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2018年04月16日
第744回「ビオレとボレロ」
「それと、これはもしできたらなんですが…」
今回の、唯一と言っていい具体的な注文がありました。それは、普段、なんの制約もない中で作っている僕にとっては、むしろ心地のいいものでした。
「まだ、プレゼン段階ではあるのですが」
マネージャーからの電話を受けたのは新幹線の中。こみ入った話は後日伺うとして、現実味を帯びてくるとは想像していませんでした。それから数週間後。忘れていたわけではありませんが、思わぬ結果が待っていました。
「ももクロの件、決まりました」
白羽の矢が立つ、そんな表現が似合っているのではないでしょうか。DJやトラック制作こそしてきましたが、外からの依頼というのは数える程しかありません。そんな僕に、国民的スターへの楽曲提供というのは、企画といえど、宝くじが当たったような気分でもありました。
「明るく元気な曲にしたいと思います。」
記者会見後、レコー会社や担当スタッフの方と打ち合わせをしました。振り付けはラッキー池田さんで、歌詞は放送作家のオークラさん。それぞれの持ち回りを担当するのですが、楽曲に関してはあまり細かな注文はありませんでした。そんな、比較的自由度の高い依頼の中で、唯一の注文。それは、「ボレロ」をどこかで使って欲しいと言うこと。そうです、ラヴェルのあの名曲、「ボレロ」です。
「クライアントからの要望で…」
そういえば、これまでのCMシリーズではボレロが流れていました。社長さんの好みなのか、会長さんの好みなのか。そういえば、「ビオレ」と「ボレロ」って、雰囲気似ています。このリクエストを受けると、僕の体にやる気がみなぎってきました。
「feat.ラヴェル」
クラシック音楽のダンスリミックスはこれまで何度もやってきたので、お茶の子さいさいとまではいかなくとも、非常にアプローチしやすくなります。完全なる自由よりも、程よい制約。しかも、ラヴェルの「ボレロ」は大好きな曲。とてもポピュラーなあのフレーズをエッセンスとした踊れる曲。これぞまさに、ロケットマンの真骨頂とも言えるかもしれません。帰りの車内ではもう、頭の中で鳴り始めました。
「できた!!」
そうして、記者会見から数日後には、楽曲のデモを担当の方に送りました。ボレロの譜割りに歌詞を乗せるのではなく、ボレロのメロディーが裏でなっているというスタイル。さぁ、あとはこれをクライアントがOKしてくれるか。全てはそこにかかっていました。
2018年04月16日 07:50
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