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2018年11月15日

第768回「魔法のロープ」

 

 先日の紅白鍋合戦、ご参加いただきありがとうございました。天気が良すぎて、むしろ暑いくらいでしたが、本当に素晴らしい一日になりました。

 場所取りスタッフのおかげで、広々としたゆとりのある会場。いつものように2チームに分かれて具材メンバーを取り合っていきます。これによって味の方向性が決まるから、お互い真剣な眼差し。シーフードで行くか、カレーでいくか。うまくいったり、いかなかったり。二つの大きな鍋を囲む、紅白鍋合戦。ほわほわと湯気が青空に昇ってゆく午後。予定通り2回戦を終えたところで、奇跡は起きました。

「じゃぁ、そろそろやりますか」

 お腹も満たされ、太陽が少し傾いてきたところで、ちょっと体を動かしたくなってきました。今回も縄跳びの長縄を持ってきています。二人の長縄ガールズに託し、僕はイスに座って観戦。そして、一本の縄が張られた時です。

「え?もう?」

 どこから来たのか、長縄ガールズが警備員らしき人に話しかけられています。たちまち暗雲が立ち込める河川敷。案の定、ここじゃダメだから、もしやるなら駐車場の方でやりなさいとのこと。駐車場の方が危ないのに。腑に落ちないものの、逆らうわけにもいきません。今回は長縄なしかと諦めかけたその時、男は立ち上がりました。

「じゃぁ、加賀谷くん、そっち持って」

 僕は持ってきた縄をしまい、代わりに魔法の縄を取り出しました。

「え?あ、はい」

 そして僕が大きく腕を振り回すと、彼の腕もつられるように動き出します。

「もしかして…」

 周囲がざわざわし始めました。そうです、エアです。エア長縄跳びが始まりました。するとどうでしょう。見えない縄にタイミングを合わせて、一人二人と、間に入ってきました。

「見える!縄が、見えるぞ!」

 あっという間に10人ほどが腕の動きに合わせて跳んでいましす。こんなことが起こるとは。周囲から掛け声が聞こえてきます。

「1、2、3、4…」

 魔法の縄なので、誰も引っかかることはありません。子供も大人も、腕の動きや、呼吸に合わせて跳びます。タイミングもバラバラだったりしますが、それでも、縄が見えてくる。側から見たらきっと、普通の長縄に見えていたことでしょう。

「終了〜!!」

 クラッカーの音が空に吸い込まれていきます。すっかり汗をかいていました。これなら、いつでもどこでもできる。魔法の縄のおかげで、もう注意される心配はありません。もはや発明といってもいいかもしれません。今までの蓄積があったからこそ生まれた、魔法のロープ。次回からはもう、普通の長縄はいらないかもしれません。

 

2018年11月15日 08:25

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