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2018年02月16日

第736回「春はもうすぐ」

 

 お墓参りに行ってきました。多いときで年に数回訪れるのですが、雪の影響などもあり、今回は少し間が空いてしまいました。

 自宅から車で3時間半。不謹慎ではありますが、「ストーン・ウォッチング」と称するほど、割とカジュアルに捉えていて、どこか小旅行のような気分で向かいます。このような遠距離には、いつでも横になれるダッジ・バンが最適。長時間の運転もさほど疲れません。

 サービスエリアに立ち寄ることも、その楽しみのひとつ。パン屋さんで美味しそうなものをトングで掴んで、甘い系のパンもトレーに載せて。ホットコーヒーと音楽をお供に、景色をぼんやり眺めながら向かう祖母のお墓参り。

 何回か訪れるたびに、車内で流れる音楽が絞られていき、いまでは「お墓参りコンピレーション」なるものがあります。と言っても、決して暗いトーンのものではありません。東京を離れ、田畑が広がるのどかな風景にマッチした曲。特に冬は、田畑の黄土色がノスタルジーを刺激し、胸がキュンとなるのです。

「みたらしと、海苔と、しょうゆを2本ずつ」

 途中、お団子屋さんに寄るのも欠かせない要素。かつては平日に行くことが多かったので定休日にぶつかり、よく肩を落としていたものですが、今回は希望のお団子を手にすることができました。そこからほとんど民家はなくなり、山をいくつも越えたところに、祖母のお墓はあります。

 いつもの位置に車を停めて、歩いて向かいます。

 静かに両手を合わせる時間。

 目を瞑ると、祖母の顔が浮かんできます。

  墓地を後にした車は、来た道とは逆の方に向かいました。焼畑の煙が至る所で立ち上っているのが見えます。ダッジ・バンは車高が高いので見晴らしがいいのです。そして、サービスエリア、お団子屋さんに続いて、欠かせない場所がありました。

「早くついたな」

 それは道の駅。サービスエリアが好きな僕が、嫌いなわけありません。が、どこの道の駅でもいいかというとそうではなく、やはり好みがあります。ここの道の駅は川に面している場所で、心が落ち着くロケーション。地元の採れた野菜などが並んでいるのを眺めているだけでほっこり。今の時期は、苺がたくさん並んでいました。

 河川敷に停めた車の大きな窓から臨む川の流れ。さきほど購入したみたらし団子と珈琲。窓を開けて風の音を聴くこの時間がとても好きなのです。

 道の駅の後も、車は引き返しません。まだまだ向かうところがあるのです。

「うわぁ、最高!」

 僕の体は熱いお湯に沈んでいきました。ここで、朝からのロングドライブの疲れを落とします。毎回というわけではありませんが、時間に余裕があるときは温泉まで足を延ばすのですが、今日は、入るつもりで早起きして出発していました。完全露店ではないのですが、入口から脱衣所までの雰囲気と、土産物のラインナップなどが程よく鄙びていて好きなのです。地元のおじさんたちに混ざってお湯に浸かるひと時。帰りに梅酒を購入し、体がポカポカになって向かったのは、先ほどとはまた別の道の駅。

「一本ください」

 今度は、お団子ではありません。あゆの塩焼きです。ここの道の駅は食べ物が豊富でいつも何を食べようか迷ってしまうのですが、結局いつも手に取るのはこれになります。あの、身のうねりが堪らないのです。

 ここでもお土産を購入して、ようやく東京に向かいます。のどかな風景から、徐々に見慣れた看板を目にし始める郊外の街並みも、嫌いではありません。帰りの高速道路は、アゲアゲのDJミックスが流れていました。

 お墓参りというより、もはや日帰りのショート・トリップ。でも、祖母のお墓参りがなかったら、こういうこともしないでしょう。車の中は、苺の香りが漂っていました。

2018年02月16日 14:14

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