« 第602回「ロータスのビスケットを食べながら」 | TOP | 第604回「おそるべし、アジフライ」 »

2015年02月15日

第603回「染まってしまった男」

 ちょうど600回を迎えるあたりから、この「週刊ふかわ」にひとつの変化があったのですが、お気づきになりましたでしょうか。これまでと違う点、それは、原稿を書く際のノートパソコンがMacになったこと。 WindowsからMacに変わったのです。そんなこと気付くわけないというのが一般的なリアクションですが、僕の性格を理解してくれているファンの方であれば、理屈は想像できるでしょう。気候や風土の違いがワインの味に影響を与えるように、環境の変化で週刊ふかわの味も変わるのです。
  iPhoneこそ使用していたものの、なかなかWindowsを離れられなかった要因のひとつは、そこまで手を伸ばしたら、性格まで変わってしまいそうな気がしていたから。上京して東京に染まってしまった人に対する「あいつ、変わっちゃったな」という目。人間としての大切ななにかを失ってしまうのではないだろうか。そんな妄想が、Macユーザーになる気持ちにブレーキをかけていました。
  しかし、制作意欲の維持のために適度にパソコンを買い換えているのですが、今回のタイミングは、どんなに贔屓目に見ても、Windowsコーナーに欲しいパソコンが並んでいない。かつてはあんなにわくわくさせてくれたVAIOにさえ、もはや心を揺さぶってくれるものがないのです。それで、一抹の後ろめたさを抱きながらレジに持って行ったMac Book Airの一番小さいサイズはいまのところ、とても快適で、オープンカーを購入した時に似た、もっと早く買っておけばよかったという気持ちさえ芽生えました。
  捨てられない箱、計算されたデザイン。指の感触。ひとつひとつ、細部にまでこだわりが見えるアップル製品の素晴らしさは、今更ながらラジオでも何週にも渡って語ってきましたが、もうひとつ大切なことがありました。それは、コーヒーが美味しいことです。
  独断と偏見で申し訳ないのですが、VAIOのノートパソコンで原稿を書いているときに飲むコーヒーよりも、Mac Book Airでカタカタしながら飲むそれのほうが、格段に美味しい。WindowsよりもMacのほうが、コーヒーに合うのです。スタバで作業している人たちのほとんどがMacであるのはそのためなのかわかりませんが、このコーヒーが美味しいかどうか、というのは非常に重要な尺度なのです。このことに関しては、またラジオでお話ししましょうか。ちなみに、Windowsに合うのはいまのところ、辛口のジンジャーエールか、豆乳です。
  僕はすっかり染まってしまったのでしょうか。内側にはいってしまうと気づかないように、大切ななにかを失ってしまったことに気づいていないのでしょうか。でも、失っていないものもあります。それは、国内製品への期待。こう見えても、ウォークマンで育った昭和の男。曲を作る際はいまでもWindowsにお世話になっています。いわばそれが最後の砦。それさえもMacになってしまったら、僕はもう、「東京」から帰ってくることはないのでしょう。僕が「地元」に戻るかどうかは、日本のメーカーの力量にかかっているのです。

2015年02月15日 09:45

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.happynote.jp/blog_sys/mt-tb.cgi/61

コメント

コメントしてください

名前・メールアドレス・コメントの入力は必須です。




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)