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2013年01月27日

第517回「ORDINARY MORNING」




 





 





焦げたパンの匂い。





やかんを揺らす蒸気の音。





やがてコーヒーの香りに満たされて





光と湯気が重なっている。





 





窓の外の牧草地帯。





草を食んでいるマシュマロたち。





寝そべっている羊たちを起こそうと、





飛び跳ねている黒い犬。





 





今日も青空が広がっている。





 





ゆっくりと流れる穏やかな午後。





ゆったり流れる退屈な午後。





羊たちを連れて





海辺の道を散歩すれば





たどりつく、太陽があたためていた場所。





 





風に誘われてやってきた





雲たちを映す池と、





宝石をばらまかれた、





海の煌めき。





 





どんな音がきこえるだろう。





 





ゆっくりと太陽は沈み





空が赤く染まってゆく時間。





遠くの教会の鐘が揺れたら





色は空へと集まって、





犬のように真っ黒な夜のはじまり。





 





星たちが顔をだして





ときにはオーロラが現れるだろう。





光があふれだすだろう。





そして朝は訪れるだろう。





だれもしらない





海辺の家で。





 





やがて訪れるいつもの朝は、





いつもと同じようで





どこか違う。





小さな違いに気づくのだろう。





その輝きに、気づくのだろう。





 





だれもしらない





海辺の家で。










2013年01月27日 12:41

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