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2019年09月12日

第805回「それぞれの夏休み」

 

 アップルが新商品を発表し、梨がスーパーの店頭を彩り、朝のサイクリングで浴びる風に秋を実感する今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて、「5時に夢中!」でも出演者が夏休みを取りはじめ、いつもと違うハーモニーをお届けしています。大橋さんが就任してから半年たちますが、すっかり番組に溶け込み、欠かせない存在になっているので、ロスを感じている方もいるでしょう。彼女の笑い声は、局長の品のない笑い声を上書きする役割もあり、その優しく軽やかな音にいつも癒されています。

 大橋さんの代打として、代打の神様・新井麻希さんをはじめ、元フジテレビ・アナウンサーの大島由香里さん、元NHKアナウンサーで「麿」の愛称で親しまれている登坂淳一さんなど、とても彩り豊かな一週間となりました。また、マツコさんの代打として登場された、金曜日MCの原田龍二さんとは久しぶりに共演することもできました。

 新井さんは、今秋から「バラいろダンディー」の金曜アシスタントが決まり、僕としても非常に嬉しいです。代打の神様がレギュラーとなり、金曜の女神になってくれればと思います。大島さんは、同番組の月〜木のアシスタントになりますが、肝が据わっているので、相方の垣花さんをうまくコントロールしてくれるでしょう。登坂さんは、まさかのアシスタントでの出演で、NHK仕込みのアナウンス力に圧倒されたのはもちろんですが、あまりにケラケラと笑うので、気がつけばおっさん二人でイチャイチャしてしまいました。

 そういえば、原田さんは、本気か冗談かわかりませんが、MCのテンポを気にされていましたが、「5時に夢中!」は色々なカラーがあるべきだと思うので、他の曜日を意識せず、またMCであろうとせず、のびのび「原田龍二」であってほしいと思います。

 そして、黒船メンバー。最近は特に粒が立っていて、アンサンブルに欠かせない音を奏でてくれていますが、彼らも夏休みをとり、全くのニュー・フェイスが加わるので、ラグビー・ボールのように転がるボールを楽しみたいと思います。

 僕はと言いますと、23日の週にお休みをいただくことなっています。「きらクラ!」や「アベプラ」もお休み。まだどなたが務めるかはお伝えできませんが、もうしばらく代打週間をお楽しみください。

 代打ウィークによる変化は程よい刺激となって楽しいものですが、それもオリジナルがあってこそ。素晴らしいメロディーがなければいくらアレンジしても映えません。アレンジを楽しむことは、オリジナルを見つめ直す機会にもなります。また、視聴者の中には曜日で好みが別れることもあると思います。仮に好きな曜日の座組が毎日続いたら、すぐに飽きてしまうでしょう。曜日によってカラーが違うからこそ、好きな曜日が生まれるのです。

 そして10月。気持ちを新たにして、「いつもの」ハーモニーをお届けできればと思います。こんなことを話していると、もう年末の香りがしてきました。ハロウィンを経てクリスマス、そして年末。あぁ、時間は待ってくれません。光陰矢の如し。噛みしめるように、一日一日を味わいたいと思います。

 

PS:来週、再来週の週刊ふかわは休載となります。次回は、106日(日)配信となりますので、よろしくお願いします。

 

 

 

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2019年09月08日

第804回「ジョアン・ジルベルトを探して」

 

「きっと眠くなるだろう…」

 なにせご本人のコンサートですら眠たくなった(退屈だからではなく、あまりに心地よすぎてですが)くらいなので、睡魔との闘いになる。だから過度な期待はせず、コーヒーを片手にブラジルの雰囲気を味わえれば。それくらいの気持ちでシートに腰を下ろしていました。

 しかし、予想は裏切られました。いざフィルムが回り始めると、会話こそ多いものの、ブラジルの街並みや空気が詰まっていて、眠くなるどころかスクリーンに釘付け。グイグイと引き込まれていきました。

 もちろん、万人にオススメしようとは思いません。幼少期に「イパネマの娘」に出会い、十代の頃から愛聴。貪るようにCDを買い漁り、学生時代はボサノバ・ユニットを結成。もう何十年もの間、日常を、人生をボサノバに彩られている男。ボサノバが血液のように体を流れている僕にとって、映し出される全てがキラキラとしていましたが、ライトなボサノバ・リスナーや一般の方からしたら、見知らぬおっちゃんやご婦人に延々喋られても引き込まれないでしょう。ましてや「ジョアン・ジルベルトって誰?」という人にとっては、退屈極まりない時間。でも、そのような方々のために、誤解を恐れず、この映画の内容をあえて例えてみましょう。

 日本の大御所の歌手が、ある日姿を消しました。あんなに強固だった交友関係も希薄になり、もう何年も音沙汰がない。彼は一体今何をしているのか。そんな中、演歌に魅了された外国人がその歌手を探しに日本にやってくるのですが、本を出版したのちに他界。その志を継いだ別の外国人が、その一冊を携えて日本にやってきて、森進一さんや五木ひろしさん、石川さゆりさんなど、日本の演歌界を代表する錚々たるメンバーに会って話を伺う。聖地・函館まではるばるやってくる。「祭り」を歌で表現した一人の男を探すドキュメント・ロード・ムービー。題して、「北島三郎を探して」。

 ジョアン・ジルベルトは、サンバをギター一本で表現したと言われますが、その偉大さを言葉で表現するのはとても困難。セールスがどうのだとか、グラミーがどうのということではないのです。もちろん、たくさん売れていますが、そういう尺度で表現して欲しくない。彼は、世界中の人々に心地よい風を浴びせてくれたのですから。

「いい映画だった…」

 睡魔は現れませんでした。「小舟」は出てきましたが、船をこぐこともなく、エンドロールまでたどり着きました。また、公開前に他界されたことで、スクリーンの引力は増したかもしれません。 

 存在しないことで、その存在の偉大さを描く、本当に素晴らしい作品。壁の落書き、海岸、山に隣接する高層ビル群が、まだ頭の中に残っています。いざブラジルを訪れても、あまりボサノバは流れていないと耳にしますが、作品を見ると、そうでもなさそうな気がします。あらためてブラジルに行きたくなりました。ジョアン・ジルベルトを探しに。

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