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2005年09月25日

第188回「大切な場所」

「いつまでもこんな関係でいられたら...」
収録後の飲み会でいつものように先輩たちと騒いでいると、ふとそんなことを思いました。
 僕が初めて番組に登場したのは今から5年半ほど前のことです。その頃は、今のような世界がまだ出来上がっておらず、番組の方向性も定まらずに、どこか試行錯誤していた気がします。ただ、当時最もからみずらいとされていた僕を迎えるあたりは、根本的になにかにチャレンジしようとする気持ちがあったからかもしれません。先の読めるバラエティーではなく、リスクはあるものの、なんか面白くなりそうな空気を大切にする、そんな意識が当初からあったのだと思います。そしていつ頃からか、芸人さんが多く出演するようになり、他に類をみないほどの芸人色の濃い番組として成長し、現在の時間帯にまであがってきました。そこに登場する芸人さんたちは、いわゆる旬な若手のようなフレッシュさはないものの、裸でぶつかりあい、苦しみ、悩み、そして笑っていました。それはまさしく、コントというよりもドキュメントであり、芸人の軌跡でした。ありのままの芸人の姿がそこにあったのです。収録終わりで飲みに行くのが多かったのは、酒好きが多かったからではなく、互いの労をねぎらい、「今日は大変だったな」「あそこあれでよかったのかな」と、みんなで話していたかったからでしょう。本番の間だけの付き合いでなく、学生時代の部活仲間のように、僕たちはいつも集まっていたのです。どんなに早い朝も、どんなに遅い夜も、僕たちは常に行動を共にしていたのです。それぞれに他の仕事もあり、立場こそ違います。でも、みんなでいる空間は、かけがえのない、大切な場所だったのです。
 いまでも不思議に思うのは、2ヶ月ほど前の飲み会のときのことです。
「じゃぁふかわ、これでみんなを撮ってくれ」
誕生日プレゼントでもらったデジカメを僕に渡し、そこに集まっている出演者やスタッフ、マネージャーら全員を撮るようにと言ってきました。大役を請け負った僕は、いろんなアングルからみんなの騒いでいる様子を撮影しました。
「ふかわ、こんど俺にも撮らせてよ」
「ちょっと、このツーショットも撮って!」
まるで初めてカメラを手にしたかのように、わーわー騒ぎながら撮影大会が行われました。
「よし、じゃぁ次はNO PLANで撮ろうよ!」
誰が言ったかおぼえてないけど、自然にNO PLANの6人が肩を寄せ合いカメラ前で並んでいました。お酒で少し顔を赤らめた僕たちはそのときも、「ずっとこのままでいられたら...」そう思っていたことでしょう。そして数日後、番組がこの秋で終了することを知らされるのです。終了することを知ってから慌てて写真を撮り出すのではなく、まるでなにかを予感していたかのように、僕たちはいつもの姿を写真におさめていたのです。
5年半という期間が長かったのか短かったのかはわからないけど、この間にいろいろなことがありすぎました。舞台もありました。CDも出しました。全裸にもなりました。だから、小学校、中学、高校の卒業式で一切出なかった涙も、この番組の卒業式ではとめることはできませんでした。それは、番組が終わってしまう悲しさからくるものだけではなく、きっと、頭の中に現在までのことがいっきによみがえって、いろんな思いがあふれてきて、もうどうにもおさえきれなかったからでしょう。
「内村プロデュース」は終わりを迎えることになりますが、この場所で素晴らしい方々と出会えたことは、僕にとってとても光栄なことであり、財産であり、ゆるぎない真実であります。内村さんをはじめ、先輩の方々、スタッフのみなさん、そしてなにより番組を支えてくれた皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。それでは明日、最終回でお会いしましょう。

1.週刊ふかわ |2005年09月25日 10:30