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2019年06月14日

第794回「タピオカおじさん」

 

「こんなところに?」

 目を疑いました。僕の街では行列を見かけることは珍しくないのですが、その行列は銀行から延びています。月末でもないのにこんなにできるだろうか。しかも若い女の子ばかり。すると列の先頭は、銀行に入らず、道路を横切りました。

「違う、こっちだ」

 目を向けると、そこは小さなタピオカのお店。どうやら銀行に並んでいたのではなく、タピオカのお店から道を隔てて列が続いているようです。

「こんなに人気なのか」

 話には聞いていたけれど、先日まで行列のなかった場所にいきなり人だかりができているとさすがにその勢いに圧倒されます。調べてみれば、この街だけでもタピオカスポット、通称タピれる場所はいくつもあるそうで、スウィーツの街は瞬く間にタピオカに彩られていきました。

 タピオカのブームは以前もあり、今回は3期目とのことですが、僕としてはやはりタピオカ・ココナッツミルク。中華料理のデザートとして、杏仁豆腐と双璧を成していて、いつも杏仁で行くかタピオカで行くかで頭を悩まされました。たまに、スーパー、コンビニなどでも見かけますが、やはり脂っこい中華料理の後が格別でしょう。

 ただ、タピオカ・ココナッツミルクのタピオカは小粒で白く、ミルクティーに沈む大粒ではありません。だから、タピオカ・ミルクティーなるものを街で見かけた時は、タピオカではなく、みつ豆に入っている茶色い豆が底に溜まっているものだと思っていました。抹茶味だとか、ラテだとか、見た目にも可愛げがあって、SNSとの相性もいいのでしょう。

「あれ?」

 衝撃的なシーンを目の当たりしてから数週間。再び目を疑いました。今度は、銀行の前に列がありません。お店が休みなのだろうか、いや、普通に営業しているようです。平日だからなのか、もう下火になってしまったのか。その光景に、心が動きました。

「タピオカミルクの小さい方で」

 並ばないのであればちょっと食べてみたい。そうして手渡されたのは、タピオカと黒糖とミルクのタイプ。スタンダードなミルクティーにしなかったのは、ココナッツミルクの思い出のせい。それにしてもこの重量感。小さい方を頼んだのに想像以上に大きく、手にずっしりきます。咥えたストローも太く、加減もわからないまま吸い込むと、エスカレーターのように黒い物体が太いストローを上昇してきました。

「きた!!」

 ポンっと勢いよく出てきたタピオカが喉の奥に触れます。

「これは楽しい!」

 柔らかくもちもちした食感。黒糖味のタピオカが口の中で弾んでいます。中華料理のデザートで食べていたものとは全然違いますが、これはこれで美味しい。確かに流行るのも頷けます。

「あぁ、お腹がタプタプだ」

 40代の男性にはさらに小さいサイズがあってもいい気がしますが、このボリュームが若い女性たちにはちょうどいいのでしょうか。お店がなくなってしまう前にあと何回かタピってみたいと思います。

2019年06月14日 22:24

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