« 第744回「ビオレとボレロ」 | TOP | 第746回「sweetest day of may」 »

2018年04月20日

第745回「ボレロとビオレ〜後編〜」

 

「では、よろしくおねがいします!」

 デモ音源は、無事にクライアントを通過し、晴れてレコーディングの日を迎えることができました。やり直しこそなかったものの、ギリギリまで注文に応じたり、それこそニューカレドニアからメールしたりと、なかなか油断はできませんでしたが、こちらもその覚悟で臨んでいたので、気合いで乗り切ることができました。

 スタジオで準備していると、何やら賑やかな声が響いてきました。メンバーたちの到着。やはり彼女たちが現れると、一気に場が明るくなります。それぞれマイクの前に立ったかと思えば、終始和やかな雰囲気で、スムーズにレコーディングは進みます。曲調が曲調なだけに、あまり小さなことにはこだわりません。彼女たちのエネルギーが伝わることが大切なので。細かなディレクションはせず、ニュアンスや空気感を大事にしました。

「はい、OKです!お疲れ様でした!」

 レコーディングを終えた彼女たちを待っていたのは、アップルパイでした。

「うわぁ!グラニー・スミスだ!」

 3大差し入れのひとつ、グラニー・スミスのアップルパイも彼女たちに好評でした。

「ミックスの日が決まり次第、ご連絡します」

 ご存知かもしれませんが、レコーディングしたところで曲が完成するわけではありません。ここからまだまだ長い道のり。神経を使う作業。ただ、今回は自分の曲ではないので、ある程度エンジニアさんにお任せしてからの微調整となります。

「では、これで行きましょう!」

 そうして、マスタリングという工程を経て「汗のニオイ気にならないZ体操!」が完成しました。自分の曲の時とは違って、肩の荷が下りたような感覚がありました。

 いろいろな立場の意見を反映させながら作るというのは、確かに大変な部分もありますが、窮屈なようで、意外と心地のいいものでした。自分の尺度だけで進行するのは、自由でもある反面、多くの決断を迫られます。自問自答を繰り返し、完成のタイミングも自分次第。そんな、「すべての決定権が自分にある辛さ」から解放してくれたのが、ほどよい制約だったのです。たまには、オーダーに応える形のトラック製作もいいものです。そして、グラニー・スミスのスタンプがいっぱいになりました。

2018年04月20日 07:51

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.happynote.jp/blog_sys/mt-tb.cgi/206

コメント

コメントしてください

名前・メールアドレス・コメントの入力は必須です。




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)