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2018年10月04日

第763回「フランスパンの神様」

 

「フランスパンの神様」

 その文字を見たときに、もしかしたらと思いました。とても残念な知らせではありましたが、正直なところ、まだご存命だという印象もなかったので、別の驚きもありました。

 フランスパンを日本に広めたことで知られるフィリッピ・ビゴさん。彼が初めて開業したのが1972年の神戸の芦屋。その後都内でも店舗を増やし、私が初めて一人暮らしをした街にも、ランドマークのように、ビゴおじさんの大きな看板がありました。エスプリ・ド・ビゴ。ビゴおじさんのパン屋さんは、私が、20歳の頃から通い続けているパン屋さんなのです。

 それまでパン屋さんというと、トングでつかんでトレイに載せるタイプのものが多かったのですが、ここはケーキ屋さんのように、ショーケースの中に入っています。また、焼きそばパンとかカレーパンとかはなく、添加物を使用しない、素材を活かしたシンプルなパンが並んでいました。

 お気に入りは、胚芽パンとレーズン・バンズ。パイ生地にツナが乗ったダノワーズ・ツナ。サーモンサンドや、カリカリの野菜のピザ。胚芽パンは、ボールのように丸いものと、食パンのようなタイプがあるのですが、包丁も入れられないほどの焼きたては、両手で割くと、ほわほわっと湯気が立ち上るほど。

 螺旋階段で2階に上がれば、ちょっとしたカフェスペース。下で選んだパンと一緒に、サラダやスープもいただくことができます。

 チーズとろとろクロック・ムッシュにクラムチャウダーと、生ハムのサラダと。20代の頃は、さらにもう一品くらいつけていたかもしれません。シャンソンが流れる店内でチーズが伸びる午後。気持ちのいい季節には、テラスで食べることもありました。また、曜日によっては、スウィーツ・デーみたいなのがあり、気がつくと女の子とたちで溢れていることもありました。

 フランスパンはもちろんですが、フランスパンで作ったフレンチトーストも最高です。これにコーヒーがよく合う。あとは、袋に入ったラスク。キャラメル味と黒糖味があって、おやつにぴったり。

 最近では塩ロールが加わったり、多少の変化こそありますが、基本的には変わらない安心感。二十年以上通っていますが、あまりラインナップを変わらないところがまたいいのです。クロワッサンもスコーンも、ずっと変わらずいてくれる。

 今は美味しいパン屋さんはたくさんありますが、私はやはりここのパン屋さんは欠かせません。ビゴさんの優しさが味に現れているようで。これからもビゴさんのパンをたくさんいただきたいと思います。

2018年10月04日 08:32

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