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2010年02月07日

第393回「シリーズ人生に必要な力その24こっそり帰る力」

 上司の誘いや取引先の接待、社会にでるとやたらと増える付き合いの数。でもこれも大事な仕事のひとつであって、たとえ気が進まなくても断るわけにはいきません。より取引を長くするためには人と人との繋がりは重要ですし、いくら有能な人物でも人付き合いが悪いと孤立してしまってなかなか才能を開花させることはできません。だから社会がどんなにネットに包まれようとも、直接顔を合わせる「付き合い」はなくならないのです。 
 しかし、いくら人付き合いが大切とはいえ、すべてに付き合っていたら体がもちません。合コンや飲み会、忘新年会や結婚式の2次会、世の中にはたくさんの付き合いの場があり、帰りたくても帰れない状況は頻繁に訪れます。自分が主役ならまだしも頭を下げるような場所ばかりに足を運んでいると心身ともに疲弊してしまうだけでなく当然金銭的にも厳しくなるでしょう。かといっていざ帰ろうとすれば「あれ、帰るの?」と引き止められ「ちょっと付き合い悪いよー!」とののしられ、結局朝までいることに。人はこの「付き合い悪い」という言葉に弱く、この音を浴びる度に罪悪感でいっぱいになり、個人の都合と社会での立場のジレンマに苦しみながらも、社会を選ぶのです。人付き合いもほどほどにしなければ人付き合いだけで人生が終わってしまいます。そこで必要になってくるのが今回の「こっそり帰る力」。通称ドロン力と呼ばれるこの力を持っていれば、いかなる集まりでも簡単に抜けられるようになるのです。
「そうですね、僕もかつては帰れなくて胃潰瘍になったこともありましたよ」
と笑顔で話すのは都内会社員の塚本浩二さん(仮名・36歳)。
「でも、この力をつけてからというもの、とても充実した人生を送っています」
そんな彼に「こっそり帰るコツ」を教えてもらいました。
「まずは絶対に帰りたい雰囲気を作らないことですね」
 帰ろうと思っているとどうしてもその気持ちが表情にでてしまうもの。そんな曇りがちな笑顔が何よりも目立ってしまい、周囲に気を遣わせてしまう。帰りたそうな雰囲気だけが印象に残り、参加しているにも関わらず「付き合い悪い」レッテルを貼られ、やがて誘われなくなってしまうのです。帰りたい素振りを微塵も見せず、ありえないくらい元気に振る舞うこと。誰よりも楽しそうにしていることがこっそり帰ることの第一歩なのです。
「極力、派手な服装のほうがいいですね」
 寝る子は沈黙で目を覚ますと言うように、穏やかな色遣いだからといって帰りやすいわけではありません。派手目の服のほうが存在感があって周囲を安心させるのに対し、目立たないように控えめな服装をしていると逆に「どこにいるんだろう?」と不安にさせるので、極力派手な服装を選びましょう。「不在感」は「存在感」よりも目立つのです。
「できたら手ぶらがいいでしょうね」
 さすがに荷物が多いと「帰る感」が出てしまいます。なので小さなカバンかウエストポーチ、できたら手ぶらのほうが、トイレに行くかと思わせることもできるので成功しやすいでしょう。また人によっては、置き去りにしてもいい「ダミーカバン」持参の人もいます。これがあると、「あれ?あいつどした?荷物あるしなぁ」という風に誰も帰ったとは思わないのです。ほかに「ダミーメガネ」というのもあります。
「あと、節目には出ないほうがいいですね」
 1次会と2次会の間にこっそり帰るケースが多いのですが、実はこれが一番目立つ帰り方。というのも、2次会の最初は新しい場所に移って誰がいるとかいないとか、いわゆる点呼的な時間になります。ここでいないと「え?あいつ帰ったの?」と不参加感が浮き彫りになるため、できたら2次会の頭は参加しておいて周囲のアルコール度が高まってきたらそっとタバコでも吸いにいくように外に出ましょう。
「明日早いんでは禁句!」
 適切な理由のようですがこれが一番駄目なパターン。これを切り出したら「え?何時?6時?オレ5時だけど?」ともうどうにも切り返せない状態に陥ります。こんなことを発するくらいなら無言で立ち去るような不可解さを残したほうが全然いいのです。
「出たらまずケータイの電源オフ!」
 晴れて脱出したものの、同僚からの度重なる着信やメールに思わずタクシーをUターンさせてしまう人もいます。体こそ家に向かっているものの心が着いてこない。そんなことで頭を悩ませるくらいだったらむしろ最後まで残ったほうがいいのです。なので精神衛生上、必ずケータイの電源は切りましょう。
「付き合いだけがすべてじゃない!」
 たしかに付き合いも大切ですし、それだけで出世する人もいますが、人には向き不向きがあります。それがストレスになるくらいなら付き合いを抑え、その分全力で仕事に向かえばいいのです。きっと周囲も理解してくれるでしょう。
「こっそり帰ってばかりなのに、なぜだか周囲からは付き合いがいいというイメージを持たれているんですよ。参加しているときは目一杯楽しんでるからですかね」
続けて彼は
「いまでは立ち去ったあとのパーティーの雰囲気を想像しながらスパイ感覚で楽しんでいます。最初は大勢の集まりで練習すればやがて少人数でも可能になりますよ。もしかしたら自分の結婚式でもこっそり帰ってしまうかもしれませんね」
そう言って、幸せいっぱいの表情を浮かばせました。社会での立場と個人の都合、うまくバランスを保つには、この「こっそり帰る力」が必要なのです。

2010年02月07日 14:12

コメント

ハハハ!おもしろーい!
私は「風邪気味なので」と言って逃げ帰ろうとしたら
「今まで散々食ってたクセに何!?」と言われ気まずい空気に。
私もドロン力を身に付けます!
ふかわさんは皆でカラオケに向かう前に
ドロンでしょうか?。

投稿者: 咲子 | 2010年02月07日 21:28

今度実践してみます。次回の飲み会が待ちどうしい...?か?
自分なりに成功できたら満足感が得られるそうです。

投稿者: ずんずん | 2010年02月07日 22:33

さすがふかわさん!

今度は学生へ対しても
何か書いて欲しいです♪

ヘキサゴン楽しみに
していますー

投稿者: たらこ | 2010年02月09日 20:03

今、王様のブランチを見ています。

ふかわさんがおもしろすぎて、
爆笑中です(*^^*)//

私、コメントするの初めて
なんですが・・・

これからも、ふかわさんを
応援しています!!!

投稿者: アイス☆ | 2010年02月13日 13:30

なんていうか結局「こっそり帰る力」っていかに自分の中に罪悪感を残さないかということですよね。
周りに何も告げずに帰るのも、携帯の電源を切ってしまうのも、他人からの理由の追求を避けるため。「自分は悪くないんだ」っていう自己の正当化。
他人から攻められまいとする自己防衛。
そしてこの記事自体もそうした行動をとる自分自身を正当化する行為ですよね。
「人生に必要なのは「こっそり帰る力」。だからそういう行動をとる自分は間違ってない」っていう。
人の生き方もいろいろなので身の丈にあったこういう生き方も良いのかもしれませんね。
とてもおもしろかったです。

投稿者: ゆぅ | 2010年02月18日 10:40

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