« 2015年07月 | TOP | 2015年09月 »

2015年08月30日

第626回「ロケフェスレポート②」

「おったまげ〜!!」
 金のソバージュが滝のように流れています。
「私でよかったら、やりますけど?」
 現れたのは、アメフトのような肩パットをいれた赤いスーツの女性。そうです、バブル芸人・平野ノラ。
「もしかして、来年からトイレ休憩、やってくれるの?」
ちょうど後継者を探していたので、ある意味渡りに船。でも、トイレ休憩だからといって、だれでもできることじゃありません。それなりの芸歴があってこそ。果たして彼女に務まるのでしょうか。
「じゃぁ、50音でやるネタあるよね?それでやってみようか?」
 そうして、リキッドルームの「リ」からはじまったベストヒット・バブリーは、早々にお客さんの心を掴み、50音が飛び交う会場は、魚市場のような活気に満たされていました。リクエストに応える彼女はもはやジュークボックスならぬ、バブルボックス。植松さんの奉行が局地的な反応に対し、彼女のネタは会場にいる年齢層との親和性が非常に高く、高打率でヒットを連発します。
「もうやめてくれ!」
いまにもそう叫びそうな負け顏の植松氏に対して、相変わらず勢いが止まらない平野ノラ。もはや世代交代の潮目を感じずにはいられません。
「じゃぁ、来年から頼むよ」
 わざわざリングに呼び戻されて、引き継ぎという名の下克上。なんともほろ苦い引退式となりましたが、それも彼の持ち味。暖かい拍手と労いの言葉を浴びて、彼は去って行きました。
 そうして心温まるトイレ休憩が終わり、登場したのは、マイク一本で世界を股にかけるヒューマンビートボクサーのdaichiくん。今回は仲間を連れてきたようです。
「yoyo!rocketman yo!」
 ランニングにキャップに無精髭。ぱっと見、あまり関わりたくない印象を与える彼こそ、ヒップホップ界の重鎮、k dub shineさん。一体いつあわせたのか即興なのか、daichiくんのビートに絡まる本物のラップ。これにはfussyもびっくりです。やがて同じくキングギドラのDJオアシスさんとのバトルが勃発し、会場はさながらアンダーグラウンドな雰囲気に。はたから見るとdaichiくんがヤンキーに絡まれている状態ですが、これぞまさしくライブパフォーマンスの真髄。臨場感のある時間。ロケフェスの裾野が広がりました。
「次の方どうぞ〜!」
続いて現れたのは、蒲田のヤンキー、いやアレクサンダー。今回はバンドメンバーのジャンと謎のギタリストを引き連れています。
「今日は、ビッグジョーズで歌います!」
 それはバンドの名前。歌う曲は番組でよく口ずさんでいた「フルーツ・パラダイス」。音楽をなめているとしか思えないその中二クオリティーもなぜか微笑ましく見えてしまうところが彼の魅力。ジャンのベースのコードがどこにつながっているのか気になりましたが、彼らのような存在は、なにかあったとき、救世主となるでしょう。未来が楽しみです。
 蒲田のヤンキーと入れ替わるようにきこえてきたのは、どこか昭和の香りのする音。背の高い女性が、まるで演歌の花道のように颯爽と現れます。ミッツ・マングローブさんです。
「この曲、リズム足しておきました」
 前々日、神戸出張の際、使用する音源を確認しました。一曲はしっとりで、もう一曲は夏らしい曲。この対照的な2曲をどこにはめるか、どのように見せるか、頭のなかで想像していました。
「ミッツさんでした〜!!」
 掴みました。魅了しました。アレクサンダーが散らかした空間を見事に浄化し、ミッツ・マングローヴの世界になりました。番組では見られない彼女の本気の姿。個性的なキャラクターが舞台上で入れ替わるここらへんの流れは、個人的にお気に入りの流れでした。そして、ミッツさんの姿が消えると、爽やかな夏らしいギターの音色がきこえてきます。そうです、あの歌姫がロケフェスに帰ってきました。

11:05 | コメント (0) | トラックバック

2015年08月23日

第625回「ロケフェスリポート①」

 夏らしい空が広がっています。前日を休みにしていたので準備万端、今日に備えてしっかり休養もとれました。早いことはわかっていたし、来ないわけないのですが、いざその日が来ると、やはりやさしい電流のようなものが体を流れはじめます。
「そろそろ到着します!」
 1年ぶりのリキッドルーム。まだ誰もいない楽屋の匂いは懐かしく、昨年と同じソファを陣取ると、車から運んだ荷物を並べて、まずはアイスコーヒーで一息。もうあと数時間後にははじまっているなんて。
 舞台上の準備が整ったら、リハーサル開始。今年は例年以上に出演者が多いので、一刻を争う事態。楽器・機材の転換や、セッティングなどにあまり時間をかけられません。時刻表のように、分刻みで進められるリハーサル。出演者が続々と会場入りすると、ステージ上でめまぐるしく入れ替わっていきます。その頃、2階では物販ブースや当日券の受付、一階ロビーでは、協賛の高速家族は山梨県のブースなどが、開場に向けて準備をしています。もちろんスタッフに任せていますが、各所の確認に追われて行ったり来たり。
「それではオンタイムで開始しますので、長丁場ですが、どうぞよろしくお願いします!」
 そうして、最初のDJが曲をかけはじめたときはすでにクタクタで、舞台袖の椅子に腰をおろすと、それが持ち上がるまで30分以上かかりました。まずはおなじみ4人のおじさんのコーナー。三宿ロケデラクルーが順番にDJをして最終的に4人ではしゃぐひととき。このときすでに会場はお客さんで溢れかえっています。そこから中塚武さんへとバトンパス。6回中5回も参加していますが、今回は音を止めずにノンストップで駆け抜けてくれました。続く、i-dep登場までの転換の時間を利用して、あらためて挨拶。
「今日はお越しいただきありがとうございました」
 前売り券が完売したこと、コラボグッズがすでに売り切れたこと、など、報告しました。
「そして、今回は、謎のブースがありまして…」
実際僕もわからないのでご本人に登場してもらいました。
「あの、先行予約の説明をしてほしいんですけど…」
現れたのは、私服姿の岡本夏生さんでした。どんなコスプレも見ていますが、やはり、私服姿が一番刺激的です。
「一冊、一万円になります」
値段の発表に会場はどよめうなか、次の準備にとりかかってもらいました。
 i-depのナカムラヒロシさんは、これまでとは違うメンバーで、すべて新曲で挑んでくれました。「Rainbow」はなかったけれど、「flag」はとてもノリやすい曲でした。時刻は18時をまわっています。そろそろトイレ休憩の時間です。昨年までは、ミスタートイレ休憩・シャカ植松さんが休憩中の退屈しのぎに楽しませてくれていましたが、彼ももう現役引退してしまいました。なので今年は、文字通りのトイレ休憩になろうとしていた、そのときです。
「あの、僕でよかったら…」
ピンクのTシャツを着たおじさんがはいってきました。そうです、植松さんです。
「でも、もう、引退したんじゃ…」
「肩あっためていたんで、大丈夫です!」
 そうしてはじまったベストヒット奉行。待望の人もいれば、なんだかよくわからないまま聞いている人もいたでしょう。でもとにかく、一度リングを降りた男が再びあがてきたところに大きな価値がありました。蘇る土曜深夜の空気。なんだか、とても、すっきりしました。
「いやぁ、素晴らしかったよベストヒット奉行。でも、来年はさすがに難しいよね…」
「そうですね、僕も普通のおじさんとして…」
すると、どこからともなく軽快な音楽がきこえてきました。

11:04 | コメント (0) | トラックバック

2015年08月02日

第624回「リキッドルームで会いましょう!」

「ほら、ここにこうやってね」
そう言って、山盛りに盛られたお皿の上から、かぼすを数滴たらしました。すると、あんなにこってりしていたスペシャルプレートが不思議なことに、さっぱりとした風味になってきました。あらたに加わるメンバーは、そんな役割かもしれません。
「こんな僕でよかったら、肩あたためておきます」
 彼からメールが来たのはまだほんのり寒さの残る夜。彼のこれまでの活動への労いとこれからの人生への激励のための食事会のあと、僕の希望を伝えました。「普通のおじさん」の道を選んだ彼に、イベント出演のオファーをすることは、リングを降りたボクサーにまた戦ってほしいと依頼するようなもの。それなりの覚悟がありました。再びステージにあがることは、ある意味で辛いことかもしれません。にもかかわらず、彼は、快く受けてくれました。
「近くなったらまた連絡します」
 ただ、目先の予定さえ見通しがたっていない彼に、半年後のイベントに時間を割く余裕はなく、すぐに決定の印はつけられませんでした。催促するわけにもいかず、合格発表の日を待つ日々。そして、出演者の第一弾発表が過ぎ、第二弾発表をする頃、彼からメールが届きました。
「8月のイベント、ぜひよろしくお願いします!」 
 そうして、今年のロケフェスに、「普通のおじさん」こと、シャカの植松氏の参加が決定しました。
 彼はロケットマンショーそしてロケフェスに欠かせない存在。前者においては、4時間の生放送のなかでなごみの時間を、後者のロケフェスにおいては、20分のトイレ休憩に登場し、時間を持て余している人々に笑顔を与えてくれました。人呼んで「ミスター・トイレ休憩!」。レストランのメニューのようなファイルを片手に、声高らかに叫ぶ彼の奉行のしらべ。カウントダウン形式でお送りする「ベストヒット奉行」は、トイレ休憩の時間に行うのはもったいないほどの珠玉のエンターテイメント。彼の代役は誰にも務まりません。彼の「奉行」という音楽のおかげで、川のせせらぎのような、その空間に穏やな空気が流れます。これだけハイカロリーなスペシャルプレートも、植松という「かぼす」のおかげで、全体にさわやかな香りと風味をあたえてくれるのです。
 ということで、すべての出演者を紹介しました。当日、乱入する者もいるかもしれませんが、以上のメンバーで今年のロケフェスをお送りしたいと思います。そして、今回も長時間に渡って素敵なVJを務めるてくれるのは、新進気鋭のクリエイター・アラキツヨシ。もちろん、クラフトホリックとのコラボグッズや高速家族の協賛など、イベントを盛り上げてもらいます。フェスTシャツにフェスタオル、リストバンドに光りもの。先行予約でチケットを購入された方は入り口でオリジナルバッジを受け取って、ぜひTシャツなどにつけちゃってください。
 あと2週間となりました。なにがなんでも最高の夜にしましょう!それでは、8月16日、リキッドルームで会いましょう!

11:03 | コメント (0) | トラックバック