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2019年01月18日

第774回「新しい楽章」

 

 1994年の夏、ちょうどはたちになった日に芸能界の門を叩きました。もともと、齢を重ねながら向き合える仕事として選んだわけですが、いまや人生の半分をとっくに超えています。25年。それは、決して短くはない道のりでした。

 デビュー当時はネットがないので、もちろんYouTubeも、ユーチューバーも存在しません。若手芸人の全員が皆テレビを目指していました。いつかテレビに出られると信じて、ライブのステージに立っていました。

 事務所主催や、小さなお笑いライブに出続けること半年。オーディションで深夜番組にひっかかりました。フジテレビの「P-STOCK」という番組。そこからじわりじわりと認知度が上がり「S1グランプリ」というテレビ朝日の特番や、TBSの「トキキン急行」に出演することで、全国の視聴者に名刺を配ることができました。ネットのない中で一気に広まる実感は、現在とは比にならないテレビの影響力の大きさを証明していました。

 ただ、名刺は配ったものの、バラエティーにおける役割が見つかりません。そんな中で、様々な方に救いの手を差し伸べてもらい、どうにか芸能界の大海原で生き延びることができました。そこから、いじられキャラという立ち位置がしばらく続きます。 

 30歳を過ぎ、未来の自分を想像した時、自分のイメージと現状に乖離がありました。しがみつくのはやめよう。やりたいことと、求められることは違うものですが、少しでも本来の自分に近づけたい。そうしないと、きっと、50、60歳の時にテレビの中にはいられないだろう。そんな意識が芽生え、ちょっとずつ軌道修正しながら進むことにしました。周囲から何を言われようが、自分の感覚を信じてきた結果、現在、やりたいことすべてができているわけではありませんが、両者が釣り合ってきました。

 先日青山テルマさんが「猫かぶっていた」とおっしゃったように、誰しも最初からやりたいことだけをやれるとは限りません。目の前の与えられたことでいっぱいいっぱいで、気にする余裕さえありません。今後の展望の地図を広げるまで10年かかりました。そして、いろんな島に漂着し、自分らしくいられる場所にたどり着くことができました。

 だからきっと、ここにずっといられるわけではないでしょう。やがてはこの島を離れ、また新天地を求めて航海をするのだと思います。

 芸能界に入るまでが第一楽章。入って25年間が第二楽章。そして、第三楽章へ。ちょうど元号が変わり、新しい時代とともに響き始めるハーモニーは、短調ではなく長調でいきたいと思います。25周年。たくさんの方の支えでここまで続けてこられました。本当にありがとうございました。これからは、皆さんの心を潤すメロデイーを奏でていきたいと思います。

 

2019年01月18日 08:16

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