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2010年01月24日
第391回「失って得るものもある、満たされて失うものもある」
不況・不景気・閉店・倒産、こんな言葉を頻繁に耳にするようになってから、世の中はなんだか元気をなくしてしまったようです。人は簡単にお金を使わなくなり、物が簡単に売れなくなる。経済のものさしで考えればあまり良くない状況かもしれませんが、果たしてこれは悪いことなのでしょうか。たしかに幼少の頃から知っているお店がなくなることは寂しいこと。でも世界はひとつのものさしだけで計れるほど単純なものではなく、一見マイナスな現象もほかのものさしで計ったらプラスになっていることもあります。いまだから得られるもの、いましか得られないものがあるのです。
地球温暖化と向き合ってはじめて人々はその傲慢な生き方に気付いたように、不況だからこそ気付くことがあるでしょう。もはやブームにまで発展したエコ活動も、それが温暖化防止にどれくらいの効果をあげたのかはわからないけれど、これを機に人々は多くのものを得ました。便利さや効率の良さ、大量生産大量消費、手間を省くことや物質的な豊かさばかりに気をとられているうちに失ってしまった「人とのつながりや自然との関わり」。満たされているうちに失っていたことを温暖化は気付かせてくれました。病気にならないと健康の大切さを実感できないのと同じように、満たされていると失っていることに気付かないもの。人はどこか危機的状況に陥らないと自分にとって大切なものが見えてこないのです。
盛者必衰と言われるように、どんなに順調に行っていても、時代の変化とともにうまくいかなくなることは世の常。時代は変わっても、その真実は変わりません。はじまりもあれば終わりもあるし、満たされるときもあれば失うときもある、誰のせいでもないのです。肝心なのは、そのときなにを感じるか、なにに気付けるか。どうしたら人の心は動くのか。なにに幸せを感じ、なにに心が潤うのか。それらはどの時代においても大切なこと。豊かさのせいで鈍くなってしまった心の感度や様々なものさしは、きっとなにかを失ったときにこそ取り戻せるのです。ひとつのものさしだけでなく、いろんな価値観で世の中を捉えること、それが「前向きに生きる」ということなのでしょう。世界を変えるスイッチは自分の中にあるのです。
そういった心のゆとりが経済にも反映されるのに、経済の不安定さを経済的な政策、同じものさしだけで乗り越えようとするからいつまでたっても変わらないわけで、別のものさしを用いて取り組めばやがて経済に反映されるのです。たしかにあの頃は経済的に豊かだったかもしれません。でももしかしたら、お立ち台の上で派手な扇子が舞っていた時代よりも、いまのほうが人々の心は豊かになっているかもしれません。
心の豊かさは誰でも平等に手に入れることができます。いまは、失われた心の感度を取り戻す時期。人々が手を取り合って苦難を乗り越えるとき。企業同士がコラボレーションをするのもそのひとつかもしれません。辛いときに支えてくれる人こそ本当の親友でしょう。ヒットソングを生めないときに支えてくれた人たちこそ、本当のファンでしょう。失ったとき、大切なものに気付くのです。目の見えないピアニストには、彼にしか奏でられない音があります。逆境で得たものは、時代に負けない力なのです。
「失って得るものもある、満たされて失うものもある」
この言葉が人生には必要なのです。
2010年01月24日 10:31
コメント
「その時どう感じるか」になんだかジーンときました。
投稿者: ずんずん | 2010年01月24日 12:00
土曜日は、ラジオと音楽ば〜かと、夜が楽しみです(*^^*)世界を変えるスイッチは自分の中にあるのですね。1日1日大切に過ごしていきたいです。まだまだ、風邪が流行ってますので、くれぐれもお体お気をつけて下さい。
投稿者: 絢 | 2010年01月24日 12:31
「そういった心のゆとりが経済にも反映されるのに、経済の不安定さを経済的な政策、同じものさしだけで乗り越えようとするからいつまでたっても変わらないわけで、別のものさしを用いて取り組めばやがて経済に反映される」
……「やがて」とあるように、これは中・長期的な視点での、“着地点”についての展望ですよね。個人のレベルであれば、「世界(の見方?)を変えるスイッチ」ですぐに「ものさし」を変えることもできるのかもしれません。
しかしながら、経済のように【社会的な組織・構造を持ったもの】の場合には(そのような小回りは利かないので)過渡期というものを必然的に経る必要があり、“とりあえずそれまでの「ものさし」をだましだまし使っていく”ことも必要になると思います(←如何に高邁な理想に基づくものであろうとも、急進的な施策がたいてい失敗をしてしまうのは、この点を無視あるいは(政治的な意図などから)黙殺してしまうからです)。
このように、二つの視点を同時並行で適切に使い分けて事を運んでいく必要があると思っているのですが、そういう意味でも「いろんな価値観で世の中を捉える」(=複眼的に物事を考える)ことは重要ですよね・・・・。ただ、切羽詰れば詰まるほど一元的な考えに固執しがちになるものなので、実際にはなかなか難しいことではありますよね。
投稿者: 明けの明星 | 2010年01月24日 17:30
初めまして!失礼な話かと思いますが、たった「今」、ふかわさんに興味を持ちました。このブログを読んで。これからの記事も過去の記事も、今から読みたいと思っています。
「いまだから得られるもの、いましか得られないものがあるのです。」
この言葉にとても共感しています。日本は、この先長い間不況が続くと思います。でもそれから得られるモノは必ずあるのだと思います。
よく「何かの大切さはそれを失ってから気付く」といいますが、本当にそうだと思います。でもふかわさんのおっしゃった通り、そこで何を感じて何に気付けるかで、これから何をどうして行きたいのか少しずつ見えてくると思います。
心を豊かにすること。
これがまず私達個人にとっての大切な第一歩かもしれませんね^^
20歳の女性より
投稿者: Capri | 2010年01月25日 11:07
初めまして(^-^)
お仕事がんばってくださいねぇ〜(o^-')b
投稿者: あけみ | 2010年01月25日 23:08
またまた同じ事を考えていました。
会社で大きなリストラが始まって感じました。
物理的に、どうしても振り回される時に大事なのは、心だけは振り回されないようにするということなのではと。。。
投稿者: ちぃすけ | 2010年01月25日 23:28
はじめてコメントします。
私も「同感、同感」と思わず頷いてしまいました。
日本は(他の国の事情は知りませんが)メディアが似たような表現で「時」を語るので、だんだん皆がメディアの発した言葉の色に染まっていってしまうような気がします。
そういう画一的な物差しで測られた言葉や、見栄や媚びで装飾的すぎたり、なんだか浅はかな臭いが抜けきれない言葉が多いなかで、フカワさんのような、自分で感じることや考えることを大切にしている(いい意味で)素朴な言葉に触れると、何だかホッとしました。
ありがとうございました!
投稿者: ミチカマチコ | 2010年01月26日 02:24
最近ふかわさんが出ている番組によく遭遇します。ナマイキですが、以前見ていたふかわさんより断然オモシロイじゃんと、ふと、googleしてみたらこのブログを発見したという訳です。ふかわさんのシュールなコメントが他の出演者とかみ合わず・・・、とても独特な雰囲気が漂って素敵です(でも、他の出演者の人は、わざとふかわさんとかみ合わないようにしているんでしょうか?さんまさんや紳助さんクラスの人はわざとのようなきもするが)。
「別のものさしを用いて考えてみる」と書いていらっしゃいますが、とても賛成します。ワイドショーやニュースショーなどをみていると、相変わらずの観点からの取材、コメント。政権交代でせっかく新しい「ものさし」を手に入れたのに、まだ皆さんは自民党50年の歴史から抜けきれないのかな〜〜〜、と。
また、ブログ拝読いたします。テレビも見ますのでたくさん出てください。
では。
投稿者: パピプペ・ポポン | 2010年01月26日 13:11
VS嵐で私はふかわさんに
興味を持ち始めました。
あのミラクル凄すぎです。
私はふかわさんのことが
大好きです!!!
最近なんだかふかわさん
のおかげで毎日ハッピーです^^
これからも応援し続けますので
頑張ってください☆
次のブログも楽しみに待っています。
投稿者: たらこ | 2010年01月29日 21:11
はじめまして。ふかわさんの文章はいつも私の心にリンゴンリンゴン響きます。ありがとうございます。これからも楽しみにしています。
投稿者: michiko | 2010年02月08日 12:24