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2008年01月20日

第301回「勇気ある決断?」

 30歳になってから毎年恒例にしていたお正月の海外旅行に向けて、9月の下旬くらいからすでにオーディションが始まっていました。オーディションといっても、そんじょそこらのオーディション以上に審査は厳しく、オリンピック招致に近いものがあります。熟考に熟考を重ねて、あぶりだすように開催国を決定するのですが、その長期に渡る厳しい審査を通らなければ、僕を招致することはできないのです。
 「うん、ドイツのお城巡りもいいなぁ、イタリアもいいけど日本人多いかな、スペインもいいらしいけど、もう一回アイスランド行ってオーロラっていうのもいいなぁ...」
 今回はヨーロッパ以外も視野にいれました。
 「いや、ブラジルでボサノバっていうのもありだし、それこそこの機会にナスカの地上絵もいいかもしれない、そうなるとエジプトも行きたい...」
 僕の本棚には、もうすぐ地球の歩き方が全巻揃いそうです。
 「さぁ、どこにしよう...」
 それは大規模なオーディションでした。ヨーロッパのみならず、世界規模のオーディションです。しかし、どの国もいまひとつピンと来ませんでした。どこかしっくりこなかったのです。
 「じゃぁ俺はどこで正月を過ごしたらいいんだ!!」
 そんな苦悩の日々を送っていたあるとき、ひとつの考えが浮かび上がってきました。それは、どこかの国の名前ではありません。
 「本当に、海外に行きたいのだろうか...」
 それは、すべてを覆しかねない発想でした。もしかしたら、お正月は海外で過ごす、というルールを決めてしまっているから、その場所を探しているだけなのではないだろうか。心のどこかで、海外に行かなくちゃいけない、という固定観念のようなものに縛られているのではないだろうか、そんな疑問が生まれたのです。
 「いや、そんなことはない!行きたいところがあるから行きたいんだ!」
 たしかに行きたい所はありました。ポルトガルが最終審査を通過しそうになっていました。というのも、首都のリスボンではなく、あまり知られていないもっと田舎のほうに魅了されていたのです。基本、ヨーロッパのよさは、郊外にあると思っているのですが、ガイドブックの片隅に映るその田園風景はとてものどかで牧歌的で、素晴らしい世界がありそうなきがして、少し気持ちはそこに向かっていたのです。しかし、そんなポルトガルへの引力から引き戻そうという力が、もうひとつあったのです。
 「しかも、やらなきゃいけないこともあるしな...」
 海外にいっていろいろ経験することも大切だけど、日常の中でやりのこしていることも気になっていました。いつかやろうやろうと言ったまま結局あとのばしになって、中途半端な状態でとまっていたものがいくつかあったのです。それを思うと、少しだけ気が引けてしまうのです。
 「いやいや、いつものようにノートパソコンもって行けばいいじゃない!それに帰ってきてからやればいいわけだし!」
 こうして、海外への引力と、固定観念への違和感・自分の創作意欲の引っ張りあいになりました。
 「海外いこうぜ!!」
 「じっとしてようぜ!!」
 しばらく拮抗状態が続きました。そして、年末にさしかかってようやく勝敗がつきました。
 「よし、海外はやめよう!お正月はじっとしていうよう!」
 そして、今年の正月は海外に行かず、じっとしていることにしたのです。つまり、自分の頭の中を旅することになったのです。普段仕事の合間にこなす場合、どうしても一回一回頭の中を通常モードに切り替えないといけなくて、それだと頭の中の奥の奥まで進めません。だから、2008年のお正月はとことん頭の中を旅しようと決めたのです。その結果、ほとんど自宅にこもり、外界との連絡も絶っていたような状況でした。
 ということで、いつになるかはわかりませんが、今回の頭の中の旅行記は必ずどこかで皆さんに届けたいと思います。あぁ、考えない一年にしようと思っていたのに。2008年もよろしくおねがいします。

1.週刊ふかわ |2008年01月20日 09:25

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