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2005年10月16日
第191回「良質の基準」
僕は普段ひきこもっているわりには遠出をするのが好きで、時間さえあれば都会を離れ、温泉地などに車で出かけたりしたものです。緑の山々は都会の生活で疲れた僕をあたたかく迎え、体内に充満したストレスを溶かしてくれます。しかし、こういった旅のなかで重要なのは、目的地の山々だけではなく、そこでの食事だったり、メンバーだったり、様々な要素が絡んできます。中でも僕にとって重要なのは、途中に立ち寄るサービスエリアでのひとときです。もしもサービスエリアがこの世に存在しなかったら、旅の楽しさは半減してしまうんじゃないかと思うくらい、僕にとって、おそらくみなさんにとっても、サービスエリアは重要なものなのです。
サービスエリアに着いたときの開放感、幸福感。そして、まるで花火大会やお祭りに出かけるかのような期待感。サービスエリアにはそれほどのパワーを持っています。しかしながら、すべてのサービスエリアがそういうわけではありません。残念なことに、何の期待も抱けず、むしろ立ち寄ったことを後悔してしまうようなところさえあります。では、どういったサービスエリアが良質で、逆にどういった要素が駄目にしてしまうのでしょうか。そんなことを分析してみようじゃありませんか。そうすればデートなどでも間違ったサービスエリアに寄らなくなるのです。女の子とドライブをして間違ったサービスエリアに寄ってしまうことは、デートでしょうもない映画を観てしまったときと同じ気まずさを味わいます。そういうことのないように、良質のサービスエリアを知っておく必要があるのです。
「良質」といわれるための基準としてまず挙げられるのが、「アメリカンドックの旨さ」でしょう。アメリカンドッグの良し悪しはサービスエリアのそれに比例するといっても過言ではありません。つまり、アメリカンドックをおろそかにしているところは、サービスエリア全体をおろそかにしているということになるのです。遠出をする人にとってアメリカンドックは「旅の味」であり「旅の心」です。常に「揚げたて」を心がけているサービスエリアに繁栄は訪れ、放置時間が長く、旅人に満足いくドックを提供できないようなところは、衰退の道を歩むことになるのです。それくらい、アメリカンドックは重要なのです。
露店の数も大切な要素といえるでしょう。たこ焼きやお好み焼き、磯辺焼きやお団子など、それらの文字が描かれた旗が風に揺れている光景は、見知らぬ村のお祭りに遭遇したかのような印象を僕らに与えてくれるのです。特に日曜日などの場合、露店の数はピークを迎えることが多く、ジャンボフランクなどをほうばったり、なんだかよくわからない食べ物をほうばっている人々で賑わっている光景を見ているだけで、とても幸せな気分を味わえるのです。
館内のラウンジにも良し悪しがあります。まず規模の面で大切なのは「広すぎず、狭すぎず」です。席数が少ないのも問題ですが、あまりだだっ広くても雰囲気が出ないのです。だいたい満席で7,80名程度が着席できるくらいが、見栄え的にも程よい数と言えるでしょう。フードメニューに関しては、そば、うどん、カレーのトップ3を揃えていなければなりません。欲をいうと、やけに塩のきいたフライドポテトも欠かせません。また、購入方法も昔ながらの食券のシステムのほうがより雰囲気がでるでしょう。ときおりおしゃれなカフェを気取ったラウンジがありますが、そういったタイプは自己満足にすぎず、サービスエリアでは懐かしさや安心感を与えることを優先しなくてはならないのです。ドリンクに関していうと、わざわざ購入しなくても無料で飲めるお茶の機械みたいなのが完備されていなければ、良質のラウンジとはいえないでしょう。ちなみに、ラウンジとは別の場所にレストランのような店舗が併設されているところがありますが、そこではより近代的なつくりにするべきです。周囲を気にせずに落ち着いて食べたい家族やカップルたちが憩える場所なので、そこはラウンジとは違った雰囲気作りを心がけるべきなのです。
お土産コーナーも、良質なサービスエリアかどうかを見極める、重要な要素となります。ここでは地方の名産品などを取り揃えておくことは当然のことながら、そこのサービスエリアオリジナルの商品が並べてあるかどうかで差がでてくるのです。たいていオリジナル商品にはオリジナルキャラクターがいるもので、きまってそのキャラクターの緊張感がなかったりします。つまり、みうらじゅん氏曰く「ゆるキャラ」なのです。そのゆるさを笑う風潮がありますが、あのゆるさはすべて計算上のことなのです。長時間の運転で疲れた体を解きほぐし、リラックスさせるためにあえてゆるくしているのです。僕はそう信じます。なので疲れたドライバーこそお土産コーナーに足を運び、ゆるいキャラクターに癒してもらうべきなのです。お土産コーナーこそが、リラックススペースなのです。
次の項目に行く前に、駄目なサービスエリアについて触れておきましょう。これはすでに数箇所で発見されたのですが、「都内でもよく見かけるコンビニが、無造作にあるだけのサービスエリア」です。これは本当にサービスエリアとはなんたるものかを全く理解していないのです。サービスエリアというのはある意味、天空の町であって、夢の世界でなければならないのです。なのによくみかけるコンビニがあったのでは、いくら品揃えはよくても、気分をぶち壊しているのです。また、コンビニに限らず、普段見かけるファーストフードのお店がはいっていたりするのも、あまりよくないなのです。天空の町にはマックはないのです。どうしてもそこにほしいのであれば、サービスエリアバージョンのカラーリングにするとかの工夫が必要なのです。
最後は周囲の環境です。やはり、せっかく遠出をしているのだから、緑に囲まれているのが望ましいでしょう。ちょっとした広場みたいなのがあって、木のベンチでのんびりできたりするのもいいですね。山々を望み、空は青く、深呼吸したときに空気がおいしい、そういった幸福感を与えてくれる所が、より良質なサービスエリアといえるでしょう。あとは、トイレを清潔に保っていてくれさえすれば問題ないのです。
ということで、サービスエリアに関して長々と語ってしまいました。これだけ思い入れがあるのだから、200回記念はサービスエリアめぐりになるのでしょうか。そうでなくとも、サービスエリア同好会なるものを設立してみようかな。
1.週刊ふかわ |2005年10月16日 10:30