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2017年12月08日
第729回「クラシックの友2」
大勢の関係者に囲まれて入ってくるかと思いきや、会議室に現れたのは、小泉元総理お一人でした。
「本日、インタビューさせていただきます、ふかわりょうです」
忍者のように足音に敏感になっていたので、心の準備はできていました。
「あ、そう。ちょっとトイレ行ってくるよ」
再び二人きりになった僕とカメラマンさんは顔を見合わせました。ここで一呼吸おけました。元総理が用を足している間に担当の者が恐縮した表情で戻ってくると、続いて編集長も現れました。やはり、小泉さんはお一人のようです。
「本日はどうもありがとうございます。以前、厚生大臣時代に…」
一度取材をされたそうで、今よりも若々しい純一郎氏がテーブルの上で天井を眺めていました。
「おう、そうか」
それから一通りの挨拶を経て、対談が始まりました。対談と言っても、もっぱら僕がお話を伺うので、インタビュアーとして。お相手がお相手なので、機嫌を損ねるということはないでしょうが、やはり気持ちよくお話していただきたい、そう思っていました。
あらかじめ著書を読んでいたので、どれくらい造詣が深いかは了承済みでしたが、いざ話が始まると、とても饒舌で、熱心に語るその姿は、かつてのエネルギッシュな総理につながるものはありました。また、幼少期のことなども、鮮明に覚えているようで、幾つになっても好きなことは目を輝かせるものです。
「では、そろそろ撮影の方に」
もちろんインタビュー中も撮ってはいますが、改めてカメラ目線での撮影。握手をすると、まるで充電してパワーを補給するような感覚になりました。
「すみません、私のスマホでも…」
掲載用の撮影の後、自分のスマホを取り出さずにはいられません。その後、場所を移すと、「君も入ったらどうだ?」と周りのスタッフにも声をかけて、しばらく撮影会が行われました。
「それじゃぁ!」
車の窓から顔を出し、颯爽と帰って行きました。さすがに運転手の方はいらっしゃいましたが、その姿は、もはや自由を手に入れ、何にも縛られていない男という印象でした。覚えてくれたかわかりませんが、もしも今度お会いする機会があれば、またクラシックの話をしたいと思います。車を見送ると、僕と、担当者、そしてカメラマンの3人は、顔を見合わせ、安堵の笑みを浮かべました。
「このサンドウィッチ、すごく美味しいです!!」
取材後、目の前にある珈琲店で遅めのランチ。普段は、そんなことしないのに、興奮状態だったため、なんだかテンションがおかしくなっていました。
なかなかお会いできない方々と、クラシックで繋がる。とても素敵なことだと思います。とりあえず一年間ではありますが、世の中、社会に多大な影響を与えた方に、クラシックへの思いを伺ってきたいと思います。これからどんな出会いが待っているのか。クラシックの友。「音楽の友」一月号より掲載となります、よろしくお願いします。
2017年12月08日 13:57
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