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2005年02月06日

第156回「こたえてちょーだいを見ていたときに」

「今日はふかわくんにすごいお土産があるんです!!」

収録前の楽屋で僕は、こたえてちょーだいを見ていました。

「菊間アナと川合さんって、なんか妙に仲いいんだよな…」

「ふかわくん、きいてます?」

「絶対男女の関係になったよ、このふたり…えっ?なんて?」

スタイリストのやっくんが嬉しそうに話しかけていることにやっと気付きました。

「こたえてちょーだいをそういう目線で見る人いるんですね」

「だって、俺は昔からこのふたりの仲むつまじい感じは気になってたんだ
よ。っていうか、お土産がどうしたって?」

「そうですよ!おみやげがあるんですよ!それもすごいのが!」

「すごいおみやげって、そんなハードルあげちゃっていいの?」

「まぁ見てくださいよ」

なにやら自信たっぷりの様子で、やっくんはそばに置いてあった紙袋を手に取りました。

「えーなんだろ?ぜんぜん予想つかないな」

僕は、彼が取り出すものを固唾を飲んで見守りました。彼の右手がゆっくりと紙袋から引き出されます。映像ではスローモーションになっています。

「えっっ?うそ?!まじで?!えっ?どしてどして?!」

「遂にみつかったんですよ、これが」

それは、もうこの世には存在しないと、なかばあきらめかけていたものでした。

番組であればここでCMをいれて引っ張るところですが、ここではスタイリストに関する話をしましょう。

人それぞれ契約のスタイルは違いますが、僕の場合、スタイリストさんがついている番組と、そうでない番組があります。「えっ?ふかわでもスタイリストなんているの?!」みたいに感じる人もいるでしょうが、テレビ出演の頻度が高くなると当然私服にも限界が生じ、また、タレントとしての意識を保つためにも、スタイリストという存在が欠かせなくなってくるのです。僕の場合は、ネタでテレビ出演していた頃はスタイリストさんはいなかったけれど、その後レギュラー番組などをやるようになってから、衣装をお願いするようになったのです。だから、現在ネタなどで出始めた若手芸人の人たちも、やがて私服から衣装にチェンジするようになるのです。

これも人によって様々ですが、スタイリストさんは、ひとつの番組に5パターン程度の衣装を持ってきます。それらの中から、オススメなんかも聞きつつ、番組で着る服を選ぶわけです。僕の場合、この時期はこんな感じのがいい、みたいに好みを伝えてあるので、着たくない衣装を持ってくることもないのです。また、気に入った服があったりすると、買い取ってしまうこともよくあります。だから、バク天で着ていた服を内Pで着てたりするのはそういうことだったりするのです。さぁ、そろそろ本線に戻りましょう。

「えっ?うそ?!まじで?!えっ?どしてどして?!」

「遂にみつかったんですよ、これが」

それは、もうこの世には存在しないと、なかばあきらめかけていたものでし
た。

「うわぁ、すげー!!本物だよね?」

「そうですよ、本物ですよ」

僕はそれを両手に乗せ、うっとりするように見つめていました。

「これだよ、このシルバー。そしてこのマジックテープ。よく見つけたね」

やっくんが持ってきたお土産はアディダスのスニーカーでした。スタンスミスというスタンダードモデルで、それ自体はそれほど稀有なものではありません。ただ、僕が求めていたのは、シルバーでマジックテープという、なんともいえない風合いのスニーカーで、まさにのどから手が出るほどの逸品だったのです。僕がそのスニーカーに出会ったのは5年位前で、それから年中無休で履きつぶし、かなりヨレヨレになってしまったためにずっと新しいのを探していたのだけど、どこのお店に問い合わせても、「あー、あれは限定商品だからもうむずかしいっすねぇ…」みたく冷たくあしらわれ、本当にあきらめていたのでした。だから実際に新品のスタンスミスが目の前に登場したときは、その状況に脳がついていかず、それこそクラクラしてしまいそうでした。

「でもいったいどこにあったの?」

「それがですねぇ、また意外なところで見つけたんですよ!」

よくぞ聞いてくれました、という表情で。

「え、どこどこ?」

「なんと…ドン・キ・ホーテで見つけたんです!」

「えっ?ド、ド、ド、ドンキー?!」

「そうなんです。しかも厚木の!」

それは意外な盲点でした。都内のシューズショップや古着屋になかったものが、ドンキーにあったわけです。たしかに豊富な品揃えではあるけれど、まさかねぇ、といった感じです。しかも、おそらく古着屋さんなどで売っていたら数万円くらいになっているようなものが、ドンキーでは数千円で普通に売られていたのです。いくらシルバーであろうと、マジックテープであろうと、限定であろうと、他の白いスニーカーと平等に扱っていたわけです。

「いやぁ、これは本当にうれしいわぁ、ありがとう、やっくん!」

「いえいえ、僕もほっとしました」

とはいうものの、大事すぎて、なかなか履けなくなりそうです。

1.週刊ふかわ |2005年02月06日 09:56

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