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2018年11月02日

第766回「パンプキンのため息」

 

 2018年秋。僕は、空を飛んでいました。

 さて、今年のハロウィン、いかがでしたでしょうか。イベントに参加された方、混乱の街をテレビで見て「けしからん」と思った方、それぞれいると思います。僕もDJをしていなかったら現在のような印象を抱いていたかわかりませんが、とても楽しいハロウィンでした。

 センター街での混乱は確かに目に余るものでもありましたし、商店街の皆さんや、関係のない立場の人たちにとっては、甚だ迷惑千万だったであろうとお察しします。ただ、あれだけ「渋谷」を世界にプロモーションしているわけですし、個人的には石田ひかりさんの「あたしゃ」を聞けただけでも、決して「百害あって一利なし」ではなかったと感じます。

 「最近の若者は」的な話は昔からありますが、もはや中年真っ盛りの今、あの騒ぎに対して眉間にしわを寄せる大人にならなくてよかったと思っています。

 今年は、軽トラックをひっくり返す映像が度々使用されたことで、ネガティヴな側面ばかりがフィーチャーされました。あの映像は、無関係な市民の車が巻き添いを食ったような印象を与えますが、軽トラはむしろハロウィンを楽しんでいた立場。理由がどうであれ、ひっくり返すのは度を超えていますが、それを伝えているかどうかで大きく印象は異なります。

 「そもそもハロウィンとはこういうものではない」という論調は、あなた今更何を言っているんですか、と言いたくなります。クリスマス、バレンタイン、次はイースター。本来の意味が薄まり、ビジネスチャンスに転換するのはむしろ大人たちで、日本独自のアレンジに仕上げるのは我が国のお家芸。それを文化と呼べるかは別として、そういう国民性なのです。

「あれの何が楽しいの?」

「あいつらはただ騒ぎたいだけ」

 こういう論調を振りかざす大人は、私には軽トラの上ではしゃぐ若者よりもみっともなく見えます。ただ騒ぎたいだけじゃいけないの?楽しさをみんなが理解する必要あるの?一番きついのは、「最近の若者は、遊び方が下手」というフレーズ。この後に、「うちらの頃は」という謎の自慢が続くのですが、こういうことを平気で言えてしまう大人にならなくて本当によかった。

 そんな想いを胸に抱き、僕は、飛び込みました。お客さんたちの海へと飛び込みました。海へと飛び込んだ僕の体は、宙を舞い、空を飛んでいるような感覚でした。1031日。京都のクラブは平日にも関わらず、熱い空間になりました。楽しい夜を、ありがとう。

2018年11月02日 08:27

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