« 第792回「効率と非効率の間で」 | TOP | 第794回「タピオカおじさん」 »
2019年06月07日
第793回「ボーイング1974」
「あれ?お疲れさま!」
羽田発岡山行き。機内に乗り込むと、隣の席にサンドウィッチマンの伊達くんが座っていました。こちらがラジオの公開収録であることを伝えると、彼は地方ライブ、いわゆる営業とのことで、周りには相方の富澤くんをはじめ、ピン芸人の永野くん、茨城芸人のカミナリの顔もありました。
「忙しそうだね〜」
つい先日も、山中で汗水流してロケをしている番組を見たばかり。普段あまり顔を合わせなくても、同業者としてのつながりからか、労をねぎらいたくなるのです。
「クワバタオハラのネタ、すごい好きなんだよ!」
永野くんの「ラッセンが好き〜」に次ぐ渾身のネタ。「クワバタオハラネタおったらそこはもう大阪や」。このネタが大好きで、いつか本人に伝えたいと思っていました。
「あれは、すごい発明だよ!」
飛行機でタレントさんにお会いすることは珍しくないですが、あまりにバラエティーな顔ぶれに、まるで遠足のバスのようにはしゃぎたくなってしまいます。しかし、寝る時間を奪ってはいけまいと、なんとなくキリのいいところでiPadを取り出し、イヤフォンを装着しました。
「日帰りなら、帰りも同じ便かもしれないですね」
岡山に到着すると、空港からそれぞれの現場に向かいます。僕は「きらクラ!」の収録で美作、彼らは岡山市内へ。
「いいキャラの人がいましたね」
無事、公開収録を終え、徐々に薄暗くなってゆく景色を眺めながら、空港に戻ります。
「ちょっとラーメンでも行きますか」
番組で共演した、ザ・レヴ・サクソフォン・カルテットの皆さんと空港のラーメンを堪能し、搭乗の時間となりました。
「キンコーン」
搭乗ゲートで赤いランプが点灯します。
「あれ?なんでだろう」
スタッフが何度もバーコードをあててみます。
「どうしたんすか?」
背後から心配する声。朝の機内で遭遇したメンバーが嬉しそうに見ています。
「もしかして、飛行機今日が初めてですか?」
バラエティーのやりとりが始まります。機内に入ると、今度は永野くんが隣でした。
「どうする?話す?」
「話しますか?」
「よし、話そう!」
iPadとイヤホンをカバンの中にしまい、荷物入れに放り込みました。
「じゃぁ飲んじゃっていいすか、飲みます?」
「いいよいいよ、飲んじゃって!」
彼はビール、僕は羽田から運転なのでりんごジュース。「クワバタオハラ」ネタのどこが素晴らしいのか。これまでの歩み。面白いものと面白くないものの違い。最終的にお互いを褒め合う帰りの機内。隣では、伊達くんが眠っています。
「うちらみんな同い年じゃないですか?」
後ろにいたサンドウィッチマンの富澤くんの声。あまり気にしないでいましたが、僕とサンドウィッチマンの二人、そして永野くんは皆1974年生まれで同級生だったのです。
「じゃぁ、お疲れ様でした!」
まるで同じ仕事をしてきたような気持ちで彼らと別れました。若手の頃は接点があっても、徐々にそれぞれの立場が変わり、顔を合わせる機会も減ってきたりしますが、どこかでみな、讃え合っているのです。久しぶりに感じたバラエティーの空気。ボーイング1974は、とても素敵なフライトでした。
2019年06月07日 22:25
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.happynote.jp/blog_sys/mt-tb.cgi/269