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2017年07月14日

第712回「シリーズ・日常を支えるもの〜和菓子屋〜」

 

 ここへきて、和菓子屋さんに通う機会が増えました。有名なお店というわけではなく、商店街にひっそりと佇む和菓子屋さん。そもそも和菓子屋さんなんて、商店街にあってもなくっても、己の人生には関係のないものだと思っていました。しかし、最近になって、その意識が変わってきました。なくては困るとまでは言いませんが、妙に和菓子熱が高まってきたのか、日常生活に潤いを与える、重要な存在になっています。

 お団子、どら焼き、水羊羹。くずきり、きんつば、いちご大福。日本を代表する甘味、和菓子。子供の頃はそれらの魅力に気づくことができず、スナック菓子やおかきのような、塩気の強いものばかり食べていました。お団子も、醤油やみたらしは好きでも、それ以上甘いゾーンには手を出しませんでした。和菓子好きの小学生というのも珍しいかもしれないですが、餡に対する苦手意識が強かったのです。高校生の頃、満員電車に揺られながら、扉横の水羊羹の広告をずっと見つめていましたが、それでも、食べたいとは思いませんでした。

 あれから月日が流れ、スナック菓子ばかり食べていた子供も大人になると、和菓子を口にする頻度が高まり、ついに、海苔のお団子が野党になる日が訪れました。先日も、昼の生放送でアナウンサーが紹介した「井村屋の夏ギフト」に完全に心が奪われてしまいました。それくらい、2017年。僕の中で、和菓子ブームが来ているのです。

 それに拍車をかけるように、近所の商店街に新しく和菓子屋さんがオープンしました。発見した時の心の高鳴り。自分にとって必要な存在であることを再認識できました。さっそく足を運んで見れば、ショーケースの中に並んだ色とりどりの和菓子たち。形もサイズも可愛らしく、まるでお花畑にいるような気分になります。見ているだけで楽しい。和風のコーヒーカップと、丸みを帯びた和菓子と。和菓子屋さんこそ、イートイン・コーナーを設置して欲しいものです。

 商店街にはすでに数軒和菓子屋さんがあったのですが、どこも店先に貼られた、流れるような筆の文字が風鈴のようにとても涼しげで、「冷やし中華始めました」とはまた違った、季節を感じられます。

 実際、近所に和菓子屋さんがあるととても便利な側面もあります。差し入れを買わなきゃという時に、パッと買いに行けて、あれこれ悩まなくて済むので、精神的負担になりません。さっそく、ポイントカードを作ってしまいました。行きつけの喫茶店のように、行きつけの和菓子屋さんがあることが、大人になった気がして嬉しくもなります。そんな和菓子屋さんの存在が、現在の日常生活に潤いを与えてくれているのです。

 

2017年07月14日 13:37

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