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2021年03月15日

第869回「うたたねクラシックin福岡・宮崎④」

 

 ビオラなき「ビオラは歌う」が始まりました。加藤さんの滑らかなピアノの調べ。おっしゃる通り、ピアノソロとしては何の問題もありません。このまま独奏で完走してしまうのでしょうか。若干の戸惑いを感じていると、どこからともなく聞こえる優しい音色。

「これはもしかして!」

 そうです、ビオラの音色。体を揺らしながらステージに現れる須田さん。ピアノ伴奏に乗せて、まさにビオラが歌っています。

「ビオラはオケの中であまり目立たない存在なんですけど、実際ビオラがいないといいハーモニーが生まれない、といった曲なんです」

 縁の下の力持ちということでしょうか。いかにビオラが大事な存在であるかを、途中から参加するという形で表現してくださいました。

 続いては、ステージに椅子が二脚並んでいます。ここからは朗読のコーナー。私と遠藤さんによる朗読とチェロ。以前はここで「風のない場所」というオリジナルの詩を朗読し、遠藤さんに「サリー・ガーデン」をソロで弾いてもらいました。今回は「白鳥のように」というオリジナルの詩を朗読し、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」より「白鳥」を、加藤さんのピアノ伴奏付きでお届けします。

「たまには何も考えず、ただ浮かんでいるのもいいのではないでしょうか。音楽という、湖の上で」

 朗読が終わると、場内を「白鳥」が漂い始めました。とても凛々しく、優しい白鳥。ビオラの音色もいいですが、チェロの重厚感ある音が、体の中を通過していくようです。

「ありがとうございました!」

 プログラムはあと2曲。ハーラインの「星に願いを」、そしてチャイコフスキーの「くるみ割り人形」より「花のワルツ」。以前も演奏しましたが、楽器編成が違うので、アレンジも多少変わっています。場内はすっかり、春の訪れのような暖かな雰囲気に包まれました。

「では、このままもう一曲いきましょう!」

そして最後は、私が作曲し、加藤昌則さんアレンジの「WALTZ IN AUGUST」。上柴はじめさんのアレンジとはまた違ったハーモニーになっていますが、終わり方は恒例の孤独バージョン。曲の終盤に一人ずつ舞台からいなくなり、最後、パジャマを着た男が一人で鍵盤を叩いて終了、という演出。暗闇に包まれると、拍手が聞こえてきました。

「本当にありがとうございました!」

 こうして無事に2度目の福岡公演が終了しました。来ていただいたお客様のおかげで、間隔を空けた客席も忘れてしまうほど、素敵な時間を過ごすことができました。

 帰り仕度をして、福岡空港へ向かう一行。一台の車に乗って移動する音楽旅行は、撮影した写真がAirdropで飛び交う、とても楽しい時間。

「だめだ、我慢できない」

 空港に着くと、私の目線の先には福岡名物の「めんべい」がありました。以前、お土産で購入した「めんべい」は、福岡から鹿児島の道中で一枚だけと取り出したのが最後、止まらなくなって全部食べてしまいました。そんなこともあったので、「めんべい」は禁止にしていたのですが。

「こちら、二箱ですね?」

 搭乗ゲートまでに何度か目が合ってしまい、結局、プレーンタイプと辛口タイプの「めんべい」を宮崎に連れて行くことになりました。

「何の音?」

 搭乗を待つロビーは閑散として、とても静か。しかし、そんな静けさを打ち破るように、謎の音が聞こえてきました。

 

2021年03月15日 07:57

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