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2019年03月15日
第782回「とんぶりの唄ができるまで〜後編〜」
「本日よろしくお願いします!」
年が明け、お正月ムードが薄まり始めた頃、レコーディングが行われました。前述の通り、今回のCDは、いろんなバージョンの「とんぶりの唄」を収録することになっています。歌詞こそ同じですが、曲調が違うので、それぞれ歌わなくてはなりません。こちらは作った側なのでしっかりと識別していますが、果たして、美人すぎるトレーダーは対応できるだろうか。そんな不安は見て見ぬフリ。メールをして、彼女の到着を待ちました。
昨年末にとんぶりに出会い、3月にCDリリース。ここに間に合わせるのには、なかなか急ピッチの制作になりますが、これには理由がありました。どうしても、平成のうちに発売したい。平成の最後の作品として、「とんぶりの唄」を形にしたかったのです。新元号になってからではなく、この曲を聴きながら、平成の最後の春を迎えて欲しかったのです。
「遅くなってすみません!駐車場が見つからなくて!」
僕の中では全然早い到着です。「恋はおかわり」や「期待感ゼロ」でも使用しているスタジオ。ソファに座ってキーの最終確認をすると、レコーディングが開始されました。
「では、録っていきましょう!」
とんぶりの唄は、兄パートと妹パートに分かれていますが、製作の過程でどう転ぶかわからないので、お互いに全てのパートを録ることになっていました。
「いい感じですね!」
歌いやすい曲だからか、デモをしっかり聴いてくれていたからか、思いのほか歌声は安定しています。しかも、イメージした通り、若林さんの声にも合っていて、ほとんど指示もなく安心して聴いていられました。くしゃっとなった長いブーツ。脱ぎ捨てられたベージュのコート。おてんばトレーダーのレコーディングは順調に進んでいきました。
「食物繊維、たっぷり!」
若林さんの決めのセリフを録って、一旦休憩。
「うん、行けそうだ!」
これなら今日3曲録れる。不安は確信へと変わっていきました。オリジナルのレコーディングに続いて、80’Sバージョン、EDMバージョンとテンポよく進んで行きます。
「お疲れ様でした〜!」
しっかり予習してきてくれていたおかげで、妹の声を無事にレコーディング完了。あとは、兄のレコーディングになります。
「じゃぁ次、ハモ撮ります〜」
妹にハモリまではお願いできないので、兄のメインパートを録ったら、ハモリを重ねていきます。妹のディレクションと、兄のレコーディングと、とんぶりにまみれた一日。まだ完成ではないですが、実際の声が入るとよりカラフルになります。
レコーディング自体は1日ですが、ここから先が長い道のり。声を整えたり、音のミックス、そしてマスタリングへと、根気のいる作業。登山は8合目から大変だそうですが、ここから先はかなり神経を尖らせないといけない段階で、それはそれは精神や体力までをも蝕んでいきます。やはり、完成させるのは特別なエネルギーが必要。だからこそ、できた喜びは得も言われぬものなのです。
「じゃぁ、これで完パケましょう!」
そうして約二週間後。とんぶり応援ソング、「とんぶりの唄」が完成しました。もちろん、連日作業していたわけではありませんが、その間は四六時中聴いていました。
DDPファイルというものを作成し、マスター音源の納品となります。もう、これを提出したら止めることはできません。そして、ジャケットや歌詞カードなどの紙の納品も終わり、あとは完成を待つだけとなります。
「明日、届くそうです」
レコーディングから2ヶ月ほどたった頃、段ボールが届きました。大丈夫だろうかと、ドキドキしながら開けると、中にはぎっしり、とんぶりが詰まっていました。
配信やストリーミング・サービスなど、音楽の聴き方は多様化し、時代も変わりましたが、それでもこうやってCDとして形になる喜びや高揚感は他では得られないもの。どうか、このCDが一人でも多くの人の手に渡り、とんぶりの輪が広がりますように。そして、とんぶり応援ソングではありますが、みんなへの応援ソングでもあります。日々、辛いこともあるけれど、とんぶり食べていきましょう。この唄が、春の風に乗って、多くの人の心に届きますように。
2019年03月15日 08:09
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