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2010年03月07日
第397回「シリーズ人生に必要な力その28後悔力」
「後悔先に立たず」と言うけれどこれほど嘘な諺はありません、なんて言うと語弊があるでしょうが、これは単なる慰めや気休めにすぎず、後悔ほど先に立つものはないのです。かのクラーク博士の有名な言葉、「少年よ、大志を抱け」の続きに耳を傾ければ55分くらい経過したところで「反省するなら後悔しろ」というくだりがあるそうです。一般的には逆に捉えられがちですが、それくらい「後悔」することの重要性を説いているのです。
たとえば旅先で思わず大量に購入してしまった昆布茶。いざ家で飲んでみるとなんか違う、あの温泉街で口にした感動がまったくない、それで大して使用せずに戸棚の奥に眠ってしまう、なんてこともあるでしょう。どこに飾るのか木刀やペナント、旅先にかぎらず「なんでこんなもの買ったんだろう」とあとから自分の衝動買いに嫌気がさし、「あぁ、馬鹿なことをした」と後悔してしまう。でもそれでいいのです。もしここで「これはきっと旅先というエッセンスが加わって美味しく感じられるわけできっと普段の蛍光灯の下で飲んだらなんの感動もない」とか「これはお店の中だからかわいく見えるけど実際普段着たら大したことない」などと冷静に判断してなにも買わないような人生なんて面白くともなんともありません。後先考えずに行動してしまう、それは理性を突き破って全力でぶつかった証。その後悔こそがなによりのお土産であり、人生を豊かにするものなのです。
甘いものばかり食べていた子供の頃に比べて大人になるといろんな味覚が備わるのと同じように、楽しいことだけが人生でないことに次第に気付くもの。苦味があってこその甘み。甘い生活ばかり送っていたら糖尿病になってしまいます。人生楽ありゃ苦もあるさ、幸せは辛いことの上に立つ、と先人たちが言うように、人生に苦味は必要なのです。
でも苦味の中でも「後悔」となると途端に人気がなくなります。なんだか後ろばかり振り向いて女々しさも上乗せされてあまりいい印象を与えません。「引退に悔いはない」と言う方が「いまだに引退しようか迷っています」という選手より清々しさがあります。「反省はしても後悔はするな」ちょっといいこと言おうとする人はそんな風に言うでしょう。でも本当に苦労している人ならわかっています。できるだけ後悔したほうがいいことを。なぜなら気持ちよく終われば終わるほど、あとに続かなくなるから。自分の作った曲に心から100点をつけられるアーティストはいません。あーすればよかったという気持ちが次に繋がり名曲は生まれ続けるのです。後悔のしかたには個人差があり、見苦しい場合もあるでしょう。はらわたが煮えくり返って眠れないくらい悔しいときもあるはずです。人に伝えるかどうかは別として、そんな後悔している時間こそが次に使用するエネルギーの充電期間なのです。
「反省するなら後悔しろ」
これは同時に「反省は頭、後悔は心」ということかもしれません。むしろ反省なんていりません。冷静に分析なんてする必要ないのです。そんなのは誰かに勝手にやらせておけばいいのです。ひたすら後悔して悔しい思いに枕を濡らす、これがすべての原動力。一番だめなのは、後悔をおそれてなにもしないこと。自分をだせずに終わること。そのとき全力でぶつかって、結果だめだったら思う存分後悔すればいいのです。別に死ぬわけじゃないのだから。そこで学習したとか失敗は成功のもとなんていう気休めの言葉もいりません。ひたすら後悔すればいてもたってもいられなくなって気付けば前に進んでいく。後悔はやがて未来に繋がるのです。
だから、後悔だけで終わったらそれは後悔力とはいえません。次に活かせてはじめて力。次につながるくらいまで後悔しないとだめなのです。そしていつしか後悔が味わい深いものであることに気付く頃、きっとあなたはとてもいい顔になっているでしょう。深みのある顔になっているでしょう。後悔をおそれず全力でぶつかる。悔いなしといった人より、悔いありといった人のほうがその後は輝いている。後悔を生きるエネルギーに変える力、そんな後悔力が人生には必要なのです。
PS:第4回フニオチコンテスト、今回の審査員は蛭子能収さん、はしのえみさん、湯浅卓さん、AND MORE!です。ローソンチケットにて発売中ですので、まだ体験したことのないかた、ぜひ一度味わってみてください。
2010年03月07日 10:13
コメント
う〜ん! 思う存分後悔して深みのある顔になりたいです。
ふかわさんの一番最近の後悔は「寝る前のお菓子」かな?
就寝前に食べても安心なスナック菓子見つけたら報告させて頂きます。
投稿者: 咲子 | 2010年03月07日 13:52
“後悔を織って仕立てた人生ほどすばらしい”……おそらく(人間味のある)「人生」という点ではそうなのでしょうね・・・。
おそらく今までの私の語り口から想像がつくと思いますが、私は典型的な、“後悔するよりも反省しろ!反省し分析し次に同じような後悔・失敗をしないよう準備・努力せよ!”、というタイプの人間です。「何かをやる」ことよりも「何かをやる前」にエネルギーを使う人間という言い方もできるかもしれません。ここでは(=私の中では)、失敗・後悔しないことが重視されるので、先行きの予想がつかないことは手控え、見通しの立つことのみを行います。無論、最初は先行き不透明であってもやらなければならないことは仕事上にはたくさんあるので、できるだけ見通しが立つよう、最大限の努力はしています。それでも見通しが立たないことも当然あるので、その場合は「この点が先行き不透明ですが如何しますか?」と問題点をあぶり出したうえで上司に相談したり、会議に諮って軌道修正します(←軌道修正と簡単に書きましたが、そうしていただく為には十分な合理的説得が必要であることは言うまでもありません。そうでなければ単なる私の怠慢です)。
おかげで、失敗は多少あるものの後悔は全くない人生を最近では送っています。ただ……幸か不幸か私の見通しは殆ど外れることがないので(←外れた場合も誤差範囲内)、ほぼ全ての事象が見通し通りとなり、達成感や感動を味わうことはあまりないです。私の人生にはそういった虚しさ・退屈さが付き纏うものの、ほぼいつも確保される安全性には換えがたいものがあります。
鏡のような水面の上を航行する“安全運転の人生”と、いつも波立っている荒海を航行する“毎日が冒険のような人生”……他人が見ていて面白いのは言うまでもなく後者なのでしょうが、人生を送る本人にとってどちらが幸せかは意見の分かれるところだと思います。
投稿者: 明けの明星 | 2010年03月07日 18:38
すごーーーーーーく心にしみました。
今、自分がいろんなことを怖がって、
動きたくない、今のままでいたいと思ってしまって、
停滞している状態だったので、
>一番だめなのは、後悔をおそれてなにもしないこと。自分をだせずに終わること。
これを読んで、あ、私だ、って思いました。
自分の未来のために、いろいろ行動しなくちゃいけないってわかってるのに、
周りのせいにして逃げてばかりだったけど、
このままじゃだめだって気付けました。
どうもありがとうございました。
1ミリでもいいから、前進できるように、動きたいと思います。
これからもずっとファンです。
身体に気をつけてお仕事楽しんでください!
投稿者: ティー | 2010年03月08日 01:09
ここで知り得た様々な力の存在を、日常でふと思い出しては、その度にいつも励まされ、活力となっています。昨日は自転車に乗って最寄駅まで向かう途中、小さな橋を渡って右折した辺りでふと思い出しました...
投稿者: サルキ | 2010年03月13日 00:48