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2016年04月03日
第653回「新しい音色」
ひとえにアシスタントといっても、番組によってその役割は異なりますが、この番組の場合、サポートだけではなく、身を削ったコメントを求められたり、非常に柔軟な対応力が必要とされています。間の取り方や、呼吸、でるところはでて、ひくところはひく。ある意味、コメンテーター以上にセンスが問われるかもしれません。MCとアシスタントというのはある意味、野球のバッテリーのような関係。ましてや、僕みたいにデリケートな人間の相手となると、その加減や塩梅がとても重要になるわけで、一歩間違えるとたちまち不協和音が響いてしまいます。
もしも僕が指揮者であるなら、彼女はコンサート・マスター(ミストレス)。自ら音色を奏でながらも、指揮者と団員との架け橋。この番組においては、日替わりのオーケストラを支える重要な役割を担うわけで、その楽団全体の響きに影響します。
アラフォーであるにもかかわらず、ちやほやされていた過去の栄光を捨てきれないものの、それが嫌味にならないところがまたいいのでしょう。どちらかといえば美人になるのでしょうが、にもかかわらず幸福の列車に乗り遅れている雰囲気、かたくなに次の列車を待っている決して妥協しないスタンスが視聴者に心地よい音色を与えていました。今回の卒業にしても、いわゆる寿卒業でもなく、「日本をはなれる」という、希望なのか不安なのかわからない「未来」がまた、番組らしく、彼女らしく、ちょっぴりビターな卒業式になりました。
下ネタ全然オッケーというわけではないけれど、拒否しないスタンス。どことなく漂う、関口ファミリーの香り。そこら辺の塩梅が、絶妙でした。ザ・おかわりシスターズでも、ダンス未経験であることを一切感じさせないパフォーマンス、それどころか、完全にアイドルになりきっているあたりに、お茶の間の好感と爆笑を得られたわけです。
そういう観点からも、彼女が素晴らしいコンサート・ミストレスであったことはいうまでもありません。僕が今日まで最低限のストレスで続けてこられたのも、彼女のおかげでしょう。
占いというものを鵜呑みにするわけではないですが、あながち間違っていなかったと思います。そもそも、番組を見ていたときも、「相性のいいベストパートナーに選ばれた人」だとは知らず、スタジオでお会いしたとき、マネージャーに言われて気付いたのです。そのときでさえ、信じられませんでしたが、頭の中で繋がっていなかったのです。
もしこのタイミングで卒業ではなかったら、アルタの最後を飾っていなかったかもしれないことを考えると、スタジオ・アルタの最後に立ち会えたこと、あの楽屋を使えたことは、内藤さんからの最後のプレゼントだと思っています。
そうして迎える新しいカタチ。あらたな音色。そこに寂しさや違和感が生じるのは仕方のないことで、最初は風当たりも強いかもしれませんが、これまでと違う音色がお茶の間に受け入れられるようにすることも、僕の役割だと思っています。2016年、春。卒業もあれば入学もあります。僕は指揮者として、素敵な音色をお茶の間に届けたいと思います。
2016年04月03日 17:32
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