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2015年11月01日
第633回「素敵な三角形」
いざはじまってみれば、期待を裏切るほどに順調に動き出したのではないでしょうか。立ち位置の違いこそありますが、毎回ふたりのゲストを迎え、三人向かい合って言葉を交わすトライアングルは、まるで交差点での立ち話。ここだとなんですから、ちょっとお店でもはいりましょうか。久しぶりの人、普段は会えないような人。初めましてからはじまる2時間は、それなりにスリリングではありますが、徐々に距離が近づき、心がほぐれてゆく感覚がなんとも気持ちいい。言葉のキャッチボールを楽しむ3人の大人たち。大人ではあるけれど、中身はあの頃のままの男女が交わす会話は、まるでジャズの即興で合わせるセッションのよう。トークセッションという表現がまさにしっくりくる番組かもしれません。
「とにかくライトに!」
やもすると、重く堅い話になってしまいがちな番組なので、心がけていること。とにかくライトに。これまでテレビやラジオと向き合ってきて、常に大切にしていることのひとつ。皆が適当にやるのではありません。知恵を絞ってライトな仕上がりにする。とにかく、説明は最小限。
音楽もライトにするための重要な役割を担っています。僕たちはメディアから音楽を奪われたあの日々を忘れていません。やはり放送には、特に音だけのメディアは、音楽がないとどんどん沈んでしまいます。それがなければ、笑い声が必要です。
貧乏話だとか、破綻した人の話だとか、近頃のテレビが映すものは、「あぁ、よかった」と一時的な快楽を与えるかと思えば、突然不安を煽ったり。だから、ラジオはもっと、長期的で平穏を与えたいものです。
おそらく社交的な人間ではないタイプの僕が、こうやって日々、いろいろな方々と出会えることは本当に恵まれていることだと思います。どちらに進もうか迷っていたこともありましたが、いまは、こちらに舵を切ってよかったと思っています。すっかり固まって硬く濃い絵の具が、水で薄められゆくように。ひとつの色で世界を描くよりも、たくさんの色で描いたほうが鮮やかでしょう。もちろん、ひとつの色でも素敵な世界を描く自信はありますが。
これから、あの交差点で、どんな人たちと出会うのでしょう。そこで繰り広げられる会話は、まさしく音楽のように流れてゆく。理屈をぶつけあうことでもなく、結論を出すことでもなく、ただ、流れてゆく。それこそが、メディアとしての、ラジオとしての役割だと思っています。
ビールが喉ごしなら、通り抜けてゆく言葉たちの、耳ごしを味わってもらえたらと思います。頭ではありません。深夜のファミレスに集う大人たちの会話。あの3人はいったいなにを話しているのだろう。周波数を合わせてみれば、中身があるのかないのか、他愛のない話。ただ、それだけのこと。
2015年11月01日 18:37
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