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2006年12月17日
第250回「ヘルシーDJはいつも風邪気味」
僕がそのことに気づいたのは、ちょうど季節が秋から冬に変わろうとしていた頃です。
「前からうすうす感じていたけれど、ひょっとして僕は、ヘルシーDJかもしれない・・・」
夏からの地方イベントを繰り返してきた中で感じたとはいろいろとありましたが、なかでも強く感じたのが、自分がいかにヘルシーなDJであるか、ということでした。自分で言うのもなんですが、こんなにヘルシーなDJはほかに類を見ない気がします。その理由のひとつには、お酒を飲まない、ということが挙げられます。
東京のイベントでは景気づけに赤、白ワインで乾杯をしたりしますが、地方のイベントではまず飲みません。スタッフの人に「飲み物は何にしますか」と訊かれるのですが、僕は決まって「水でお願いします」というのです。「え、水ですか?」と必ず聞き返されます。一時期は、DJ後のコーラが世界一うまい飲み物だと思っていましたが、最近では味よりも健康に気をつかうようになったためか、自然と水を飲むようになったのです。
タバコを吸わなくなったことも、僕がヘルシーDJである理由のひとつです。クラブというと、どこか煙に包まれたダークなイメージがあります。また、DJによってはタバコをくわえながらレコードをセットするさまがかっこよかたりもするのですが、3年前にタバコを卒業したので、今ではまったく吸わないのです。いま思うと、喫煙時代に違和感さえ感じます。このように、今年の地方巡業の間、一滴も、そして一本も酒もタバコをやらなかったことは、まさにヘルシーDJと称するに値するのではないでしょうか。しかも、ヘルシーDJのDJバックの中にはいつもパブロンがはいっています。小袋がふたつほど常備されているのです。なぜなら、常にパブロンを携帯しておかないと「早めのパブロン」ができないからです。もしかしたら胃薬を携帯しているDJはいるかもしれないけど、常に風邪薬を携帯しているDJはそうそういないと思います。さらに、新幹線や飛行機で寝るとすぐにのどをやられてしまうので、ヘルシーDJのバッグにはマスクもはいっています。特に冬場はこれをしないと100%体調を悪くするのです。ついでに言うとヘルシーDJは、午前中にタクシーに乗りません。これはいまだに理由がよくわからないのですが、午前中にタクシーに乗ると必ず具合いが悪くなるからです。だから、ヘルシーDJにとって午前中のタクシーは禁物なのです。
ヘルシーDJはいつも足を高くして寝ます。足が異様にむくんでしまうので、足を高くしないと寝れないのです。新幹線や飛行機のなかで寝るときは、どうにか足を高くできるように、常に足の指先のひっかかるポイントを探します。2センチほどのでっぱりがあればなんとかなるものです。
ヘルシーDJは腕時計をしません。特に冬場は絶対にしません。なぜなら、腕時計をすると風邪を引いてしまうからです。そんな馬鹿なことがと思うかもしれませんが、これが本当なのです。腕時計といってもすべてのタイプではなく、金属系のもの、ひんやり系の時計です。いわゆる、「おなかを冷やすと風邪ひくよ」というのが僕の場合、「手首を冷やすと風邪ひくよ」になるのです。「腕時計をすると風邪ひくよ」「貴金属をさわると熱出すよ」というのも、類句として挙げられます。
ヘルシーDJは毎日豆乳を飲みます。一時期はミツカンのお酢をストレートで飲むことにはまり、海外にまで持参するほどでしたが、いまではやはり豆乳になりました。これと野菜ジュースを毎日一本ずつ飲むことで、ヘルシーさを保っているのです。ちなみにヘルシーDJはなにかを気にしてか、コーヒーは無糖です。20代のカフェオレ期から30代のブラック期へと突入したのです。
これだけ健康に気をつかっているというのに、こんなにもヘルシーな日常を送っているというのに、ヘルシーDJはいつも風邪気味です。いつも熱っぽいです。微熱という言葉では若干ニュアンスが違うのですが、いつも体がほてっている感じなのです。常に綱渡り状態で、ちょっとでも無理をするとすぐに扁桃腺が腫れてしまいます。
これらが、僕がヘルシーDJたる理由です。ヘルシーDJというよりは、むしろ病弱DJと言うほうが近いのかもしれませんが、いずれにしても、ヘルシーであることは否めないのです。世の中にはいろんなミックスアルバムがありますが、ヘルシーミックスというのをやりたいくらいです。ロケットマンのベジタブルミックス、みたいなことでしょうか。サウンド的にヘルシーさを表現するのはなかなか難しいですが、聴いた人に「このミックスアルバム、ヘルシーだなぁ」と感じさせることができたらとても素晴らしいです。DJ中は、曲ごとに消費カロリーが表記されたり、Tシャツを投げるかわりにサプリメントを投げたり。クラブ自体も、5階建ての健康ランドの中にあって、禁煙フロアや他の階にいけば岩盤浴や温泉、薬局などがあるのです。「ちょっと踊り疲れたから温泉いってくる」みたいに。瓶のコーヒー牛乳を片手に踊ってる人もいて。それこそまさに、ヘルシーDJにとっては夢のクラブです。そんなことを目指して、ヘルシーDJは全国各地のクラブを飛び回るのです。
1.週刊ふかわ |2006年12月17日 10:00