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2018年12月21日
第772回「来年は25周年!」
早いもので、今年も残すところわずかとなりました。一年の終わりと、平成の終わりが重なり、大きな節目を実感します。プライベートでは、iMac proとともに迎えた2018年。仕事ではMXの生放送からニッポン放送のラジオ番組でスタートした2018年。今年も色々なことがありました。皆さんのおかげで日々、素敵な景色を眺めることができました。
自らの配信楽曲に加え、ももクロのWEB広告への楽曲提供や、でびどる!のエンディングテーマと、普段とは違う色彩で描くことができました。こういった、「依頼を受けて制作する心地よい不自由さ」はなかなかクセになります。
2月の寒い日本から飛び出して、初めてニューカレドニアにも訪れることができました。24時間の滞在という超弾丸ロケでしたが、あの日、体を沈めた温かな海水と南国の日差しは今でも忘れられません。
4月からはラジオ「Seasonning」の月曜日を担当することになり、週の始まりの1時間は、心を整え、日常のリズムのアクセントになりました。そこで大好きな「DAY BY DAY」をアレンジすることもできました。
そして5月の「うたたねクラシック」。もはや今年のこととは思えないくらい遠い印象ではありますが、記憶には強く刻まれています。遠藤さんをはじめ、プロの演奏家たちとともに九州縦断。すっかり演奏旅行気分を味わえました。焼肉屋さんから小さな飲み屋。そして露天風呂。霧島のトロトロの湯はもう格別でした。
夏のtropical vibesでは、銀座の屋上でトロピカルな夏の風を浴びることができました。春日部の寺フェスでは、セミや虫たちが飛び交う中でDJをしました。あの暑さは、まさしく熱帯ダンスでした。こどクラ!の蝉の声も耳に残っています。
夏が終わると、あっという間に時が流れてしまいますが、5時に夢中!があることで、毎日程よく刺激的で、毎日笑っていられます。そして先日のリチャード・カーペンター氏の降臨。あの日のことは、人生においても大きな一日となりました。
いつものことと、いつもと違うことの2018年ブレンドは、とっても美味しい一年でした。
美味しいといえば、梅酒の消費量が最も多い年だったかもしれません。湯河原で出会った梅酒はすっかりお気に入りになり、今後も長い付き合いになりそうです。
そうして迎える2019年。僕がデビューしたのが1994年なので、いよいよ25年目に突入となります。昭和から平成、そして新元号へ。楽章が変わるように、時代の旋律が変わってゆく。文章を書くことと、音を奏でることと。2019年のメロディーも楽しみにしていてください。ちなみに来年は1月13日の配信からとなります。それでは皆さん、良いお年を迎えてください。
2018年12月13日
第771回「神様に会えた日」
「近々、ふかわさんに嬉しいお知らせができると思います」
スタッフからその言葉を受けて数日後、現実となりました。
「来週火曜日にリチャード・カーペンター氏がゲスト出演することになりまして…」
楽屋で報告を受けると、その後の生放送の中で、速報として伝えられました。リチャード氏の顔が画面に映ります。カーペンターズ。あの世界のカーペンターズがやってくる。しかも、このスタジオに。
5時に夢中!はローカル番組ではあるものの、これまで世界的なスターの方々がやってくるという非常に謎な実績もあります。しかしながら、まさか、カーペンターズが訪れるなんて夢にも思いません。奇跡としか言いようがありません。さて、お呼びしたのはいいけれど、一体何をすればいいのか。果たして、演奏していただけるのでしょうか。
「ピアノ演奏は厳しいそうです」
スタジオの構造上、そして予算上、グランドピアノが用意できません。そうなると、ご本人は良くてもレコード会社のブレーキがかかります。「色々な制限の中でできる最大限のこと」を模索していきました。
「カーペンターズのリチャード・カーペンターさんです!」
2018年12月11日。奇跡が起きました。音楽の神様が目の前に座っています。他の番組でも拝見しましたが、リチャード氏が日本のおもてなしを非常に喜んでくれていることと、周囲を和やかにするサービス精神が伝わってきました。
「カーペンターズが愛を育てるのです」
「このイントロが神なのです」
「闇から光へと誘われるのです」
セールスなどの尺度ではない目線で、カーペンターズの魅力を伝える番組MC。溢れるカーペンターズ愛に、その熱量だけは伝わったのではないでしょうか。
「これは、カレンが一番好きな曲だよ」
「確か、ハーブ・アルパートのアイデアだったかな」
「シングルではピアノのイントロをカットしたんだ」
リチャード氏の言葉。そして僕は、エレクトリック・ピアノの前に座り、鍵盤を押さえ始めました。ご本人の前での、まさかの生演奏。テレビの前のすべての人がご本人の演奏を期待する中での演奏は、なかなか勇気のいることではありましたが、ご本人に聴いていただけることの大きさに比べたら、大したものではありません。間違えないように弾くのに必死でしたが、その時体で感じたのは、リチャード氏の声。僕の演奏に合わせ、ハミングをしてくれていました。この「close to you」はしっかりと僕の胸にダウンロードされました。
カーペンターズ50周年。ずっと色褪せず、人々の心を捉え、優しく触れてくれるハーモニー。カーペンターズは永遠です。
そうして、神は去って行きました。ブログにあげたツーショットの写真は、放送前に撮影したものですが、肩に手を載せていただけました。このような機会を与えてくれた番組に感謝です。
ちなみに番組が用意してくれたエレクトリック・ピアノは、泣く子も黙るウーリッツァーという、こちらも世界的に愛されてきた名器。リチャード氏も愛用されたもの。放送では乗りませんでしたが、指をさして話をしていました。これで「close to you」を弾いたんだよ、とおっしゃっていたのかもしれません。子供の頃から聴いていたカーペンターズ。あの頃を彩ってくれた音。青春の輝きは、永遠となりました。