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2017年09月01日

第718回「それでも夏を嫌いになれない」

 

 9月になりました。毎年恒例のアルバムリリースも、ロケフェスもなかったこと、そして、「やりません」とも「出しません」とも、はっきりお伝えできなかったこと、とても心苦しいところではありました。楽しみにしてくれていたファンの皆様には非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 フェスもニューアルバムもない夏でしたが、本来それらに注ぐ予定だったエネルギーは、別の場所に分散されていきました。ゲストDJやトラック制作、何より、気持ちに余裕も生まれました。それくらいアルバム制作やイベント開催というのは、全身全霊をかけて遂行されます。悪くいえば、盲目的になってしまい、全意識がそこに集中してしまって、他のことがあまり手につかなかくなってしまいます。だからこそ、得るものも大きいわけですが。

 ゲストDJとして様々なイベント出演することや、時間や気持ちに余裕ができた今年の夏は、やはりいつもと違う景色が広がっていました。

 特に、ゲストとして赴く場所は、普段のホームのイベントとは異なり、外の空気を吸うことになります。アウェイとまではいかなくとも、僕のことをあまり知らない人たち、好意を抱いていない人たちの前でパフォーマンスすることになります。それだけ緊張感が高まるのですが、それらを避けて外の空気を吸わないでいると、井の中の蛙になってしまいます。

 あらゆるエンターテインメントにおいてそうですが、ファンではない人たちの前でどのようなパフォーマンスができるのか、ということはとても重要なこと。ファンの方々と共に楽しむことも大切なことですが、それだけではいつまでたっても水槽は大きくならない。大海に出られない。いつもと違う道を歩くことで気がつくこともあります。新規獲得のためではありません。表現者としての筋力を鍛えるため。「書を捨て、旅にでよ」と言いますが、表現者はやはり「旅」にでる必要があるのでしょう。

 いつもホームだけで試合をするのではなく、アウェイの中で戦うことがいかに大切なことか。もっといえば、どういう状況であろうが、ファンであろうがなかろうが、いま目の前にいる人たちを楽しませることができるかどうか。目の前にいる人たちを大切にする。決して容易なことではありません。これ程シンプルなことが、とても重要なのです。

 もちろん、地方巡業をはるばる応援しに来てくれる方達にはとても感謝しています。どこに行ってもファンの方がいることで、とても安心します。皆さんのおかげで、とても楽しく「旅」に出ることができます。本当にありがとうございました。これからもきっと「旅」は続きますが、皆さんの遠征も楽しいものになるよう、願っています。

 ニューアルバムも、ロケフェスもない夏。いつもと違う夏から、たくさんのものを吸収できました。やっぱり夏を嫌いになれない。

 

 

 

2017年09月01日 13:44

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