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2019年10月18日

第808回「大館きりたんぽ祭り〜前編〜」

 

「よかった…」

 おにぎりをぶら下げて車内のシートに腰を下ろすと、深い息が漏れます。朝7時半。東北新幹線がゆっくりと動き出しました。

 

「秋田まで行けるかなぁ…」

 そんな不安を抱き始めたのは、きりたんぽ祭りの4日前、108日の火曜日。台風の進路が明らかになりつつあり、予報円が日本列島の上に置かれています。これによれば、週末の上陸と見られましたが、当初は、帰りの便に影響するだろうけど、往きは問題ないだろうというものでした。しかし、近づいてくるにつれ、飛行機が危うくなってくると、あらゆる可能性を考慮し、新幹線のチケットも手配。さらに当日が厳しければ前日移動という選択肢も浮上しました。ただ、前日は夜まで仕事なので最終の新幹線で仙台までが限界でした。

「なんとかいけそうだ」

 早い段階で空路は諦めていましたが、案の定、羽田発着の欠航が決まりました。残った新幹線はお昼から計画運休だったので、事前に切符を購入していたことが功を奏しました。ただ、東北新幹線は秋田新幹線と繋がるものの、盛岡で下車してそこから車で2時間弱の道のり。このルートじゃないと間に合わないようです。移動時間こそ長いのですが、とにかく何としても大館までたどり着きたい気持ちでした。

 

「雨、あがってる」

 しばらくすると雨も上がり、仙台のあたりでは穏やかな空が広がっています。朝は土砂降りの中、東京駅へ向かいましたが、台風の影響を抜けたのでしょう。無事に盛岡につくと、「とんぶり兄妹」のイラストがプリントされたポロシャツのスタッフが待っていてくれます。

「ここから1時間40分くらいです」

 冷麺の看板が踊る幹線道路を抜け、車は高速道路に入りました。大館きりたんぽ祭りはもう47回目を迎える大規模な食のイベント。当初は芋煮会のように河川敷などで開催されていたそうですが、現在はニプロハチ公ドームで開催され、3日間で来場者は10万人超。全国でイベントが相次いで中止になる中、予定通りの開催となりました。

「あれだ!!」

 東京ドームなどに比べればやや小ぶりではありますが、田畑の中に突如現れる真っ白なドームに、宇宙人がやってきたかのような印象を抱きました。

「今日はよろしくお願いします!」

 到着するやいないや、楽屋にきりたんぽ鍋やとんぶり料理が運ばれてきました。組合の方々や市役所のスタッフ。そして市長。みなさん、とんぶり兄妹がプリントされたポロシャツを着用してくれています。

「ご挨拶よろしいでしょうか」

 すると、扉から子供達がぞろぞろと入ってきました。今日はとんぶりの唄を披露するのですが、東館小学校の四年生14名が一緒に踊ってくれることになっていて、今日のために振り付けの練習をしてきてくれました。

「じゃぁ、本番よろしくね!」

 ステージまであと30分。温かいきりたんぽ鍋が、無事に大館に到着したことを実感させてくれました。

 

2019年10月18日 17:37

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