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2006年04月30日

第218回「初めてのふかわ」

最近あたたかくなってきたので、また家の近くを走るようになりました。夏にかなり走りこんで、禁煙によって膨れ上がった体重を戻したものの、冬になって外に出るのが億劫になり、まったく走らなくなったらみるみるうちに丸みを帯びてきたので、そろそろ走らなくちゃと思っていたのです。本来は3月くらいから開始しようと思っていたのだけど、「やっぱり明日から」とついつい先延ばしになっていました。しかし、近頃の晴れた日の心地よさを利用して、再び走り始めることに成功したのです。

朝早くに走ることもあれば、仕事から帰ってきた夜に走ることもあります。朝晩は比較的涼しいので、結構走らないと汗がでてこないのだけど、昼間なんかは晴れていると中のTシャツがびしょびしょになるほど汗をかきます。これを一週間でも続ければすぐに2,3キロは落ちるのです。だから同じ距離走るのでも、朝晩の涼しい時間よりも、昼間のあたたかい時のほうが効率いいのです。なのに、あることが原因で、昼間走ることをためらっているのです。

ジョギングコースの近くに、とある中学校があります。タイミングによっては、中学生が数人たまっている前を通らなくてはならない時があります。だからというわけではないんだけど、普段ジョギングするときは、頭にタオルを巻いて、サングラスのようなのをしているのです。これだと、ほとんどわかりません。だからジョギング中は堂々と走ることができるのです。ただ、そういった中学生の集団の前を通るときだけは、少し緊張します。「バレませんように、バレませんように」と心の中で唱えながら走り抜けるのです。そんな思いが強いときほど、きまってこうなるのです。

「いまの、ふかわじゃねぇ?」

背中越しに誰かの声がきこえてきました。

「なぁ、いまのふかわじゃねぇ?!」

「え、なになに?」

「いま、走ってったの絶対ふかわだって!」

「え、マジで?どこどこ?」

「ほら、あれ!タオル巻いてんの!」

「え、マジ?ちょっと行ってみようぜ!!」

後ろから数人の駆け足の音が近付いてくるのがわかるのです。

「おい、ふかわー!ティン!ふかわー!ティン!」

後ろから叫んできます。

「ったくなんで気付くんだろ...」

ヘルメットにサングラスで原付に乗っていても「あ、ふかわだ!」と気付かれます。車に乗っていても、「いまのふかわだ!」と、二人乗りのバイクが追いかけてきます。いつも不思議に思うのです。普段から僕のことを探しているのならまだわかるけど、普通に生活していて、どうしてそんなにも敏感に僕のことを察知するのだろうと。僕からなにかただならぬ空気がでているのでしょうか。でもそんなときはいつも心の中でいうのです。

「僕にとっては十万人目の中学生でも、向こうにとっては初めての僕、つまり初めてのふかわなのだ」

そう心に言い聞かせ、どんな人にも愛想よく笑顔で手を振ってあげよう、と思っているのです。かわいい子だろうと、ヤンキーだろうと、皆平等に接さなきゃだめだと、そう肝に銘じているのです。

そう思いながらも、僕は中学生をシカトしていました。完全に聞こえないフリをしていました。なぜなら彼らはすぐ調子に乗るからです。集団になると水を得た魚のようにイキイキしやがるのです。ヘタに要求に応えていたら奴らは調子に乗ってわけがわからなくなってしまうのです。

自分自身、中学生の頃は芸能人なんかみたらテンションあがっていたことでしょう。それこそジョギングしている芸能人なんかいたら追いかけたくなるかもしれません。だから彼らを責めることはできないのです。きっと自分もあんな感じだったのです。全部頭の中ではわかっているのです。

人が人を呼び、気付くと、十数人もの中学生を率いて走っていました。もはや、事態を収拾する答えが見つからなくなっていました。

「よし、じゃぁみんなで多摩川の河川敷まで走ろう!」

そんなこと言って、中学生たちを連れて走っていくべきなのでしょうか。もしくは、よきところで「コラーっ!!」と叫ぶべきなのでしょうか。わからないまま、黙々と走っていました。

「ふかわさーん、いつも見てまーす!頑張ってくださーい!」みたいな中学生ばかりだったらいいのにな。そしたら、

「よし、じゃぁこれで好きなものでも買ってきなさい」みたいになるのに。うまくいかないなぁ、人生って。さぁ、バスツアーまであと2週間!

1.週刊ふかわ |2006年04月30日 10:00