな歌い方をするミュージシャンの人は心に残る歌に仕上がってますよね。エレカシの歌などまさにそうだと思います。あんなにどストレートな歌詞と耳に残る歌い方をする人はそう日本のミュージシャンでもいないと思うのです。
そういう意味では本当に歌詞は音楽の表現力の一部。歌詞が無くてもいい音楽はありますが、せっかく日本人なのですから。日本語は特にひとつの事を表す言葉がたくさんあったりします。それらの組み合わせによって、人の心に深く印象付ける素晴らしい音楽となるのですよね。
…なんか話の趣旨がずれてますか?ともかく、ロケ兄にとっても音楽が生活、人生の一部であるように、私も常に音楽が生活の側にあります。具体的にこの曲で励まされたとか、勇気づけられたとか、そういう事を前提に音楽を聴くと決めつけて聴いた事はないですが、何気なく聴いている事で自然に心が穏やかになっていったり、楽しい気分になれたり。そういうラフなスタンスで、気ままに音楽をこれからも聴いていたいです。
投稿者: ラブ伊豆オール | 2010年08月01日 20:09
初めまして。
私は元々ふかわさんのファンだったのですが
いままでこのブログを読んできて
コメントをせずにただ画面の前で頷いているだけでした。
けれども、今回の記事を見てとても感動したのでいてもたってもいられずにコメントを書こうと思いました。
音楽とお笑いがふかわさんにとってどちらもかかせない存在であるということ。
それがよく伝わってきました。
私は、バンドVoになろうと夢を追いかけていたのですが、それも諦めかけていました。
ですが、この記事を読んで自分を表現するということについて考え直すきっかけになりました。
これからも、応援してます。
稚拙な長文申し訳ございませんでした。
投稿者: Ai | 2010年08月01日 21:45
★ふかわさんへ
このメルマガ、すごく感動しました。ちょうど今日、両親と夕ご飯食べに銀座に行った時、あ、そう言えばイベントあったんだ!と気付いたのが20分前。なのでアップルストア行きました。拝見しながら、「世の中に伝えたいメッセージ。自分は何だろう?」と考える機会になりました。なんだか感動しました。今日はありがとうございました。
投稿者: 堀口ひとみ | 2010年08月01日 21:52
音楽もお笑いもどちらも人をハッピーにしてくれるものヽ(´▽`)/
ロケ兄、いつも幸せをありがとうございます♪
(^m^)CD早く手にしたいデス♪
投稿者: ^^かおる | 2010年08月01日 22:36
ふかわさんは、テレビで、音楽で、文章でたくさんの表現をしていて本当に素敵です。
確かに音楽は食糧がなくなるよりも、辛いことかもしれません。
いろんなシーンで絶対に登場する音楽は、大切な思い出とともに記憶にしっかり残ってるんですよね。
人は香りで、相手を記憶するそうなのですが、同じように、その時よく聴いていた音楽、その人が好きだった歌などでも記憶が蘇ります。
余談ですが、初めてクラブに行ったときに、Nelly ft kelly Lowland の「Dilemma」を大音量で聴いてすごく感動して、クラブに行くようになったのも、音楽がきっかけを与えてくれたおかげですね。
ちなみに、コスメティックスのジャケ写の聖蹟桜ヶ丘の公園は私も大好きです。なにしろ、ジブリ作品の「耳をすませば」の舞台となった場所といわれていますからね♪ あの公園に行くとピュアな気持ちになれます。夜中はカップルもしくはヤンキーしかいませんけど笑。
投稿者: チオリーヌ | 2010年08月02日 01:07
今のふかわさんを包んでくれる音楽がたくさんありますように。
以前の週刊ふかわでの言葉、
「もし地球全体で聴ける音響システムがあったら、戦争なんてなくなる」
こんな感性を持った人の作る音楽を、わたしはこれからも聴きたいと思うのです。
投稿者: ひょう | 2010年08月02日 08:06
「がむしゃらに鍵盤を叩いていた時」そういう時あるんですね。僕もSAXを結構吹き込んだ時期がありました。楽器でもボーカルでもその人でないと表現できないところ、そういうとこいいんですよね!下手でもそこに自分自身の表現があるていうか?ロケショーでソニー・クラークの「4月の思い出」を選曲していましたが、僕はふかわさんピアニストだなあと凄く感じました。このアルバムからだと大体「朝日のようにさわやかに」を選曲するところですからね!
投稿者: 下町の根強いふかわファン | 2010年08月02日 08:13
アップルストアーのイベントに行きました!仕事後、走って行きましたが、少し遅れてしまい、会場に慌てて入った際に、前の方に居た、ふかわさんと目が合ってしまい(妄想)恥ずかしいし、更に男性が多くて、ちょっと居ずらいかも。と思いましたが、ふかわさんの声を聞いているうちに、気分がポカポカしてきて、凄く落ち着いた気持になりました。
ふかわさんのブログを読んでも、気分がスッキリしてきます。…不思議ですね。
投稿者: ビーバー | 2010年08月03日 01:30
はじめまして。
今テレビで、ふかわさんのピアノ見て、感動しました。
是非次のピアノも見たいと思ってたのですが、、
あのレットイットビーのアレンジをゲットしたいです!どーにかゲットできないですかね?
これからも音楽活動がんばってください。
応援してまーす!
投稿者: sho | 2010年08月03日 19:21
私は芸人としてのふかわさんがとても好きです。
でもふかわさんのピアノも大好きです。
またふかわさんのピアノ聴きたいです。
投稿者: piano | 2010年08月03日 19:58
音楽活動10周年記念アルバムの発売おめでとうございます!!
早速、へヴィーローテーション中です。
ふかわさんが創った音楽が、言葉では足りない部分や嘘のつけない部分とかの内面を表現したものならば、その音楽を「いいな〜」って感じる事は、ふかわさんの内面の世界をいいな〜って感じるのと同意語なのかな?
投稿者: LINA☆ | 2010年08月05日 02:08
ピアノを弾いているところをはじめてみました。
勝負は、残念でしたが、ご自分でアレンジされたとのことで、とても素敵でした。
また、ピアノを弾かれているところみてみたいです。
投稿者: あや | 2010年08月05日 02:53
改めて thank you for the music! を手にして良かったと聴きながら思いました。メディアを通してもはや口ずさめる程になった曲たちですが、こうして聴いてみるとこのCDにはROCKETMANの音楽に対するこれまでの想いや感謝の気持ち、それからROCKETMANとして誕生するまでの軌跡も文字を通して伝わってきました。
ピアノ対決TEPPENも先日見ましたが、そこでも音楽を好きで仕方ないからこそ、その想いが強すぎて気持ちを器用にコントロールしきれなかったように私は感じました。
ああいう場でそつなくクリアしてしまうよりも、人として自然な姿のロケ兄がものすごくピュアだなと、格好いいなと思いました。
それにしても曲のアレンジはすごい素敵でした!!
ジャズピアノ、やってみたくてもずっと先延ばしにしていましたが、放送を見て火がつきました。マスターするまでには時間がかかると思うけど、Let It Be をあんな風に弾けるように練習したいと思います!
P.S. 渋谷のイベントに参加し、ロケ兄ファンの息子もゴキゲンでした♪本人を目の前にし少し緊張していましたが・・・。
投稿者: 手まわしオルガン | 2010年08月05日 07:06
ふかわさん、あたしもピアノやってましたが高校に入ってやめちゃいました。
今はもう指が動かないだろうなぁ・・・
音楽も笑いも、人のココロを癒すステキなものですよね☆
(・_・?)ハテ? 福岡には来ないのかな〜?
投稿者: ゆみうさ | 2010年08月06日 23:37
とにかく、ふかわさんの感性と言葉選びが大好きです。
先日のごきげんようでのお話も素敵でした。音楽は無意識が刷り込まれる…感動しました。今回の記事で我慢できず初コメントします。
DSJを読んだときも思いましたがとにかく感性が!!!という感じです。
それが音楽にも文章にもお笑いにも出るんだなぁと思いました☆
投稿者: なつみ | 2010年08月08日 00:39
りょうさん素敵です!
いつもテレビの前で見惚れながら応援しています。
いつまでも魅力的なりょうさんで・・・
投稿者: satsumaogojyo | 2010年08月08日 15:37
ふかわさんのファンです ふかわさんは何をやっても面白いですね
投稿者: 両 | 2010年08月08日 19:52
初めまして〜♪
お仕事頑張って 下さいネ(-^□^-)
投稿者: みどり | 2010年08月09日 22:58
ふかわさん、昨日は終戦記念日でしたね。
世界から憎しみとか戦争がなくなって、音楽や笑いでいっぱいになればいいのに・・・。
ジョン・レノンの歌を聴く度にそう思います。
(^ー^)ノ ブログにも書いてるので、よかったら見てみてください☆
投稿者: ゆみうさ | 2010年08月16日 23:34
8/22のチケット、買いました!
素晴らしいメンバーとともに、ロケットマンのライブを見れるのが本当に楽しみです!
ところで、そろそろもっと詳細を教えて下さいっ!
スケジュールとか、知りたいですっ!!
そしてさらに気分を盛り上げていきたいです〜。
投稿者: ウナ | 2010年08月17日 12:51
はじめまして★
なんだか深くて感動しました★
子供の頃は素直な自分、ほんとの自分を出せていたのに…。大人になるにつれてまわりに合わす事や嘘やイロイロ学んでしまって(>_<)
あたしはほんとの自分を表現する場所がないです(>_<)嘘をついてでも強がっていなきゃいけない立場です。
ふかわさんにはほんとの自分を出せる音楽があってうらやましいです★幸せですね★
ふかわさんの言葉を読んでいて、自分を変えたくなりました!あたしもほんとの自分を出せる何かを見つけてみたくなりました★
投稿者: ほたる | 2010年08月17日 21:33
HMV のインストアDJ、おつかれさまでした。
到着したときはサイン会が始まっていて、
DJには間に合わなかったなぁ、、、と思っていたら、
閉店間際までのDJで仕事帰りにかなりリフレッシュできました。
ありがとうございました。
今日はリキッドルームにお邪魔します。
期待してます!!!
投稿者: まー | 2010年08月22日 13:05