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2006年08月06日

第232回「勝手にツアー初日」

「もう地方にDJしにいくのはやめよう!」

そう思ったのは、たしか2年ほど前のことでした。

僕がDJを始めたのは、2枚目のアルバムを出した頃、いまから6年ほど前のことです。それまではお笑いの範疇にとどまり、音楽は他のアーティストの方にお願いしてもらっていたのに、アルバムを制作する過程で、なまじアーティストの方たちと触れ合ったものだから、「お前も音楽好きなんだろ?それなのに他の人に任せてていいのか?自分の音楽を表現しなくていいのか?」と、体内の音楽の血が騒ぎ出し、「次のアルバムはすべて自分の曲だけでつくろう!」そう決心し、はじめたのがDJでした。自分のアルバムを発表するための土壌をクラブにしたわけです。自分の音楽を表現するには、世の中に多少なりともその気持ちを伝える必要があると感じたからです。

DJというのは、最初は若干の勇気が必要ですが、慣れて来ると、自分の好きな曲をかけて盛り上がれるのだから、なんともいえない楽しさがあります。すぐに都内でレギュラーイベントをやるようになり、まもなく、地方のクラブからもオファーがくるようになりました。それこそ大きなクラブ、ディスコ、学園祭から、商店街、倉庫、ヤンキーのたまり場まで、様々なクラブでDJをしてきました。場所によりけりですが、たいていはたくさんの人が集まってくれました。でも遊びに来た人にとっては、ロケットマンだというよりは「ふかわがDJしてる!」ということなのでしょう。どうしても(ふかわりょう)を払拭することはできないのです。それでも、集まってくれた人たちにロケットマンを知ってもらえればと思い、続けてきました。その一方で、妬みや苛立ちの対象になることもあります。DJ中に、お酒を投げつけられたりライターが顔にぶつかることも多々ありました。正直、陰湿な攻撃をする奴は思い切り蹴っ飛ばしてやりたくなるほどムカつきますが、ある種これも有名税の一つだと思い無視していました。そんなこともありながらも、基本的にはみんなで盛り上がって楽しくDJをしていました。でも、盛り上がれば盛り上がるほど、冷めていく自分がいました。

「こんな人の曲ばかりかけて盛り上がってたってだめだ!」

当然、DJを馬鹿にしているわけではありません。人の曲だろうと、選曲や流れ、つなぎの美しさに個性が反映されるわけです。服で言うと、曲を作る人がデザイナーだとしたら、DJはスタイリストといったところでしょうか。既存の服の組み合わせによってオリジナリティーを出す。それもクリエイティブなわけですから。しかし、僕は、組み合わせだけでは満足できなかったのです。人の曲の組み合わせでは心は満たせなかったのです。

「自分の音楽を流したい」

今年こそはアルバムを出すぞと決めて、実際出せなくても、イベントでは盛り上がってしまいます。クラブが熱い空間になっていく中で、僕の心の中には、うしろめたさがあったのです。だから、決心したのです。

「自分のアルバムを出すまでは、地方のイベントにいかない!」

地方イベント禁止令を発布したのです。そうしないと、きっとアルバムを出せない理由をなにかのせいにして、地方DJで傷を癒してしまうのです。そもそも自分のアルバムをだすためにはじめたDJなのに、目的を見失ってしまうのです。「今年こそだすぞ!」と言い続けておじいちゃんになってしまうのです。そんな人生にしちゃいけないのです。ちなみに、東京のイベントはDJ仲間とやっているので、自分の思想を彼らに押し付けるのは違うので、東京のレギュラーイベントと、メンバーとの慰安旅行である山梨だけは継続されました。

それから月日が経ち、ようやくアルバムがリリースされることになりました。あれか6年、自分の音、音楽がようやく世の中に流れるようになりました。これで正々堂々と、地方イベントにいけるわけです。地方イベント解禁です。全国のクラブからヤンキーのたまり場までいけるのです。つまり、「愛と海と音楽と」リリース全国ツアーです。そうしたら、ちょうどいいタイミングでロックインジャパンのフェスがありました。日本のアーティストたちが集結する、巨大ロックイベントのひとつです。冬のイベントもあわせるともう4度目の出場となりますが、次第に常連ぽい感じになってきました。主催者はロケットマンのアルバムリリースとかそういったことは一切気にしてないけれど、僕の心の中では完全にツアー初日という気分です。なので、8月6日のロックインジャパンのフェスを、勝手にツアー初日とさせてもらいました。フェスがツアー初日なんて素晴らしいじゃないですか。この日を皮切りに、全国を飛び回るのです。そして、年末のフェスをツアー最終日にしちゃうのです。まだ、出場もなにも決まっていませんが。ちなみにどこらへんに飛び回るかは、ホームページのほうでチェックしてくださいね。

P.S.

三宿webの8月18日が急遽空いたので、ロケットマンバースデーパーティーをやることになりました。といってもいわゆるロケデラとさほどかわりません。若干お酒の量が多くなり、酔っ払ってハイになっているくらいでしょうか。みんなに甘えだしたら飲みすぎたと注意してください。ということで、8月11日はリリースパーティー、18日はバースデーパーティー。時間のある方はどうぞ遊びにきてくださいね。みんなにロケットマン納涼うちわをプレゼント。

1.週刊ふかわ |2006年08月06日 10:00