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2017年07月21日
第713回「ビバ!ジム・ジャームッシュ」
いいのかな、言っちゃっていいのかな。いいよね?鉄は熱いうちに打て、感想は熱いうちに書けっていうからね。書いちゃいますよ?こんな素晴らしい作品を見て、黙ってろっていう方がおかしいのですから。
公開前の映画の試写会だったり、コメントの依頼が時折やってくるのですが、なかなか魔法にかからない偏屈街道まっしぐらの男の心を揺さぶるのはなかなか困難で、あまり好みでなくとも仕事ですからそれなりのコメントをしなくてはならないものの、それでも嘘をつけなかったり、裏切りたくないとか、葛藤の末にメールを送信する事がよくあるのですが、今回は、この「熱さ」を送信しました。
揺さぶられるどころか、ぶっ倒れそうになりました。完全にノックアウト。とにかく素晴らしい、最高の作品でした。あぁ、見てよかった。依頼してくれた配給会社の方、ありがとう。きっと僕なら好きになってくれるだろうという憶測があったかもしれませんが、狙い的中。完全降伏。もはや、「今日まで生きてきてよかった」とさえ感じてしまいました。っていうか、まだ起き上がれません。映画館だったらスタッフに連れ出されていたかもしれません。映画って、やっぱりこうでなくっちゃ。
これまで彼の作品の全てを見てきたわけではありませんが、もはや信者といっても過言ではないくらいその世界観が好きです。信者だからそう言うのでしょう?確かに、中には世界観だけかなと思われるものもありますが、今回はやばいです。大変です。完全にフカデミー賞最優秀作品賞にノミネート!最終力候補となっております。アカデミー賞受賞作品がフカデミー賞を受賞するとは限らないわけで、むしろアカデミーに裏切られた方や、サブカル好き、単館映画好きにはこのフカデミー賞の方が信憑性あるかと思います。
そして、助演男優賞はもちろん、永瀬正敏さん。あの雰囲気は、日本人だからとか、贔屓目ではなく、素晴らしかった。彼を起用する意図がわかりました。
とにかく、ジム・ジャームッシュファンなら絶対に裏切らない。もしも裏切っている点があるとしたら、大衆向けに少しわかりやすくなっていることくらい。だから、これまで食わず嫌いだった人や、一度味見したら口に合わなかった、なんて人にもお勧めできます。デヴィッド・リンチ亡き今、僕のような人間を満足させる、数少ない映画監督のひとり。もしも僕がジム・ジャームッシュの友人ならこういうでしょう。
「今回の作品も最高だったよ、ジム。こんな素晴らしい作品を創る君が友達で本当に光栄さ。たとえ人生のどん底にいても、この作品がすくい上げてくれる気がするよ。よく訪れたあのバーで、今度乾杯しようじゃないか。」
永瀬さん演じる男があの場所で放った、あの言葉。英語ではなんて言ったのだろう。映画「パターソン」日本での公開は8月下旬とのこと。ありがとう、ジム・ジャームッシュ。ビバ!ジム・ジャームッシュ。
2017年07月21日 13:38
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