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2009年10月04日

第378回「シリーズ人生に必要な力その20相槌力」

 日常生活において会話は最も重要なコミュニケーションです。会話をすることで人は知り、互いに理解しあうもの。人は会話によって繋がり、社会は会話によって広がり、文明は会話によって築かれました。人類はおしゃべりをしてここまでやってきたのです。
 会話はときに言葉のキャッチボールと言われますが、たしかにお互いの言葉を言い合うさまは話題というひとつのボールを投げあっているようです。それだけ、キャッチボールと同様に、相手のことを気遣っていないと思わぬ衝突も生まれてしまいます。相手とうまく会話をするには、相手の言葉をしっかりキャッチすることが第一。社会においては、一方的に自分のことばかり話す人よりも、しっかり話を聞いてくれる「聞き上手」のほうが好まれるのです。うまく質問をして相手の素性を引き出す「聞き上手」もありますが、大切なのは「話しやすい環境を作る」こと。話しやすい雰囲気にする、最小単位のムードメーカーなのです。これによって二人の間に信頼関係が生まれ、会話も弾むことでしょう。昔から「話し上手は聞き上手」といわれますが、相手に伝えることを望むならまずは聞き上手になることが先決なのです。
聞き上手な人たちには共通することがあります。100人中100人の聞き上手が必ず持っているもの、それは相槌です。「相槌を打つ」といいますが、これはもともと刀鍛冶が二人で交互に槌を打つ様子から生まれた慣用表現で、この相槌を打つことこそが聞き上手になるための第一歩なのです。
 たかが相槌と思われるかもしれませんが、的確なタイミングで打つことで「大丈夫だよ、ちゃんと聞いているよ」と話し手に安心感を与え、心の中にある想いを素直に伝えられるようになります。そういう意味で「相槌は心を開く鍵」と言えるでしょう。逆に、タイミングを間違えれば会話が噛み合わなくなり、関係もぎすぎすしてしまいます。会話が弾むも沈むも、相槌次第なのです。
 ただひとえに相槌と言っても実はその種類はたくさんあり、私たちが普段使用しているのはそのごく一部。「うん」「はい」「へぇ」などの言葉を会話に挟む相槌は正式には「平槌」と呼ばれるもので、日本で最も多く耳にするタイプですが、このほかにもいろいろな種類があるので参考にしてみてください。
黙槌・・・声を発さずに適度に頷くこと。これによって話し手はペースを崩さずに安心して話をすることができます。
閉じ槌・・・目をとじて頷くことにより、さらに納得感が強調されます。黙槌と併用することによって話し手に安心だけでなく悦びすら与えることでしょう。
オウム槌・・・相手の言葉尻をうまく拾って口にすることで、会話にリズムが生まれます。ラジオやトーク番組など、会話を第三者に伝える場合によく用いられる相槌です。
クイ槌・・・相手が話し終わる前にクイ気味で打つ相槌を指します。これは上方の漫才師などの間で多く使用されるもので、会話にリズムはもちろん、スピード感がでてきます。ゆったりした日常会話では避けたほうがいいでしょう。
槌返し・・・相手の相槌に対して相槌をすることで、瞬時に話し手と聞き手の立場を逆転させることができます。あなたはどう思っていますか、と投げかけるよりも自然に相手の話を引き出すことができるでしょう。
関根槌・・・相手が話している間、大きく口を開けた満面の笑みでゆっくり拍手をするしぐさを見せる相槌。これによってカメラに抜かれやすくなり、会話に参加している印象を与えることができます。主に、集団でのトークバラエティー番組などで使用すると効果があります。
指槌・・・指をパチンと鳴らすことで、相手のペースを乱すことなく「君の言っていることは正しい」と主張することができます。
殺槌・・・あくびを殺しながら話を聞く状態。これによって相手の話す意欲を喪失させることができます。終わりの見えない話が続いているときに用いれることが多い。
酔い槌・・・酔っ払いながら打つ相槌のことをいいます。
西槌・・・西を向きながら打つ相槌のことをいいます。
越し槌・・・鏡越しに打つ相槌のことをいいます。
パリ槌・・・パリで打つ相槌のことをいいます。
 このほかにもまだたくさんの相槌がありますが、日常会話においては上記だけで充分でしょう。相槌はやさしさであり思いやり。もはや「愛槌」と表記してもいいくらいです。「相槌は打った分だけ帰ってくる」といわれるように、あなたが打った相槌はいつかあなたのところに帰ってきます。また、どんなに完璧なものでも文書だけではなかなかカタチにはなりません。目と目を合わせて会話をすることで、頭に描いたものが現実化していくのです。人類はおしゃべりする生き物。それがとりとめのないものでも重要なものでも、会話はあなたの生活を豊かにします。だからこそ人生には、相槌力が必要なのです。

2009年10月04日 00:34

コメント

ふかわさんの普段の素早い反応、切り返しを
「頭の回転速いなー耳が良いなー!」とのんきに感心してましたが
「素晴らしき相槌力!」だったんですね!。
会話にあせっちゃうと「話しやすい雰囲気」なんて作れませんね!
パリ槌良いな!ゆったりアンニュイにかな?

投稿者: 咲子 | 2009年10月04日 14:19

そうですね!
聞き上手は大切ですね。

私は、空槌(上の空で相槌をする)をして
何の話が全く聞いていなくて
聞いてるの?って言われることがあります。
気を付けますm(_ _)m

投稿者: コルカ | 2009年10月04日 15:11

初めてコメントさせて頂きました。
【越し槌】⇒なんだかとっても恥ずかしくなっちゃいますね…♪まるで"歯に青のりが付いてた事に気付く"その瞬間のような…そんな恥ずかしさがとても可愛らしくて素敵です。

投稿者: ルル | 2009年10月04日 18:23

コーチングという仕事をしています。昨日相槌について、コミュニケーション系のセミナーで教えるために、考えていたタイミングでの記事で、「おおお!!」と思いました。ふかわさんのカテゴライズの仕方が、面白すぎて爆笑しました。『○○槌』かぁ。そういう風に分けると、聞く人も理解しやすそうですね。やってみます。(笑)

投稿者: 堀口ひとみ | 2009年10月04日 19:08

誰かと話しているうちに
頭の中が整理されて
考えがまとまることって
ありますよね。

そういえば、先日テレビで文字を持たない
言葉だけの古代文明が紹介されていました。

ところで、新しい髪形
普通に似合っていますね。

投稿者: KINGKAZU | 2009年10月05日 10:31

なるほど〜(-〜-)
愛槌…いいですねぇ
相槌をされると相手が心をひらいてくれたり共感してくれた!って思ってなんか安心しますよね
面接やなんかの発表のときに一人でも相槌をしてくれたらそのあとが凄くスムーズに進むし、相槌ってなんか平和ですよね。
でもごくたまに、話を聞いてないのに相槌を打って聞いてるふりをしまうこともあります

投稿者: ツナ | 2009年10月07日 00:19

素敵な考えだと思いました。
私は不器用なので、
相槌を入れるタイミングが悪いのでは?
と、心配になる時が多々あります。
相槌力、欲しい〜!

お話は変わってしまいますが…
私は普段から、ノラ猫ちゃん達に話掛けています♪

投稿者: nasu | 2009年10月07日 21:17

今ロケショーを聴きながらですが、
Shiritoshiさんを思い出しました。

彼の相槌力半端ないと思います。うん。

投稿者: 凛 | 2009年10月18日 03:02

これも一種の相槌なのかもしれませんが、
浜田さんや内村さんなどの独特の『笑い声』は
相手どころか雰囲気を変えるような
不思議な力を持っている気がします。
(お二人、質は違う気はしますが)

MCという立ち位置もあると思うのですが、
あれは反則(笑)というか
一種の『魔法』な気がします。

ふかわさん流にいうと『笑槌』なのかな?

ただ『誘い笑い』というテクニックというより、
「楽しそうにしているだけ」の方がなぜだか良いです。

投稿者: とっと | 2009年10月20日 01:23

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