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2016年07月31日

第669回「いつか逆転するとき」

 きっと、僕たちの頃もそうだったのでしょう。ファミコンが登場し、子供たちがテレビの前から離れなくなったとき、大人たちは、ゲームばっかりして大丈夫なのかと、心配したのでしょう。ゲームに溺れることが人間にどのような影響を与えるのか、科学的になにも証明されないまま、その市場は拡大し、いまや子供や男だけのものではなく、大人や女性までもやるようになりました。

 スマホ普及のおかげで、テレビの前から解放されましたが、スマホでゲームをする人が増えました。いつでもどこでもゲームができる。そんな中、「ポケモンGO」という画期的なゲームが全世界に配信されることとなりました。

 僕自身、中学でゲームを卒業してしまったので、まったくそれ自体に関心がないのですが、社会現象となると話は違います。なぜそこまでして夢中になってしまうのか。やりたいとは思いませんが、やりたい人の心境には興味を捨てきれません。歩きスマホを助長するのではないか。世論も賛否両論。社会問題にまで発展しています。

 ファミコンのときと違うのは、それが家のなかで完結していたのに対し、今回はスマホを手にして外にでるようになったこと。今回は、子供だけではなく、大人たちものめり込んでしまっていること。また、海外でも社会問題となっているあたりが今回の特徴でしょうか。

 外にはでるようになったものの、触れるのは画面越しの世界。画面越しの世界に気をとられると、現実世界の事故につながってしまいます。

 「侮蔑」とはいきませんが、スマホにそこまで振り回されている様子をみると、やはり苦言を呈したくなるのもわかります。新しいものに対する反発心ではありません。価値観や考え方ではなく、人間のあり方として、引っかかってしまう。スマホを手にして彷徨う様は、虫取り網をもってセミを追いかける少年とは、根本的に違う気がしてなりません。どちらがいいとかではなく、違いは否定できません。

 外で遊んでいた子供を家のテレビの前に座らせてしまったテレビゲームと、家でゲームをしていた子供たちを外に連れ出したスマホのゲーム。どちらがよくてどちらが悪いか、一概には決められませんが、ここまで人々を動かしはじめると、いつかバーチャルが現実を超える日が訪れるのではないかと、心配になります。

 仮想現実は、現実を補助するものであるべきと思っています。いまは、単なるゲームですが、すでにどこぞの公園に多くの人々が集まっていたなんて話を聞くと、いつか「そのとき」が訪れるのではないかと不安になります。バーチャルに行動を支配され、現実はそれを支えるものになる。すでに、現実世界が脅かされている現状。ケータイに携帯されているとは思いましたが、人間がこんなにも簡単にスマホに操られるとは夢にも思いませんでした。バーチャルが現実を侵食してきている。そして、いつか逆転するときがくるでしょう。ひょっとしたら、僕が生きているうちに与野党逆転かもしれません。バーチャルが現実を超える日。人類は、人類のつくったものに支配されるようになるのでしょうか。現実とバーチャルの争い。母なる自然に目を向けずに。

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2016年07月24日

第668回「thank you for the music!」

 ということで、あと一ヶ月。おそらくここからはあっという間なのでしょう。さて、ガーデンホールにお引越しした、7回目のロケフェス。今回もたくさんの方々の力をお借りして、素敵な一日にしようと思っています。

 初登場でいうと、まずは、H ZETTRIOさん。前衛的な3人組ジャズグループ。とてもアグレッシブな演奏ながら、音はとてもマイルドで心地いい。一昨年のコンサートでMCを依頼され、その年のロケフェスにお願いしたところスケジュールで実現ならず。通常であればこれで終了してしまうものですが、あのときの約束を覚えていてくれました。世界レベルの音を味わってください。

 続いて、傳田真央さん。この方は、ジャンル的にも接点を感じさせないので、もっとも以外性があったかもしれません。日本人離れした歌唱力。いつかダンス系の曲を歌ってほしい、そんな気持ちを温めること数年。意を決して投げかけた思いは、ひとつの曲として実を結びました。太陽にぴったりのサマー・ハウスで、ガーデンホールに日差しが降り注ぐことでしょう。今回は、そんなコラボ曲をはじめ、彼女の唄声が響き渡るメニューを考えています。

 MICOさんは、アルバム「I’M MUSIC」で3曲も歌ってくれているので、出てもらわないわけにいきません。現在「she is summer」としても軌道に乗りはじめたところですが、あくまでソロ名義のMICOとしての参加。音のなかにすっかり入り込んだ彼女のパフォーマンスはまるで夢を見ているような感覚になります。コケティッシュな彼女の魅力を存分に味わってください。

 続いて、トミタ栞さん。彼女もアルバムに参加してもらっていますし、神奈川県民であれば、なおゆかりのある方。まわりをたちまち元気にしてしまうあの笑顔は、一度見たら虜になってしまうでことしょう。エネルギッシュでハッピーな魔法にかかってしまってください。

 そして、おおたわ史絵さん。こちらは5時に夢中!水曜日隔週で出演され、女医として、コメンテーターとしてテレビで引っ張りだこですが、実はダンスがとてもお上手。今回は、もはやロケフェスレギュラーの美保純さん、そしてアイクぬわら&コーヘン会くんらとともに、チーム・THIRDWAVEとして、素敵なパフォーマンスを披露してくれます。

 5時に夢中!でいうと、この方を忘れてはいけません。おかざきななさん。満を持しての初登場。もはや、一度見たら忘れられないインパクト。5時夢!を支える柱のひとつ。果たしてどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。また当日は、彼女の考案した「フィンガー・オン・ザ・サン」という名のカクテルも販売。ぜひこの日限りの味に酔ってください。

 そしてJ-WAVE OTHERSでおなじみの絵音さん率いる日本合コン協会のみなさんによる、「フリー・ソーメン」。そうめんを無料で配布ということなのですが、綺麗な女性たちの浴衣とそうめんで、ガーデンホールは一気に夏祭りになることでしょう。

 以上がロケフェス初登場のみなさんになりますが、常連組もご紹介します。
今回二回目となるDJ KOOさん。相変わらずテレビでも大活躍ですが、KOOさんのDJプレイは真似してできるレベルではありません。天才的なその技を見てください。

 そして最多出場の中塚武さん。ホーン・セクションを引き連れてのど迫力パフォーマンス。南の国から2016は聴けるのでしょうか。そして前回、バブリー50音でたくさんの笑いをかっさらっていった平野ノラさん。今年はCDデビューも果たしましたし、最近ぐいぐいきております。この夏のバブリーおさめをしてもらえることでしょう。

 毎年、途中でドクターストップがかかりそうなほどサービス精神旺盛な岩井志麻子さんは、新しいコスチュームで今年もやる気満々。魅惑の腰つきに失神寸前。相方・中瀬ゆかりさんは、果たしてどのようなスタイルで登場するのか。楽しみにしていてください。また、ガウ・パイセンや、DJもいたにつきはじめたジョナサン、謎のマジシャン・ジャン、そして三宿ロケデラメンバーにも、夏らしいサウンドで、会場を盛り上げてもらいます。

 このように、たくさんの力が結集するイベント。たくさんの光があつまる場所。そして、なんといってもお客さんがすべて。毎年毎年、笑顔になれるのは、会場にいるみなさんが盛り上げてくれるから。本当に感謝しています。

 いつも支えてくれる音楽への、日頃お世話になっている仲間への、そして日頃支えてくれているファンのみなさんへの、感謝の気持ち。いろんな感謝の気持ちがこの「thank you for the music!」に込められています。すべてはみんなの笑顔のために。大切な人たちのために、大切な人たちと一緒につくりあげる空間。どうか、一日限りの「夏」を体感してください。

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2016年07月17日

第667回「曲ができるまで」

「上を向いて歩こう 涙がこぼれないように 思い出す春の日 ひとりぽっちの夜」
 この詩を読もうとすると、意識しなくても勝手にメロディーに乗ってしまいます。むしろ、メロディーから切り離して読むほうが困難で、また逆も然り。メロディーを聴いただけで言葉がついてくる。もはや、一心同体。メロディーと言葉を、どうやったって切り離すことができないのです。

 たくさん聴いたからなのか。それもあるかもしれません。でも、たくさん聴けば必ずこのようになるとは限りません。素晴らしいメロディーと素晴らしい歌詞、ふたつが見事にマッチしたケースのみに生じる現象。言葉をメロディーに乗せたのか、メロディーを言葉の下に敷いたのか。日本には、そういった曲は少なくありません。
 僕の場合、ほとんどの曲がメロディー先行。まずピアノの音色でコード進行を作成し、気に入った流れが定まると、それらをリズムの上に載せます。コード進行は、休日に行きたい場所のように、その日の気分で異なります。悲しい気持ちだったら悲しいコード進行ということではないですが、今日は海に行きたいとか、今日は温泉にはいりたいとか、心の隙間を埋める雰囲気を探します。
 そこにリズムをつけるということは、車で行くか、電車でいくか、というようなものでしょう。だから、同時にテンポも決まります。行き先が同じでも、交通手段によってまったく印象は異なります。実際、作っている途中でもっと早くしようとか、遅くしようというのはよくあって、BPM65というダウンテンポな曲を作っていて小康状態が続いたとき、一気に120くらいまであげてみると、また違った印象できこえてきて、「あれ?こっちのほうがいいんじゃない?」と、打破することがあります。
 コード進行とテンポ・リズムが決まったら次はメロディーライン。これはすぐに降りてくることもあれば、なかなか降りてこないこともあります。早く降りてくればいいというものでもありません。なかなか降りてこなければ、ひたすら聞いて、かき分けるようにメロディーの道を探します。この道を行けば、素晴らしい景色にたどり着けるかもしれない。一度進んだ道が行き止まりになることもあります。最終的に、メロディーという一筋の道を進んでいると、言葉が聞こえて来るようになります。いつのまにか言葉が付いてくる、なんてことであれば非常に楽なのですが、ひたすら聴かないと、すべてのメロディーに言葉は乗りません。
 最初に降りてきた言葉がタイトルになってしまうこともあるし、一方で、とりあえずこの言葉を載せておいた言葉があとからひっくり返ることもあります。「ARE YOU READY?」で進めておいた曲が「OK!バブリー!」になったり。そういったことでジャッジするエネルギーを消費するので、日常生活におけるほかのジャッジが適当になります。言葉のないメロディーから言葉が聞こえてくる。そういう意味では、空耳も大事です。ベートーベンには田園の曲を構想する散歩道があったように、朝の散歩の時間や車を運転している時間は、推敲するためのとても重要な時間です。
 大まかにいえば、このような流れで曲が仕上がっていくのですが、コード進行、メロディー、そして歌詞と重要な要素は揃ったものの、完成までは半分といったところでしょう。言葉やメロディーを推敲するのもそれなりの大変さがありますが、ここまではまだ心地よい作業。ここから先は情熱なくしては進むことのできない苦しみの世界。登山も頂上が見えてからが大変なように、なかなかあの場所にはたどり着けません。実際、細かな作業が続くのですが、簡単にいうと、耳だけの作業になります。耳だけで判断する。それは神経に直結する作業なので、体を動かしていなくても、ヘトヘトになります。情熱と根気と。それらが無いと、曲は完成しないのです。いったい、どこからその情熱が湧いてくるのかわかりませんが、いつか、「上を向いて歩こう」のような、みんなで口ずさめる曲を作りたいものです。

 

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2016年07月10日

第666回「はたちになる前に」

「この道でいいのかなぁ…」
 渋谷駅を出て、歩道橋を渡ったその場所は、センター街の方とは違い、若者が集う場所というよりは、ただごちゃごちゃしている印象。年季のはいった雑居ビルが並ぶ坂道に不安も募ります。雑誌のぴあを片手に歩く19歳。彼を待っていたのは、それまで足を運んだことのある映画館とはまるで違う世界でした。どこか成人映画館のような怪しい雰囲気に戸惑わずにはいられません。はじめて訪れたユーロスペース。やっと辿り着いた安堵を緊張が上回りました。
 現在は場所も移り、建物も新しくなっているそうですが、当時は、それがなければ一生行かなさそうなくらい、訪れる者を不安にさせる場所にありました。単館映画なる言葉を耳にしはじめる前から、ユーロ・スペースは、独自の視点でセレクトした作品を公開していました。19の僕が、どの程度ハリウッド映画に対して冷めていたのかわかりませんが、雑誌ぴあで掲載されていた言葉が僕を、その場所に誘ってくれたのかもしれません。
「大人一枚」
 扉をあけると、え?ここで?というくらい、小規模な客席が待っていました。映画館というよりも、まるで、ホームシアターのような空間。スクリーンもあまり大きくありません。ポップコーンや飲み物売り場くらいはあったかもしれませんが、ポップコーンを買うような気分にはなれませんでした。
 よほどのことがなければ映画館を訪れない僕がなぜいまここにいるのか不思議な気持ちになりました。まるで呼び出された生徒のように、淡い期待と、不安を抱きながら上映を待ちます。小規模なので、あまり空席は目立たないものの、それなりに客席は埋まったころ、上映が開始されました。
 はじめてのイラン映画。芝居なのか、ドキュメンタリーなのか、たくさん言葉を発する子供達は、演技をしているようには見えません。ただ、子供たちの瞳が次々と映し出されます。男の子が間違えて持ち帰ってしまったクラスメイトのノートを返しにいく、ただそれだけの話。これを返さないと、彼女が困ってしまうから。少年は一生懸命、ジグザグの坂を登ります。とてもシンプルなのに、僕は、全米ナンバー1の映画以上に衝撃を受けました。
「こんな素晴らしい世界があったのか…」
 予算はきっと雲泥の差でしょう。しかし、そのスクリーンで描かれていた、純粋な心。少年の瞳。それらは宇宙よりも大きな「愛」でした。
 それが、僕がキアロスタミに出会った瞬間でした。日本での公開は1993年。僕がまだはたちになる前。それから、「オリーブの林をぬけて」、「そして人生は続く」、「桜桃の味」。やさしいストーリーながら、どれも心に残るものばかり。また、彼の作品だけでなく、「運動靴と赤い金魚」など、イランの映画を観るようになりました。イラン映画が、選択肢に加わりました。そして、イスラムというものを、誤解していたことに気がつきました。
 すべてを見たわけではないですが、この国の映画を知ってしまったら、ほかの映画鑑賞に支障をきたしてしまうほど、価値観が変わります。僕が、このような人間になったのは、僕が僕であるのは、この監督の作品のおかげかもしれません。なにを求めているのかわからないまま向かった映画館で出会った光はそれくらい、大きなものでした。

 人生のなかで、すべての光に出会うことは不可能で、出会えるものは限られています。僕は、あのとき、あの光に出会えてよかった。彼の作品が、この世から上映されなくなることはないでしょう。僕の頭のなかで、あの少年は永遠です。アッバース・キアロスタミ、素晴らしい映画を、ありがとう。

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2016年07月03日

第665回「フェスT総選挙結果発表!!」

 我が国では、ふたつの選挙を間近に控え、選挙権も18歳以上に引き下げられました。これによって有権者の数が240万人も増加する見込みだそうです。また、ある国では国民投票によって、世界を混乱へと導いてしまいました。かつて「太陽の沈まない国」と呼ばれ、世界の4分の1を占めていた大国が、いま、分裂の危機に瀕しています。「盛者必衰の理をあらわす」。まさにいま世界の歴史が刻まれているわけですが、民主主義の欠点、公平・平等の難しさ、そして、多数決の功罪をまざまざと見せつけられた気がします。

 選挙といえば、もうひとつ忘れてはいけません。そうです、フェスT総選挙。こちらも毎年熱い闘いが繰り広げられています。いつものことながら、見事に票が分散し、みなさんの回答を見ればみるほど、判断が狂ってしまいます。「フェスっぽい」とか「普段着られる」とか、判断基準も人それぞれ。これだけ見ても、人の価値観は様々だなぁとあらためて感じます。離脱派と残留派ほどではないけれど、どれに決定したとしても、だれかが不満に思ってしまうでしょう。選挙には痛みが伴うもの。みんなが満足する結果をだすことは不可能なのです。と、ある種の言い訳をしたところで、今回の結果を発表したいと思います。

 では、発表します。「ROCKETMAN SUMMER FES’2016 thank you for the music!」今年のフェスTシャツは、総選挙の結果を踏まえ、独断と偏見によって、デザイン「E」に決定しました!!胸に「thank you for the music!」のロゴがプリントされているタイプ。やはり、パッと見たときの第一印象を信じました。

 今回は、ホワイト・ブラック・ピーチ・ライトブルーの4色展開。サイズは、全色ではありませんが、XSからXLまで作る予定です。送料無料の先行販売もあります。本当にたくさんの投票ありがとうございました。

 ただ、これで終わりではありません。実は、もう1バージョン作成することにしました。それはデザイン「J」。人気の高かったタンバリンマークがプリントされたTシャツも、せっかくなので販売しようと思います。やはり今回のアルバムからレーベル名が変わったこともあり、今年はタンバリン元年。フェスや時節にあまり影響されないので、これならきっと、普段も着られるでしょう。通販はなく、1色の可能性もありますが、当日会場にて販売いたしします。

 さぁ、Tシャツが決まったら、あとはフェスタオル。今回も総選挙を開催します。出馬する候補者の告示を楽しみに待っていてくださいね。

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