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2020年01月17日
第819回「西麻布の夜に」
忘年会や新年会。「5時に夢中!」だけでも曜日ごとにどちらかがあるので、割と多い方ではないかと思います。「忘年会スルー」など、その是非が問われている昨今、私が参加する場所ではとても和気藹々とした雰囲気で、普段話さないようなことも飛び交い、あらためて親睦が深まっていると実感しました。そんな中で、先日、恵俊彰さんと会食する機会もありました。現在はお昼の顔としてはもちろん、ゴールデンタイムでも安定したMCを務める事務所の先輩。出会ったのは、25年ほど前です。
私が芸能界の門を叩き、白いターバンを装着する前。全身タイツやギター、謎の小道具を駆使してひたすら訳のわからないことをやっていた当時。事務所のお笑いライブのMCをされていたのがホンジャマカのお二人でした。
新宿御苑前にあるビプランシアター。1階にはウェンディーズがありました。おそらくその日はお昼くらいからライブの設営をして、夕方から本番。それまで「お笑いライブ」の存在すら知らなかった私も、毎月参加していました。本番1時間前。どことなく場内がざわつき始めると、スタッフに囲まれて恵さんが到着されました。テレビに出ている人特有のオーラを纏っています。奥の部屋に腰掛けてスポーツ新聞を広げる様子。すると、多くの人の間をすり抜けて声が飛んできます。
「ふかわ、ハンバーガー食うか?」
耳を疑いました。しかし、恵さんはこちらを見ています。
ライブの途中に、Jリーグ人気にあやかった「イエローカード・コーナー」という時間がありました。お客さんがカードを持っていて、名もなき芸人がネタを披露し、カードが3枚上がったら強制終了。そのコーナーに以前出場した程度の私に声を掛けてくれたのです。名前を覚えてくれているだけでも相当なのに。なぜ恵さんが、たくさん若手がウロウロしている中で僕の名を呼んでくれたのかわかりませんが、無名な上にピンで孤独だった僕を救ってくれました。
ちなみに、そのような時期にもう一人声を掛けてくれたのは「ホリケン」こと堀内健さんです。一人で居場所のない私に、「フッくん、元気か〜」と軽い感じで。もう25年ほど前のことですが、どちらも鮮明に耳に残っています。
「ふぐ、頼んでおいたから」
あれから25年。ハンバーガーがフグ鍋になりました。地下の小さなライブハウスから、全国ネットのお昼の番組になりました。恵さんは事前の準備を綿密にするので、毎朝8時半くらいからスタッフと打ち合わせをして臨んでいるようです。番組のスタイルは違いますが、先輩の勇姿を間近で感じられるのはとても貴重だと思います。
懐かしい話と、これからの話。グラスに日本酒が注がれる西麻布の夜。車に乗り込む恵さんを見送ると、私はタクシーを拾って帰路につきました。
2020年01月17日 17:15
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