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2015年03月08日

第606回「替えなんていくらでもいるから」

「替えのきかない仕事だから大変だね」
という言葉は芸能界に限らず、一般的に使用される表現で、僕自身も風邪を引いたときなどに向けられることはあります。たしかに、「替えのきかない人」はいるのだろうし、この表現に反発するつもりもないのですが、僕自身は、そうは思っていません。むしろ、「替えなんて、いくらでもいる」と思っています。
  自分の代わりなんていくらでもいる。だれがやっても同じ。これだけ聞くと、どこか悲観的でネガティヴな印象を与えてしまうかもしれませんが、決して悲観的になっているのではありません。「替えなんていくらでもいる」からこそ、自分が任されていることの意味を実感するのです。
  たとえば芸能界。タレントによって個性やカラー、イメージこそ異なりますが、どんなに唯一無二の存在だって、必ず空いた穴は埋まってしまうもの。もちろん、「5時に夢中!」の司会にしてもそう。休み中の代打MCを見ればわかるように、僕の代わりなんていくらでもいます。なのに、僕が任されている。これだけたくさんのタレント、芸人さんがいるなかで、なぜか、僕が選ばれている。運も実力のうちといいますが、実力で掴んだなんて思いあがったら、それこそ運なんて逃げて行ってしまうでしょう。替えなんていくらでもいるからこそ、任されていることに感謝せずにはいられないのです。他の人でもいいのに、どうして僕がやっているのか。ましてや、それが自分のやりたいことと一致しているのなら、そんなに素晴らしいことはないでしょう。
  そしてまもなく、この番組も10周年を迎えることとなりました。ほんとうに、いいタイミングでバトンを受け取りました。襷が回ってきました。指し棒は代々引き継いできたバトンと言えるでしょう。たまたま僕が走っている区間に、10周年地点があったのです。まだ正式に決まったわけではないですが、この段階でなにもいわれていないので、おそらくもう少し走らせてもらえるのでしょう。これから4年目に突入することになります。次の走者が手を振って待っている姿が、いつ見えてくるのか。これまでの走者のなかでもっとも長い区間になるかもしれませんし、もう間近に迫っているのかもしれません。次に見えてくるのは、ゴール地点ということだって、ないとはいえません。走っている僕自身さえわからないことですが、この区間を任されている限り、しっかりとバトンを握りながら走り続けようと思っています。誰でもできるのに、自分が任されているということ。替えなんて、いくらでもいるということ。だからこそ、いま、この区間を走っていることに感謝して。

2015年03月08日 09:51

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