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2005年08月21日

第183回「いつものように」

いつものように
悲しいニュースがきこえてくる
人と人とが殺しあい
多くの命が奪われる

親は子を殺害し
子は親にナイフをむける
夫は妻を殴り
妻は夫を毒殺する
なにも珍しいことではない
よくある話

老人は若者を叱り
若者は老人を切り刻む
隣人は隣人をバットで殴り
隣人は隣人に銃を向ける
なにも珍しいことではない
よくある話

いつものように
悲しいニュースがきこえてくる
人と人とが殺し合い
多くの命が失われる

肌の色の違いで争う人々
宗教の違いで争う人々
油で米を研ぐことはできず
北と南の距離は変わらない
漫画喫茶でゲームをする若者たち
飢えで苦しむ子供たち
少ない休みに夢をたくすOLたち
血を流して戦う市民たち
自分の場所が見つからない少年たち
自分で命を絶つ少女たち

いつものように
悲しいニュースがきこえてくる
悲しいニュースを見た後に
一日の運勢を気にしてる
多くの命が失われても
一日の運勢を気にしてる
悲しいニュースがきこえても
僕らはそんなに悲しまない
自分におとずれるとは思わない

いつものように
悲しいニュースがきこえてくる
世の中はなにも変わらない
世の中はいつも、いつもどおり
いつもと違うことをあげるなら
今日僕が31歳になったってことくらい
あとはいつもと同じこと

この世に生を受けたこと
いままで生きてこられたこと
祝ってくれる人がいること
ありがとうといえること
それらすべてに感謝しなくては

1.週刊ふかわ |2005年08月21日 11:00