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2016年09月18日

第675回「この夏を支えたもの」

 ということで、今年も案の定、いや例年以上に汗をかいたかもしれません。新たな会場、新たな試み。楽曲制作もプロモーションもぎりぎりまでやっていました。余裕なんて、あったらあったで制作時間に充てられてしまうから、きっと生まれることはないのでしょう。無心になれる、情熱を注げるものがあることは幸せなこととはいえ、無理をしすぎるといつか倒れてしまうのではないかという危惧さえありました。でも、やりたいことをやれない不健全さより、やりたいことをやりすぎる不健全さ。気力こそ衰えは感じませんが、体力は昔と違います。いかに体力づくりが大切かを実感する夏でもありました。

 普段の仕事をこなしながら「ロケフェス」の準備を進める日々に、頭の中は暴発寸前。そんな、不安定な生活を支えてくれていたものは、数えあげればきりがありません。窓から望む空の色。アイスコーヒーの氷の音。でも、もっとも支えてくれたものがあります。

 この夏を支えたもの。それはまぎれもなく、ボサ・ノヴァ。やはり、この存在が一番大きいでしょう。寝起きの朝。お風呂にはいりながら。やわらかなギターの調べ。ボサ・ノヴァが流れると、心も体もリラックスするのです。硬くなった頭のなかがほぐされてゆく時間。心の起伏をなだらかにするモデレート機能。ボサ・ノヴァのおかげで僕は、夏を満喫し、夏を乗り越えることができました。

 トリスチ。三月の雨。WAVE。好きな曲は数多ありますが、たくさんのアレンジ曲を楽しめるのもボサ・ノヴァの特徴。同タイトルにいろいろなバージョンがあるので、ダウンロードするのも大変ですが、お惣菜屋さんでおかずを選ぶように、今日はどれにしようかなとパソコンで選んでいるひとときもかなりのチルアウト・タイムになります。

 ボサ・ノヴァは本当に心地よい。ブラジルの波の音。前にもお話ししましたが、コードに対するメロディーの距離感。風にようにさらっとしていて、まさしく海辺にいるかのよう。窓から差し込む光。コーヒー。窓越しの空。ボサ・ノヴァの音が流れるだけで、からだが心地よい空気に包まれます。

 リオ・オリンピックもあり、いままで以上にブラジル色の強い夏でしたが、リオで汗を流すアスリートにも負けないほど、ブラジルの風を毎日のように浴びていました。リア・ドウさんとイパネマの娘ができたことも、香港の歌姫と、日本のDJがイパネマの海岸で出会った、夏の思い出。

 そしてまた、ボサ・ノバのない生活がはじまります。まったく聴かなくなるわけではありませんが、季節の移ろいとともに日々のプレイリストも変わるもの。これからしばらく、アンビエントの世界に浸ることになります。

 夏を支える音は、人生を支える音。ボサノヴァが、人生を支えていることはいうまでもありません。毎年心地よい風を届けてくれるボサ・ノヴァのおかげで僕は、ずっと、夏が好きでいられるのです。

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2016年09月11日

第674回「そして、夏がおわる3」

「それは、ひとつの記事からはじまりました」

 この言葉で勘のいい方はピンと来たでしょう。会場がざわめきはじめました。

「それでは、ご登場いただきましょう!チーム・サードウェーブの皆さんです!」

 キックの音が鳴り始めると、ステージ袖から艶やかなダンサーたちが登場しました。

「LADIES&GENTLEMEN、BOYS&GIRLS…」

 BPM125のリズムに乗った魅力的な声。ジェームス・ブラウンのようなファンキーな男が姿を現して、「キミにサード・ウェーブ」の本番がはじまりました。この日のために生放送後、スタジオに集まり練習してきました。ここまできっかり振り付けを決めることは予想していませんでしたが、やるからにはとことんやらないと。

「I’M A THIRD WAVEヤリチン!」

 まるでモータウン時代を彷彿とさせるパフォーマンス。光に照らされる皆の踊っている姿に、感動せずにはいられません。スタジオでスリッパを並べて練習していた時間が蘇ります。全員揃って曲が終わると、会場が拍手と歓声に包まれました。だれがあのとき、この光景を想像していたでしょう。

 この感動の余韻を突き破るように、山本リンダさんの「狙い撃ち」がかかると、だいぶ経ってから登場したのは、岩井志麻子さん。まるで劇団四季から逃げ出してきたかのような出で立ち。衣装がバージョンアップした分、かなり生地も厚そうで、冬仕様といった感じです。息を切らしながらも全力でパフォーマンスする姿に、目頭が熱くなりました。

 ここに続いたのは、派手なアイドル衣装に身を包んだ内藤聡子さん。まさしく、ザ・おかわりシスターズの衣装ですが、果たして相方は。すると、オレンジ色の衣装を身にまとった女性が現れました。顔にはアイマスク。そうです、内藤さんのお姉さん。まさかの「リアル内藤シスターズ」による「恋はおかわり」は、本家とは違いますが、振り付けを担当したのがお姉さんなので、踊りもバッチリどころか、血のつながりを感じさせるシンクロ度合い。おかわりファンも納得してくれたことでしょう。

 久しぶりの再会。5時に夢中メンバーがステージに勢揃いすると、僕は再びマイクを手にしました。

「実は今日、東京都知事が応援に駆けつけてくれるという情報がはいっているのですが…」
 すると、スーツを着た女性が現れました。タスキにハチマキ。しかし、どうも雰囲気が違います。そもそも、都知事はいまリオにいるはず。いったい、どちら様なのでしょう。

「どうも、東京都痴女の大池ゆりこです」

 破壊力のある言葉。ゆるいビジュアル。その一言で会場は大きな笑いに包まれました。昨年の上西議員といい、このトレンドの取り込み方はうますぎます。中瀬ゆかりさんのポテンシャルの高さはいったいなんなのでしょう。

 そして、おなじみの「I WANT YOU BACK」の曲に、あらためてメンバー紹介すると、残りの時間はDJ ROCKETMAN。毎年言っていますが、ある意味6時間全体がDJでもあるので、ここであらためて時間を設けなくても僕は充分達成感があるのですが、主催者として宴の締めをやらせてもらいました。

「THANK YOU FOR THE MUSICの新しいバージョンができてしまいました」

 このイベントのタイトルでもあり、コンセプトでもあるこの言葉。数年前にリリースしたアルバムのタイトル曲にもなっているのですが、ここへきてまたできてしまったのです。この曲はすでにあるから別の言葉を探していたのですが、やはり、音楽に対する気持ちを払拭することはできませんでした。

「ありがとうございました!!」

 最後は出演者全員が舞台に集まり、感動のフィナーレ。こうして、一夜限りの夏が終わっていきました。

 42歳になって眺める景色。大好きな音楽と、大好きな人たちと。たくさんのお客さんに見守られ、とてもしあわせな空間でした。スタッフも含め、みんなの想いで、この素晴らしい空間が保たれていました。

「それでは、今日1日お疲れ様でした!乾杯!!」

 ガーデンホールから少し離れた打ち上げ会場には、たくさんの笑顔がありました。普段はなかなか一堂に会すことのない人たちが、ジャンルも異なる人々が、こうしてひとつの空間に集まっている。僕の心は、これ以上ないくらいに満たされていました。サンキュー・フォー・ザ・ミュージック。本当に素晴らしい景色をありがとうございました。

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2016年09月04日

第673回「そして、夏が終わる2」



 光があふれていました。予定通り16時に幕を開けたロケットマン・サマーフェスは、音と光と、そしてたくさんの愛情にあふれた空間になりました。

 ロケデラ・メンバー3人によるDJリレー。徐々に会場に人が集まり、空気があたたまってゆく。ジョナサンがDJとして加わると、そこにセクシーな女性の影が。おかざきななさんの妖艶な踊り。そして、ホーン・セクションを従えた中塚武さんは、生音の迫力。恒例の「南の国から」で「ロケフェス」を実感。あらためて挨拶を終え、H ZETTRIOの圧巻のパフォーマンス。リオ・オリンピック閉会式でも彼らの音源が使用されていましたが、もはや世界に誇る日本のジャズバンド。その余韻が冷めやらぬうちに登場したのは、わざわざ南の島から駆けつけてきてくれた内藤聡子さん。登場時の風をまとった雰囲気はさすが。そして、コンビニにでも立ち寄るかのように下町感たっぷりに現れた、作家・平山夢明大先生。会場をうろうろしているだけで成立してしまう存在感。涼しげな浴衣で彩ってくれた日本合コン協会のみなさんと楽しそうにしていてなにより。

 続いて登場したのは、ロケフェス初の海外アーティスト、リア・ドウさん。香港からやってきた彼女は、中国の歌姫フェイ・ウォンを母にもつ、期待のシンガー・ソングライター。19歳にして、仕上がっている世界観。オリジナル・ソングに加え、「イパネマの娘」のコラボでリオの風がそよぐ夕刻。ここからコラボブロックに突入。TFMの番組で秘書を務める浜崎美保さんとの「the sound of summer」で、せつないひと夏の恋。平野ノラさんの「OK!バブリー!!」でディスコの雰囲気に包まれたところで、DJ KOOさん登場。往年のヒットソングを絡めたロケフェス・ミックスは、「survival dance」で、会場のボルテージもマックス。前日、「明日の衣装どっちがいいかなぁ」とまるでデートの服が決まらない女性のようにメールをしてくるあたり、たまりません。

 ヤングブロックは、「ロケッ」トレーナーを身にまとったMICOさん。アルバム収録の3曲にくわえ、直前にレコーディングした「MICO&RYO」による「だいえんじょう(仮)」。この世界観は、彼女にしか表現できません。続いて、「ロケッ」ラグランで登場した、トミタ栞さん。「Best days〜」を初披露すると、前夜ラジオゲストだった卓球さん提供曲をみんなで踊る。予想以上の運動量で、ラグランも汗だく。

 若くてエネルギッシュなステージのあとは、ちょっぴり大人の香り。マライヤキャリー?いや、ガウちゃんによる「CLOSE TO YOU」、そして「BEYOND THE LIGHT」。光に照らされる彼女はまるで女神のよう。続く、傳田真央さんは、コラボ曲「we can feel it all over」のトロピカルミックス。もはや屋内にいることを忘れてしまうほど開放的な時間。

 傳田さん&トミタさんによる、「上を向いて歩こう」は、涙がこぼれそうで大変でした。傳田さん&MICOさん&ガウちゃんによる「over the rainbow」は、まさしく虹のようにカラフルなステージ。どちらも、ロケフェスならではの光景。こうして、歌姫たちの共演がおわると、僕はDJブースでマイクを手にしました。

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