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2018年02月09日

第735回「シリーズ日常を支えるもの〜歯医者さん〜」

 

「ほら、見てください」

 そう言ってドアを開けると、バーのようにウィスキーやブランデーなどのボトルが並んでいました。想像以上の数に驚いてしまいましたが、お酒以外にも、箱に入ったフィギュアやソフビのようなものまであり、そこは院長室というよりも、子供部屋のようにさえ感じました。

 これまでの人生の中で、数々の歯医者さんにお世話になってきましたが、今通院しているところがおそらく一番長いでしょう。子供の頃は本当に嫌で、女性医師しかいない歯科だったり、幾つも転々としたものですが、もっとも安心感のある病院にたどり着くことができました。誰の紹介だったか忘れてしまいましたが、待合室でタレントさんにお会いすることも多々ありました。

 よくお話をされる先生なのですが、話が弾んでお酒の話になりました。ここにウイスキーを置いているということで、帰りに院長室を見せてくれたわけですが、アルコール依存症ということではありません。なんでも、高級なお酒は油断していると奥様に勝手に売られてしまうらしく、ここに避難させているのだとか。先日も、大切にとっておいたお酒が娘さんのパソコンに変わってしまったのだそう。仕事の後に飲むのかわかりませんが、そんな理由で院長室がバーになったことに、思わず笑みがこぼれてしまいます。

「それでは、麻酔を打ちますよ」

 奥から2番目の歯を抜いてから数ヶ月。結局インプラントではなく、ブリッジという形式を選ぶことにしました。最近、よく耳にしますが、ブリッジは、両隣の歯を橋脚のようにして、抜いた部分に橋を架けてしまおうというもの。もしかすると、インプラントより手間がかからないのかもしれませんが、橋を架けるために両側の歯も削らなければなりません。それが結構大胆で、なんの罪もない歯を思いっきり削られるので、ショックを受ける人も少なくないそうです。幸か不幸か、僕の両側はすでに前科持ちだったので、そこらへんのショックはありませんでしたが、それでも、新たに削り直すため、麻酔を数本打っての橋梁工事は、騒音と振動と、なかなかハードな時間でした。

「本当は、3本分なんですけど、2本分にサービスしておきますね」

 インプラントに比べればまだいいかもしれませんが、ブリッジもそれなりにお金がかかります。正直、このサービスの基準は良くわかりませんが、先生のおかげで安心して臨むことができました。

 仮に海外で生活する場合、懸念材料の一つはやはり医療です。特に歯医者さんとなると、海外だとあまりに不安が大きい。もちろん、自己管理ができていればいいわけですが、これまでの実績を考えると、歯医者さんにお世話にならずにこのままいける気がしません。やはり、いい歯医者さんの近くで生活している安心感。これは、失ってその大きさを実感するでしょう。

 これからは、習い事のように、週一で通って歯を診てもらいたいくらいです。そして、もう長いことお世話になっているので、いつか、院長室で一杯やってみたいものです。

2018年02月09日 14:13

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