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2018年12月13日
第771回「神様に会えた日」
「近々、ふかわさんに嬉しいお知らせができると思います」
スタッフからその言葉を受けて数日後、現実となりました。
「来週火曜日にリチャード・カーペンター氏がゲスト出演することになりまして…」
楽屋で報告を受けると、その後の生放送の中で、速報として伝えられました。リチャード氏の顔が画面に映ります。カーペンターズ。あの世界のカーペンターズがやってくる。しかも、このスタジオに。
5時に夢中!はローカル番組ではあるものの、これまで世界的なスターの方々がやってくるという非常に謎な実績もあります。しかしながら、まさか、カーペンターズが訪れるなんて夢にも思いません。奇跡としか言いようがありません。さて、お呼びしたのはいいけれど、一体何をすればいいのか。果たして、演奏していただけるのでしょうか。
「ピアノ演奏は厳しいそうです」
スタジオの構造上、そして予算上、グランドピアノが用意できません。そうなると、ご本人は良くてもレコード会社のブレーキがかかります。「色々な制限の中でできる最大限のこと」を模索していきました。
「カーペンターズのリチャード・カーペンターさんです!」
2018年12月11日。奇跡が起きました。音楽の神様が目の前に座っています。他の番組でも拝見しましたが、リチャード氏が日本のおもてなしを非常に喜んでくれていることと、周囲を和やかにするサービス精神が伝わってきました。
「カーペンターズが愛を育てるのです」
「このイントロが神なのです」
「闇から光へと誘われるのです」
セールスなどの尺度ではない目線で、カーペンターズの魅力を伝える番組MC。溢れるカーペンターズ愛に、その熱量だけは伝わったのではないでしょうか。
「これは、カレンが一番好きな曲だよ」
「確か、ハーブ・アルパートのアイデアだったかな」
「シングルではピアノのイントロをカットしたんだ」
リチャード氏の言葉。そして僕は、エレクトリック・ピアノの前に座り、鍵盤を押さえ始めました。ご本人の前での、まさかの生演奏。テレビの前のすべての人がご本人の演奏を期待する中での演奏は、なかなか勇気のいることではありましたが、ご本人に聴いていただけることの大きさに比べたら、大したものではありません。間違えないように弾くのに必死でしたが、その時体で感じたのは、リチャード氏の声。僕の演奏に合わせ、ハミングをしてくれていました。この「close to you」はしっかりと僕の胸にダウンロードされました。
カーペンターズ50周年。ずっと色褪せず、人々の心を捉え、優しく触れてくれるハーモニー。カーペンターズは永遠です。
そうして、神は去って行きました。ブログにあげたツーショットの写真は、放送前に撮影したものですが、肩に手を載せていただけました。このような機会を与えてくれた番組に感謝です。
ちなみに番組が用意してくれたエレクトリック・ピアノは、泣く子も黙るウーリッツァーという、こちらも世界的に愛されてきた名器。リチャード氏も愛用されたもの。放送では乗りませんでしたが、指をさして話をしていました。これで「close to you」を弾いたんだよ、とおっしゃっていたのかもしれません。子供の頃から聴いていたカーペンターズ。あの頃を彩ってくれた音。青春の輝きは、永遠となりました。
2018年12月13日 08:22
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