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2010年03月14日

第398回「シリーズ人生に必要な力その29根を張る力」

 時代によって生活様式が変わるように、人々の用いる言葉もそれによって変化し、ちょっと前まではあんなに口にしていたのにいつのまにか誰も手を付けなくなってしまうことは珍しくありません。数年前の人々は、まさかこんなにも「つぶやく」とは思わなかったでしょうし、「KY」を口にしなくなるとも思わなかったでしょう。言葉はその時代を反映する鏡といえますが、そんな中で最近あまり聞かなくなった言葉があります。それは「根気」です。
「根性」とか「根気」とか、かつてはわりと耳にしていたのに最近めっきり聞かなくなりました。どんな困難にもくじけない強い性質。物事を飽きずに辛抱強く続ける気力。こんなに素晴らしい言葉もいまではすっかり音信不通で行方不明になってしまったようです。かつてのテレビドラマではそういったタイプの主人公が多く見られたのにいまは見られなくなってしまったのは、もしかすると現代の世の中が根気で満たされているからではなく、そういったことが見放されてしまったから。なんでも容易に手に入れることが美徳されている世の中は「根気」や「根性」とは反対の方向に向かっていて、いわばそれらを求めない、それらを必要としない社会になってしまったのです。
 たしかに、ただ単に流されて生きているのであればそれでいいかもしれません。時代に乗るだけ、みんなと同じ色の花でいいのであれば根性なんていりません。でも、生きている証を残したいのであれば、自分の花を咲かせたいのなら、話は違ってきます。時代を創る人、自分だけの色の花を咲かせたいのであれば絶対に根気、今回で言う「根を張る力」が必要なのです。
 どんなにかわいらしい花も土の中でしっかりと根を張っています。どんなに硬い土であろうと、たとえアスファルトであっても、いつかきれいな花を咲かせるために根を広げています。たしかに人は皆オンリーワンかもしれませんが、じっとしていても花なんて咲きやしません。種を持っているだけであって、根を張って芽を伸ばさなければいつまでたっても花は咲かないのです。もしかしたらその間は、周囲から何もやっていないように思われるでしょう。代わり映えのない日々が続くかもしれません。それでも辛抱強く時間をかけて根を張っていれば必ず実を結ぶ日が訪れるのです。
 しっかりと根を張っていれば、一度枯れてしまっても、また花を咲かせることができます。冬の時代が到来しても、やがて春が来たときに芽をのばすこともできます。根を張っていないと、西部劇で風に飛ばされる丸いやつのように、ただ転がっていくだけ。時間をかけて根を張っていれば、地に足を着けて伸びていくし、たとえ誰かが引っこ抜こうとしても、そう簡単には抜けないのです。
 それなのに世の中は、根を張らずに花だけを咲かせようとしてしまいます。咲かせるというより、まるで胸につけるコサージュのように、花をくっつけてしまいます。でもこんなものはなにかあったときいとも簡単にぽろっととれてしまう、うわべだけの美しさです。めまぐるしく変わる時代だからこそ、その時に合った花をくっつけるのではなく、時代に関係なく根を張ることが大切です。きっと、辛抱につぐ辛抱の日々でしょう。でも一瞬で花を咲かせる種なんてありません。風雪に耐えてきた者だけがきれいな花を咲かせることができるのです。社会が時間をかけないことに価値を見出しているときこそ、自分だけの花を咲かせたい人は時間をかけて根を張るべきなのです。
 もちろん、すべてにおいて時間をかけろというわけでありません。時間を短縮すべき部分はそれでいいでしょう。でも、時間をかけたり手間隙かけるべき部分は必ずしもそうとは限りません。花をつけることはできても、簡単に根を張ることはできないように、どんなに時代が変わっても、時間をかけて手に入れるものを短縮して得ることはできないのです。
 根性とか根気とか、なんだかとても汗臭くて耳障りはよくないかもしれません。でも僕たちはそういった力を持っているにも関わらず使わなくなってしまったのです。使い方を忘れてしまったのです。根気というエンジンを使用していないから、いざかけようと思ってもかからないのです。根っこにとっての水分は情熱で、花を咲かせるまでの太陽は人々との出会いでしょうか。根気という言葉には、時間をかけるイメージがあります。現代人が忘れかけている時間をかけて築くこと、「根を張る」こと。それは絶対に嘘をつきません。なんでも短縮されてしまう時代だからこそ、人生には「根を張る力」が必要なのです。

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2010年03月14日 10:55

コメント

ふかわさんこんにちは!

今回も面白い記事ありがとうございます。やっぱりふかわさんはすごいです!私がいつも心の中で考えていることをこんなに的確に言葉にできる。同じようなことを考えている人がいると思うと嬉しいし、頭の中で思っていることを再確認できて前に進みやすくなります。

私は、自分で自分のこと、「根性ないなぁ」って思うんです。逆に言えば、根気のある人になることへものすごい憧れを抱いているんですけど。自分が尊敬する人のように、職人肌になって一つのことを続けていく、そういう自分になりたいのに、どうしても恐くなって中途半端なまま道を引き返してしまいます。責任を持つことが嫌なだけなのかもしれません。

でも今回のふかわさんの文章を読んで、どんなに代わり映えのない日々が続いても、それに不満を抱くのではなく、なりたい自分に必ず繋がるのだと信じて根気強い人になろうと思えました。

自分のこの命がある限り、がんばりたいと思います!

投稿者: Yuko | 2010年03月14日 13:02

昨夜はラジオからふかわさんの歌声が!〜♪!!
ご自身で歌われる新曲はものすごく久し振りでは?!
情熱をそそぎ続け根を張り
花を咲かせたのですね!。

投稿者: 咲子 | 2010年03月14日 16:09

「『根性』とか『根気』とか、かつてはわりと耳にしていたのに最近めっきり聞かなくなりました」


………いずれも、ある“目標”があってはじめて発揮される力ですよね。
 
 ところが・・・いつの頃からか、その“目標”が見えにくい・見つけにくい世の中に(少なくとも日本では)なっていきました。その結果として、「それら(根気や根性)を求めない、それらを必要としない社会になってしまった」のかもしれません。“目標”の見えにくい・見つけにくい世の中になってきたから、社会のシステムもそれにひきずられていった、ということです。
 否……どちらが先と断言するべきではなく、両者が相互に同時並行で影響しあった結果、と考えるほうが適切かもしれません。
 
 では、なぜそういう世の中になっていったのでしょう?私は、戦後日本のやむをえない結果だという考えに至っています。
 第二次世界大戦後、日本は“脱戦後”をスローガンに産業の復興を行いました。ただ、それは戦前の産業形態の復元によってではなく、産業形態の大転換――端的には軽工業主体から重工業主体へ――をもって断行されました。その大転換は単なる産業の面だけではなく、精神面にも――主に、戦前の社会通念の破棄というかたちで――影響を強く及ぼしました。そして、それに替わるべき新たな【精神的拠り所・規範】が模索されなけらばならないところであったのですが…そういった【心の教育】は、戦前の悪しき大和魂の復活につながるとしてタブー視されてしまいました。すなわち、一言で言えば【心の空洞化】が起きてしまったわけです!ただ、それは“(モノの)豊かな生活”という至上命題――これは高度経済成長というかたちで結実しました――の影に隠れてすぐには表面化しませんでした。
 そして今日・・・“脱戦後”も過去のものとなり(=擬似的に心の空洞を満たしていた“モノの豊かさへの信仰”の終焉)、心の貧しさに苛まれる結果となっているように思えます。
 
 そう、【心の豊かさの脱戦後】への取り組みは、つい最近始まったと言ってよいのです!
 

投稿者: 明けの明星 | 2010年03月14日 18:40

我が家の庭では、木々や花の芽が顔を出し始めました。木や花は寒い冬を越えて春を迎えます。それも厳しい寒さであればあるほど、その春には素晴らしい花を咲かせるそうです。「樫の木」を例に例えると、樫は「森の王」と呼ばれる堅固な樹木で、「勇気」「力」「長寿」などの象徴とされているそうです。大文豪ゲーテは語った。
「風や嵐から安穏に守られて育つと樫の木もだめになる。しかし、自然と戦うこと百年にも及べば、まことに強く堂々たるものとなって、その伸びきった姿を目のあたり見ては、誰しも驚嘆せざるをえないのだ!」と。
今回の「根を張る力」。
例え、枝葉が覆い茂っていても、大地に根をしっかりと張らなければ、木は倒れてしまう。また言い換えれば、「不動の自身」を築くと言うことにも通じるでしょうか。
私たちの人生にまったく必要な力だと思います。
私たちは人生という舞台で俳優を演じています。泣いたり、笑ったり、つまずいたり、悩んだり...
でも大事なのは、どんな逆境にあおうとも、どんな境遇になろうとも、そして厳しい風雪にさらされても、今いる場所でしっかりと根を張ること。そうすれば必ず実となり、花を咲かせることができるのでしょう。大きく言えば、自身の人生を百花繚乱に勝ち飾れるのでしょう。

投稿者: りん&メリー | 2010年03月15日 01:29

「時間がかかる」今からでも根を張れるでしょうか?やってみます!!!

投稿者: ずんずん | 2010年03月15日 18:48

「根性」「粘り強く」とかが時代遅れって思われちゃうのは悲しいね…(;ω;)

投稿者: けろろろ軍曹 | 2010年03月15日 19:34

根っこがしっかりしていれば、その土壌なりに何度でも芽吹くことができると思います。栄養たっぷりな土壌をつくるのは簡単なことではありませんが、根に潤いと愛情と栄養を与え、オリジナルで活き活きとした花を咲かせていきたいものです。
植物の根も人の心根も同じなのでしょうね。

投稿者: sunny | 2010年03月16日 04:22

しばらくテスト期間中だったので
コメントできませんでした!!

あたしは陸上をやっているから
根性や粘り強さは大切にしています。
後は太陽が必要ですね。

きっと太陽はリレーの仲間だろうな〜

投稿者: たらこ | 2010年03月20日 21:53

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