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2019年12月25日

第817回「とんぶりの旅2019冬〜後編〜」

 

「グランドピアノがあるそうです」

 T-1グランプリに参加するだけではく、放課後、体育館で講話をしてほしいという依頼があったのが数ヶ月前。せっかくみんながいるのだから、ただ話をするよりも、みんなで「とんぶりの唄」を歌いたい。それもCD音源ではなく、ピアノ伴奏で。そんな願いを込めて、学校に確認すると体育館にはグランドピアノがあるとのこと。環境は整いました。

「とんぶり応援大使のふかわりょうさんです!」

 拍手を浴びて向かう、体育館のステージ前。講話のテーマ「とんぶりの輪」と書かれた垂れ幕。席に案内されると、まずは4年生による「とんぶりの唄」の踊りがステージ上で披露されました。歓迎の儀式のようです。

「すごい!変わってる!」

 とんぶりの帽子をかぶった子供達がステージいっぱいに広がって、新たなフォーメーションができていました。いつ練習したのか、今日のために考えてくれたのでしょう。きりたんぽ祭りでは背後で見られなかったので、こちらも込み上げるものがありました。ステージから子供達が戻ってくると、講話の時間。と言っても、小学生なので込み入った話はすぐに飽きてしまいます。クラスメイトや先生、お母さんやお父さん、毎日見ている景色こそが奇跡なのだということを伝えました。今はピンとこなくても、きっと、いつかわかってくれるでしょう。

「それでは、例の物を持ってきてください」

 今年はとんぶりの輪を実感する一年でした。とんぶりのおかげで、たくさんの人と出会い、素敵な景色を見ることができました。そして今日の交流が一過性のものでなく、これからも続くように、これからみんなで唄いましょう。教頭先生に合図を送り、音楽準備室に眠っていたタンバリンや鈴などが運ばれてくると、それぞれに生徒たちが群がります。

「この楽器やりたい人!」

 颯爽と手が挙がった中で、体格のいい、やんちゃそうな男子に任せたのは、ウィンド・チャイム。シャラララーンと綺麗な音が鳴る楽器です。

「風になってこのチャイムを鳴らすんだよ。君の感覚でいいからね」

 グランドピアノの前に座り、軽く前奏を弾くと、合図なしでみんなが歌いはじめました。もうしっかり体に入っているようです。

「では、次、本番いきますよ!」

 改めてピアノ伴奏が流れると、タンバリン、鈴、手拍子、ウィンド・チャイムが鳴り、歌声が聞こえてきました。

「食物繊維たっぷり!」

「ナイスとんぶり!」

 体育館の中に響き渡る声。全校生徒と、先生と、親御さんと、みんなで奏でる、とんぶりの唄。この模様が、夕方のニュースで流れました。

「今日は本当にありがとうございました」

 拍手の中、体育館を後にする応援大使。荷物をトランクに載せると、みんなに見送られながら、タクシーがゆっくりと進んでいきます。日帰りなので、あっという間に過ぎてしまいましたが、心に深く刻まれる一日になりました。大館の街を、雪が彩っていました。

 

PS:今年もご愛読ありがとうございました。来年は、112日(日)の配信からとなります。よろしくお願いします。

2019年12月25日 17:18

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